まさに
中華統一
紀元前255年——500年続く戦乱の世。大将軍を夢見る少年と秦の若き王が中華を統一していく波乱の物語。
「今さら読んでもなぁ」とずっと思っていました。が、読んでよかったです。一生分の活力と胆力を得た気がします。
僕が大好きな漫画 『キングダム』を簡単3分でご紹介します。
もくじ
結論
この本が教えてくれるのは、不可能を可能にする力です。
絶体絶命の窮地。勝てるわけない戦い。土台無理な夢。これらを乗り越えていく物語です。
感想
『キングダム』との出会い
巷で「面白い、面白い」と噂され、芸能人からも高い評価を得ている漫画。それが『キングダム』でした。
僕の第一印象は、ガッツリ系歴史漫画。しかも「中国の古い話の何がそんなに面白いんだ?」でした。
絵のタッチは少しクセがあり、登場人物の顔つきには怒りや憎しみが漂っています。
「中国なんて関係ないし、どうせ日本の戦国時代と似たようなもんだろ」と見向きもしませんでした。
そんな時、実写映画『キングダム』が公開されました。
主演は山崎賢人さん、そして吉沢亮さんです。長澤まさみさんや橋本環奈さんも出演とのこと。
僕の大好きな役者さんばかりです。
「これなら観れそうだな」と、観てみることにしました。
開始10分——ガシッと心臓を鷲掴みにされたように引き込まれました。
心震えるとはこのことです。
もう目が離せません。
簡単あらすじ
紀元前255年。中国、西の国〈秦〉。そこに、奴隷として生活する2人の少年がいました。
名を〈信〉〈漂〉といいます。
その頃の中国は貧富の差が激しく、奴隷が平民になることはおろか、に出世することは叶わないほど厳しい世の中でした。
しかし〈漂〉は〈信〉に言います。
「奴隷は大人になっても奴隷。奴隷の子供も奴隷。……でもな、一つだけ方法がある。——剣だ!」
剣の腕を磨き、戦場で武功をあげれば、この中国で大将軍になって裕福な生活ができる。
そうして2人は仕事の合間を縫っては毎日毎日、剣の練習をするのでした。
そんな日々が3〜4年ほど過ぎたある日、彼らの元に〈高貴な男〉が現れます。
その男の名は〈昌文君〉。秦国の将軍兼政治家です。(君は貴族の敬称。さん・様の類い)
「瓢よ、お前は今から王宮で働くのだ」
唐突で突拍子もない〈昌文君〉の言葉に動揺を隠せない2人ですが、天下の大将軍を夢見る〈信〉は〈漂〉を喜んで送り出します。
〈漂〉が王宮に行って数日後の夜、〈信〉が寝ている納屋の戸を叩く者がいます。
「誰だ」
〈信〉が戸を開けるとそこには血だらけの〈漂〉が……。
〈漂〉は息絶え絶えで、〈信〉に地図を1枚託すと死んでしまいます。
訳が分からぬままその地図の場所へ向かうと小さな小屋が目に入りました。「……ここか」
そこに入ると、なんと〈瓢〉と瓜二つの少年がいました。
彼こそが、秦の国王〈嬴政〉だったのです。
顔が似ていた〈瓢〉は〈嬴政〉の影武者となり、死んだのでした。
〈信〉は思いの丈をぶつけますが、そんな時、刺客〈朱凶〉がやって来ます。
〈朱凶〉とは、暗殺を生業とする部隊の名前です。
襲いかかる〈朱凶〉、それと戦う〈嬴政〉を前にして、〈信〉は状況を飲み込み始めます。
〈朱凶〉は〈嬴政〉と瓜二つの〈瓢〉を殺して、それが影武者だったことに気づき、1人、この小屋まで追ってきた。そして、それを企てた黒幕がいる。
怒りと闘志に火がついた〈信〉は〈朱凶〉に挑み、苦心の末、打破します。
しかし、勝利したのも束の間、更なる追手が目前まで迫っていました——。
春秋戦国時代
紀元前770年〜紀元前221年に秦が中国を統一するまでの時代のことです。
『キングダム』が描かれる紀元前255年の状況はというと、中国大陸には7つの国があり、大きな戦争が何度も繰り返されていました。
〈秦〉〈燕〉〈楚〉〈趙〉〈魏〉〈韓〉〈斉〉
