【解説】藤子・F・不二雄『21エモン』|結論|感想|読み方

21エモン タイトル

まさに

宇宙人専門の旅館

貧乏旅館〈つづれ屋〉に来るお客様は、考え方も生活習慣も全く違うヘンテコな宇宙人ばかりで——!?

よーいち
これから社会へ出る子どもたちに読んでもらいたいグローバル・ジョブ漫画です。

僕が大好きな漫画 『21エモン』を簡単3分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、異文化との共生です。

 

感想

『21エモン』との出会い

NHKの番組「趣味どきっ!」でヤマザキマリさんが紹介されていました。

「『21エモン』を読むと、どんな異質な環境にも慣れていける」と言っていて、めちゃくちゃ興味が湧きました。

予定調和以外のもの、自分たちとなじまないもの、共生できないものを排除しがちな昨今、若い時にこれを読んで大事なことを学んだそうです。

 

簡単あらすじ

21エモンは貧乏旅館〈つづれ屋〉のひとり息子です。

つづれ屋 小さい

いつもお客はいません。なので今にもつぶれてしまいそうです。

お父さんの〈20エモン〉は21エモンを連れて空港へ客引きに出かけました。

アンドロメダ発・冥王星経由の便が地球に到着すると、15000人ものさまざまな宇宙人がぞろぞろと降りて来ました。

お父さんは張り切って客引きを始めますが、相手にもしてもらえずみんな他のホテルへ行ってしまいます。

ふと21エモンが腰をかけたものは、ヘコロダニ星雲のタンバ星系ササヤマ星から来た宇宙人でした。

ササヤマ星人

ひともんちゃくあったものの、〈つづれ屋〉に泊まってくれることになりました。フロントに着くと、ササヤマ星人は「これ(荷物)にはさわっちゃならねえだ!」とにらみます。よっぽど大事なものが入っているようです。

ササヤマ星人はお部屋でイオウ風呂に入るとすぐに寝てしまいました。その理由はササヤマ星は1日が96時間。つまり、ササヤマ星の1日は地球での4日分。

「4日泊めて1日分の宿泊料しかもらえないことになる」と、お父さんは目を回しています。

——4日たって、いよいよチェックアウトの時、なんと! ササヤマ星人はお金という概念がいねんがないことが判明します。

しかし、ササヤマ星人は「このホテルを気に入ったから1番大事ものをお礼にやるべ」と言うと、荷物の中から〈モンガー〉という不思議な生き物が出てきました。

モンガー

 

へんてこな宇宙人たち

つづれ屋は経営不振のため、どんなお客様でも受け入れます。

時には”人喰い怪獣”だったり、”超高度な文明の宇宙人だったりして、毎回、文化や生活習慣の違いに戸惑いながらも、ホテル・つづれ屋を気に入っていただくために最高のおもてなしをしようと悪戦苦闘します。

ある日、星を1ダースも持っているという超大金持ちな〈ミリオネヤ星人〉がつづれ屋にやって来ました。

ミリオネヤ星人

21エモンと芋掘りロボット〈ゴンスケ〉はチップ欲しさに競争は始めますがなかなかもらえません。

というのも、このミリオネヤ星人——実は、体は人間の頭くらいの大きさで、しかも、お金持ちというのもウソで、旅費が足りなくなったので、12人が集まって1人の人間の形を作っていたのでした。

しかし、ゴンスケのドジのおかげでミリオネヤ星人のウソが全部バレてしまいます。

警察へ突き出そうかという話になりますが悪い人たちではなかったので、21エモン一同は許してしまいます。

ボーイがフロントに預けていた鞄を持ってくると、ミリオネヤ星人は「どうせ石ころだからいい」と言いますが、なんと中身は山盛りのダイヤモンド。ミリオネヤ星の石ころはダイヤモンドのようです。

お父さんの20エモンは「返さんといかん!」と、21エモンに言いつけます。

たくさんのダイヤモンド

 

