まさに
害虫になった男
朝目覚めると虫になっていた。その日から家族には邪魔者扱いされるようになり、主人公は孤独と歓喜を享受する——。
これを読んで、今までの人生を見直すきっかけになりました。それに、引きこもりを疑似体験しているような感覚で、面白かったです。
今回はその中から『変身』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、自分の生きる道です。
感想
『変身』との出会い
中学生の時に小説を買って10ページほどですぐに挫折して、それ以来でした。
ジメッとした陰湿さと不気味な雰囲気——しかも、いきなり虫になっているという不条理。
ただただ害虫の様子が語られ、それで気分が悪くなっってしまったのです。
簡単あらすじ
ストーリーはいきなりの急展開から始まります。
ある朝、グレーゴル・ザムザが奇妙な夢から目を覚ますと、大きな虫に変身していることに気がついた。
1912年 チェコ プラハ
ドンドンと部屋のドアをノックする音。それと共に「グレーゴル!」と父が呼ぶ声がします。
ドアの前には父と母と妹の〈グレーテ〉。そして、会社の支配人。
支配人はグレーゴルが営業販売の収益を持ち逃げしやしないかと心配だったのです。
グレーゴルは体の異変に気づきながらも、ドアを開け——。
5年前
父が経営していた高級ブティックは襲撃され、営業できなくなってしまいました。
当時のプラハはドイツ人が支配しており、チェコ人はそれに反発していました。
ドイツ人は支配的地位を守るためにユダヤ人と協力したがその対立がなくなることはなく、チェコ人たちの不満はユダヤ人にぶつけられたのです。
……一家の大黒柱だった父は職を失ってしまった。これからどうやって暮らしていけばいいのか……。
そうなると、若い長男のグレーゴルが働くしかない。
グレーゴルは父の口添えで布地卸売会社に就職する。が、父はこの会社に借金をしていたせいで歩合制の外交販売をすることになりました。
最初は、外回りをしての訪問販売はうまくいかなかったが、ひらめきと努力の甲斐あって営業成績をグングン伸ばしていきます。
ある日、妹のグレーテがバイオリンを弾いてくれました。
父は「そんなのいくら練習したって何の腹の足しにもならん」と吐き捨てましたが、グレーゴルはグレーテに「音楽学校に入学するんだ。学費は僕が稼ぐ」と励ますのでした。
グレーゴルは父も母も妹もを守りたい一心だったのです。
引きこもり生活
虫に変身した直後、グレーゴルは自分に置かれた状況に困惑していましたが、次第に自分の体や引きこもり生活に馴染んでいきます。
食べ物は妹の〈グレーテ〉が部屋の前に運ぶようになりました。
大好物のものがまずく感じたり、腐った残飯がおいしく感じるようになります。
1人で過ごす時間に安らぎを感じるようにもなります。
変身は、マイナスの出来事に見えましたが、グレーゴルにとってはプラスの出来事だったのかもしれない描写がなされています。
仕事に行きたくない
外交販売の仕事は、グレーゴルにとって〈やりたくない仕事〉でした。
〈やりたくない仕事〉であっても生活するためには働くしかない。
いっそうのこと、クビになってしまえばラクになろうものなのに、それとなくこなしてしまう小器用な自分を憎らしく思ったことでしょう。
やりたい仕事に就けるのは天才か秀才のひと握り。だから、凡人はやりたい仕事よりもやり甲斐のある仕事を選ぶと良いと何かで聞いたことがあります。
でも結局、我慢ばかりをしてストレスを溜め込んで、ふと、自分の人生がなんてつまらないんだと気付かされるときが来ます。
「周りの人のように頑張りたいけど、どうしても頑張れない自分はいったい……。この気持ちは誰にもわかってもらいない!」
誰しもこんなふうに考えたことが一度はあるのではないでしょうか。
著者のカフカはまさに虫のようになりたかったのかもしれませんね。
読み方
ネガティブで陰湿で怪奇性あり。
しかし、明るい話ではないから悩みや苦しみや醜悪さがリアルで、その嘘偽りのないグレーゴルとその家族に深く共感しました。
構成は〈変身する前と後〉です。
1時間ほどで読めました。
最後に
まずは【まんがで読破】を読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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