まさに
体感ミステリー
世界初のミステリー漫画。主人公はかの有名な探偵、金田一耕助の孫・金田一一(きんだいち はじめ)。
普段は冴えない高校生。実は、IQ180の天才児。ひとたび難事件が起こると、性格が変わったように難解なトリックを解き明かす——。
結論
この本が教えてくれるのは、推理の醍醐味です。
感想
子供の頃、お婆ちゃんが
僕が小学生だったある夜のこと、お婆ちゃんが重々しい雰囲気のドラマを観ていました。
それが『金田一耕助シリーズ』です。残念ながらタイトルまで覚えていません。
「誰にも分からない事件の真相を、金田一さんだけは全部分かっとるんや」とお婆ちゃんは笑っていました。
主演は確か、古谷一行さんだった気がします。
僕は「ふ〜ん」と言ったものの、ドラマの演出が怖くて最後まで観れませんでした。
思わぬ形で
僕が中学生になった時、母から塾に行くように言いつけられました。
僕が集団行動が苦手なこともあって、母はそれを気にかけてくれたのか、少人数制の塾を探して来たようでした。
場所は一般の民家の離れで、親切な人が貸してくれていると言います。
実際に行くと、来ていた生徒は僕の他に、同級生の男の子が1人だけでした。
先生は大学生の男の人で、明るくてフレンドリーな人でした。
2時間ほど勉強した後、雑談をしたり、その時流行っていた漫画や音楽の話を1時間ほどしてくれました。
先生の話は新鮮で面白く、僕にとってそれがスゴく楽しい時間になっていました。
ある日、いつものように勉強が終わってペチャクチャ喋っていると、先生は「漫画読む?」と言って週刊少年マガジンをカバンから出してきました。
それがきっかけで盛り上がったのが『金田一少年の事件簿』です。
なんと、それが金田一一のデビュー〈第一話〉でした。
それから毎週
先生は毎週、週刊少年マガジンを持って来てくれました。
先生と僕ともう1人の男の子と「犯人は誰だろう?」「〇〇が怪しいんじゃないか」とか言いながら、毎週毎週、3人で推理し合いました。
『金田一少年の事件簿』の特徴は、〈週ごとに1つの事件が進んでいく〉というスタイルでした。
ミステリーの2時間ドラマであれば、1話で完結するのが当たり前だったので、毎週毎週じっくりと推理できる時間が持てるのは斬新でした。
だいたいの事件が10話前後で構成されていて、中間の5話くらいになると、マガジンの中で〈犯人だと思う人〉をハガキで募集するのです。それも相まって、学校でちょっとした金田一フィーバーが起きていました。
みんな、「自分は〇〇が犯人だと思う」と、自分の推理をお互い言い合うのです。
テレビドラマ化も
金田一の人気はとどまることを知らず、テレビドラマ化が決定しました。
「金田一は誰がやるの?」と、誰もが金田一一のイメージにピッタリな俳優を思い浮かべたんじゃないでしょうか。
なんと主役は、大人気アイドル・KinKi Kidsの堂本剛さんでした。
普段は冴えない普通の高校生が難事件が起きるとキリッとした顔で推理していく姿は、まさにドンピシャのハマり役でした。
原作と比べて、若干の配役の違いや内容が変更されている部分はありましたが、ドラマオリジナルだと思うと、それほど気にはなりません。
漫画で犯人が分かっていても「ドラマでは犯人を変えてくるのかな?」と思ったり、ドラマ自体が面白いこともあって、金田一の魅力が色褪せることはありませんでした。
その後、テレビドラマの続編やアニメ化もされて、『金田一少年の事件簿』はミステリー漫画の一大ブームになりました。
読み方
コミックは27巻まで続き、その後はCaseシリーズという、事件が1冊(または2冊)に収まる形式になったり、ショートファイルとして短編ミステリーに姿を変えたりしています。
さらに『金田一少年の事件簿R(リターンズ)』や『金田一37歳の事件簿』もあります。
また、犯人側の心理を描いたクスッと笑えるスピンオフ『犯人たちの事件簿』もあります。
どれから読んでもミステリーの醍醐味を堪能できます。
最後に
原作コミック、復刻版、スピンオフ、小説、アニメ化、実写ドラマ化、と盛りだくさんです。
ぜひ探してみてください。
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