異なる価値観

ミニオネヤ星人は足が速く、すでにロケットの中。

ロケット

21エモンはなんとか乗り込んで彼らに会います。ミニオネヤ星人はお金がないので、乗客ではなく乗組員としてあくせく働いていました。

21エモンは地球でのダイヤの価値を伝えて返そうとしますが「一度やったものだから受け取れない」と断られてしまいます。

21エモンにとっても、こんな山盛りのダイヤモンドをもらう理由がないので「持って帰ったら僕が怒られるんだ」と言って突き返そうとしますが、ミニオネヤ星人は「地球人はざんこくだ! 血も涙もない鬼みたいな人種だ!」と言って泣き出してしまいました。

どうやら、ミリオネヤ星では、一度あげたものを返してもらうのが1番恥ずかしく、悪いこととされているようです。ちなみに、その次に悪いのが人殺しだとか。

スッキリしない21エモンは何かいい方法はないかと考えて、このダイヤを返せないのならダイヤで買った品をプレゼントすればいいことに気づき、今乗っているこのロケットを買ってプレゼントすることにしました。

ミリオネヤ星人は乗組員から乗客になり、21エモンもダイヤを返却できて、万事解決となりました。

 

接客・接遇

つづれ屋には、文化も生活サイクルも習慣も違う宇宙人たちがたくさんやって来ます。

考え方も価値観も時間の感覚も食べる物も違う——そんな宇宙人たちの注文や要望は、つづれ屋の従業員たちからすれば無理難題ばかりです。

しかし、不人気な旅館ゆえにせっかく泊まりに来たお客様を追い返すことはできず、むしろ、リピーターになってもらおうと最高のおもてなしに尽力します。

『21エモン』は、まさにサービス業における”接客・接遇の難しさ”を目に見える形で表現してくれています。

 

主要キャラ

つづれ屋の従業員たちは主にこの4人です。

●21エモン

貧乏旅館・つづれ屋のひとり息子。

父思いではあるが、将来は宇宙パイロットになりたいと思っている。


●20エモン

21エモンのお父さん。

江戸時代から続くつづれ屋の繁盛と息子があとを継いでくれることを望んでいる。

不正が大嫌い。目先のお金儲けよりも、お客様につづれ屋をに来て良かったと思ってもらうことが生き甲斐がい

おもてなし精神のとても厚い人。


●モンガー

高熱・極寒でも生きていける絶対生物。

なんでも食べてエネルギーにする。

能力:テレポーテーション(3キロ内)。知能は高いが言葉は1週間にひとことしか話せない。


●ゴンスケ

廃棄ポンコツ寸前のところを20エモンに拾われ、つづれ屋でボーイとして働いている。

しかし、そもそもがイモ掘りロボットのため、本心はホテルの仕事よりイモ掘りがしたいと思っている。

言葉遣いが荒く、いい意味で素直で現金なヤツ。

未来の設定であるにもかかわらず、悪口を言われて怒ったり、立場が変わるとえらぶったりびたり、親が子どもの将来を心配したり、そんな人間らしさ溢れるキャラクターが『21エモン』の魅力です。

 

読み方

21エモンはつづれ屋に来るいろんな宇宙人をもてなしながら将来の夢を模索していきます。

「働くことってどういうことだろう」「お金はどんな力や権利を持っていて、どう使うのがいい使い方なのだろう」ということを面白おかしく教えてくれます。

ちなみに、筆者はキャラクターの中でゴンスケが1番好きです。

命を助けられて仕事まで与えてもらっているのに、ゴンスケの頭の中はいつもイモのことばかり。いつかは自分のイモ畑を持ちたいと思い、そのために働きお金を貯めようとしています。

ここにも、働くこととお金の関係性を教えてくれているような気がしてとても為になりました。

 

最後に

藤子・F・不二雄先生の作品はたくさんあります。

ぜひ探してみてください。

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感想(12件)

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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