まさに
異児の妖怪退治
「体を返せ!」48の体の部位を取り返すため、百鬼丸は魑魅魍魎に立ち向かう——!
僕が大好きな漫画 『どろろ』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、罪悪感との向き合い方です。
感想
『どろろ』との出会い
手塚治虫先生の本の中で、妙なタイトルの本がありました。
『どろろ』です。
聞いたことがない言葉です。擬音なのか物の名前なのか。
何やら殺伐として尋常ではない、おどろおどろしい雰囲気を感じました。
簡単あらすじ
——戦国の世。百鬼丸は生まれてすぐ体を48の魔物に奪われてしまいます。
目も鼻も耳も手も足もない。残ったのはいも虫のような胴体のみ。
残酷にも、百鬼丸はタライに乗せられ、川に捨てられてしまいます。
しかし、捨てる神あれば拾う神ありで、医者に拾われます。彼は人情味のある優れた医者でした。
百鬼丸を立派な人間にしてやろうと、木と焼き物を加工して、義手や義足などの足りない体の部位を作ってくれました。
……13.14歳になった頃、百鬼丸は幸せな人生を探す旅に出ることになります。
そして、その道中で48の魔物を倒すと体の部位が戻ってくることを知るのです。
もし全ての魔物に勝つことができれば普通の人間になることができるかもしれない。
百鬼丸は48の魔物を倒すことを堅く決意するのでした……。
背負わされた罪悪
百鬼丸は親から受けた罪悪に苦しむキャラクターです。
●父・醍醐景光は〈天下を取る〉という野望と引き換えに我が子の体を魔物に差し出し、罪悪を背負います。
●母は、夫の野望のために、我が子を捨てるという罪悪を背負います。
●子(百鬼丸)は両親を愛せないという罪悪を背負います。
親のせいで人生を狂わされたキャラクターなのです。
誰でも「こんな家に生まれたくなかった!」「こんな親じゃなければ良かったのに!」と、思ったことがあるのではないでしょうか。
子が親に抱く普遍的な思いだからこそ『どろろ』は感動するのだと思います。
親のせいで苦しむ子供はどう生きていけばいいのか? その答えが分かります。
味方は……
呪われた運命を背負った百鬼丸に、死霊・妖怪がつきまうようになります。
「俺なんてどうせ生きるはずじゃなかったんだ」と弱気になりますが、そんな時、心の支えとなってくれる盲目の琵琶法師がいます。
彼は目が見えないにもかかわらず、ポジティブな言葉で百鬼丸を励まそうとしてくれます。
ところが、百鬼丸は琵琶法師の言葉を素直に受け止められません。
「あんたには俺の苦しみが分からないんだ」と言ってふてくされてしまいます。
「だからって、おめえさんが死ぬことはねえと思うよ」琵琶法師はこう言って元気付けてくれます。
百鬼丸が魔物を倒して48の部位を取り戻し、普通の人間になれた時が来たとする。「それから後、おめえさんはどうする?」
琵琶法師は、誰かのために役に立つ道こそが生き甲斐であり、百鬼丸の幸せだと優しく説いてくれるのです。
どろろの存在
〈どろろ〉は、百鬼丸と行動を共にすることになった盗人の少年です。
妖怪退治の道中に偶然出会ったどろろは、百鬼丸の持つ刀が欲しいという理由で彼の後ろを付いてくるようになります。
〈どろろ〉も孤独で、悲しい過去を背負っていますがそんな素振りは見せず、いつも元気で明るく振る舞っています。
時には危険な場所に飛び込んで行ったり、大人相手に立ち向かって行ったり。感情のままに後先考えずに行動します。
正直に言って、どろろの存在は百鬼丸に何も関連がないように見えます。
相棒というほど強くはないし、子供すぎて相談相手にもならない。どちらかと言えば足手まといです。
僕はどろろが百鬼丸にとって一体何の役割を果たしているのだろう? とずっと思っていましたが、今は少し分かったような気がしています。
読み方
「もっと読みたかった」というのが本心です。
完全な体を取り戻す前に物語は終わっているので、名残惜しい気持ちがあります。
絶望の世界で戦う百鬼丸をギュッと抱きしめたくなるほど好きになり、「絶対に五体満足な体を取り戻せよ」と応援しながら読んでいました。
誰が見ても、これほど不自由な体はないと思うでしょう。
元気をもらいました。
最後に
原作コミック、手塚治虫漫画全集、文庫本、スピンオフ、アニメ、映画、たくさんあります。
ぜひ探してみてください。
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