まさに
孤独なダークヒーロー
悪魔の力で悪魔を討つ。孤独なヒーロー・デビルマン。敵は悪魔か天使か、それとも人間か——。
悪魔=敵。人間=味方。デビルマンは人間を救うため、孤独な闘いに明け暮れていきます。
■結論
この本が教えてくれるのは、何のために戦うのかです。
■感想
深夜の再放送で
確か1990年代の深夜、『デビルマン』が再放送されていました。
深夜1〜2時頃から2時間(4話分)くらいの枠で、昔のアニメが再放送されていたのです。
僕はそこで初めて『デビルマン』を観ました。
他にも『ガッチャマン』や『妖怪人間ベム』も再放送していました。
僕はその中でも特に『デビルマン』が好きで、たまに夜更かしをして観たり、ビデオに録画して観ていました。
悪魔のヒーロー
デビルマンは一話完結のヒーローもの。そんなふうに僕の目には映っていました。
「デビーール!」と少年(不動明)が叫ぶと電気が放電したように光を放ち、衣服が破れて巨大化、デビルマンに変身します。
そして、悪魔の刺客(=デーモン)と闘います。
技を出す時、「デビルビーム!」「デビルウイング!」「デビルカッター!」など、技の名前を叫ぶところや、全身緑色の体に赤い翼、ウルトラマンのように巨大化して闘う姿は、紛れもなくヒーローそのものでした。
ストーリーが進むにつれ、デビルマンは元々、人間を滅ぼすためにやってきた悪魔(=デーモン)であることが分かってきます。
しかも、たった1人の少女・牧村美樹に惚れてしまったせいで人間側に立ったという、なんとも風変わりな設定でした。
再放送終了……ある日
デビルマンは次々とやってくる刺客と闘い勝利していきます。
確かクライマックスで、巨大化したデビルマンが豆粒に見えるほどの大きな敵が現れたことを覚えています。
しかし、いざテレビを観ると、別のアニメが放送されています。次の週も次の週も……。『デビルマン』は終わっていました。
当時、インターネットは一般家庭に浸透しておらず、僕の家にもパソコンはありませんでした。
昔のアニメを紹介するようなテレビ番組や雑誌はなく、『デビルマン』について調べることができません。
「あの後、どうなったんだろう」僕はしばらく悶々とした日々を過ごしていました。
ある日、本屋の漫画コーナーを歩いていると、〈[完全復刻版]デビルマン〉のコミックが目に入ってきました。1〜5巻まであります。〈新デビルマン〉というコミックもあります。
僕はすぐ手に取って表紙と裏表紙を何度も見回しました。
(なんとなく絵の感じが違うな……)と思いましたが、そんなことは気にせずに6冊買いました。
原作のあらすじ
学校の帰り道、突然、親友・飛鳥了がやって来たことで物語は幕を開けます。
主人公・不動明に親友・飛鳥了は助けを求めます。(以下、アスカ)
不動明が何があったのか問いただすと、アスカは信じられない恐ろしい話を語り始めました。
アスカの父は考古学者で、氷の遺跡の中に冬眠状態にある悪魔(=デーモン)を発見してしまったと言います。そして、その悪魔が目覚めようとしていて、人類は悪魔に対抗する力を持ち合わせていないと、アスカは断言します。
半信半疑の不動明にアスカは涙ながらにこう訴えます。
「悪魔と合体してくれ」
悪魔と合体し、悪魔の心と力を乗っ取ることに成功したならば、人類が悪魔を勝つことができるかもしれない。
不動明は親友・アスカの願いを聞き入れ、悪魔と合体する道を選ぶのでした。
アニメと原作漫画との相違点
「あれ? アニメと違う」
●悪魔でありながら人間の側に立った〈アニメのデビルマン〉
●人間の体を捨てて悪魔と合体した〈原作漫画のデビルマン〉
「でも、面白いからいいか」僕は漫画のデビルマンも好きになっていました。
漫画の方がリアル嗜好なんですね。
人間のエゴがありありと描かれていて、闘いも正義のためとか単純なものじゃなくて、自分が信じる人のために闘ってる感じがものスゴく共感できるんですね。
それに、漫画のデビルマンの方が悪魔らしい姿をしています。
目つきは鋭く、獣っぽい体に獰猛な精神を持っています。
闘い方も野蛮な獣のように荒々しく闘いますが、実は、心の中では泣いていたりします。
——漫画の『デビルマン』は残酷な描写が含まれています。鬱漫画とも言われています。
それは人によっては魅力であり、不快でもあります。
■読み方
1巻の前半はアスカと不動明の会話のシーンが大半を占めています。
最初からアスカの父やデーモンの姿が出てくることはなく、全てアスカの体験談が主で、しかも長々と話すので、「本当かなぁ」「嘘くさいなぁ」と思うかもしれません。
「後々、面白くなってくるので、もう少々お付き合いください」といったところです。
■ハイライト
・悪魔の世界
・変身
・悪魔の能力
・悪魔の性状
・人間の本質
・デビルマンとは何なのか
・結末
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