仮に隣国に勝ったとしても、ガラ空きになった所を攻め込まれたら国は取られてしまう。
そのため、各国は隣国の動向を探ったり、時に同盟を結んだりしてしのぎを削っていたようです。
秦の始皇帝
『キングダム』は初めて中国を統一した、秦の国の物語です。
中国の歴史書〈史記〉を元にして作られています。
学校で一度は〈秦の始皇帝〉と言う言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
秦の始皇帝=〈嬴政〉です。
「どうやって他の6つ国に勝ったんだ?」醍醐味はこれに尽きます。
漫画を読んでいる限り、絶体絶命のピンチが何度も訪れます。
「こんなの絶対無理やん!」「どうやっても勝てるわけない!」と何度も思うのですが、予想を遥かに越えて来ます。
〈嬴政〉は恵まれた王ではありません。
どちらかと言えば、瀕死の王です。
敵は6つの国だけでなく、国内にもわんさかいます。
親兄弟・側近が〈嬴政〉を殺そうとしてきます。
力不足ではありますが〈信〉や〈昌文君〉を含めた味方もいて〈嬴政〉を支えます。
愛すべき魅力的なキャラクターたち
王様、将軍、軍師、文官など、魅力的なキャラクターがたくさんいます。
最初は「こいつ嫌いやわ〜」と思っていたキャラも、読んでいくうちに「こいつ、本当はいい奴やん!」と好きになっていたりします。
そんな魅力いっぱいのキャラをご紹介します。
●主人公の〈信〉
天下の大将軍に憧れる少年。単純で前向きな性格ですが、芯は強く、無意味な凌辱や殺生を嫌います。
●悲劇の王〈嬴政〉
最悪の境遇の中にいたが、暖かい人々との出会いが彼を強く成長させ、戦争のない世を作るため、中華統一の夢を抱くようになります。
●信頼のおける側近〈昌文君〉
〈嬴政〉が秦の国王として国を統治することだけを望み、尽力を惜しまない性格。
●愛くるしい山の民〈河了貂〉
いつもフクロウの被り物を着ている。〈信〉は気づいていないが実は女の子。
●秦国の大将軍〈王騎〉
〈信〉が憧れ仰ぐ最強の将軍。強いだけではなく、将軍としての生き方を信に教える。
●嬴政の腹違いの弟〈成蟜〉
自分こそが真の王だと豪語し、反乱を起こす。
やっぱり〈王騎〉はかっこいいですね。
最初は「何? この変な奴」と思っていましたが、物語が進んでいく内に「王騎、めっちゃカッコイイ!」となります。
大きな声では言えませんが実は密かに〈桓騎〉が好きです。
他にも、心をつかんで離さない魅力たっぷりのキャラクターがたくさん出てくるので、楽しくて仕方ありません。
日本と中国との相違点
日本の戦乱の世は〈謀略〉〈裏切り〉〈略奪〉が常ですが、中国の場合、これに〈虐殺〉が加わります。
日本は土地の奪取の戦いであるのに対し、中国は侵略の戦いです。
中国人と一口に言いますが、昔あの広大な中国大陸には昔からたくさんの民族が暮らしていて、彼らは生活習慣も言葉も文化も考え方も違います。言わば、同じ場所に別の国が混在しているのです。
日本で言えば、本州(昔の日本)から見た北海道(蝦夷)や沖縄(琉球)と言えば分かりやすいかも知れません。
日本は島国のためか、蝦夷や琉球への侵略は重要視されていなかったようですが、中国は陸続きに国同士が隣り合っています。
考え方の違う民族同士が侵略した後に危惧されること——それは禍根を残すことと報復です。子供や親族、もしくは親しく恩義のあった使用人など、関わりがあった者が復讐してくるかもしれない。だから一族郎党皆殺しするのです。
他にも儒教の教えが根底にあるとも言われています。(家族・血族の繁栄を大事にする思想。よって、敗者にはその逆を与える。すなわち、それが虐殺・皆殺し)
それが、日本と中国の大きな相違点です。
「地獄みたいだな」と思うかも知れません。だからこそ、人間が持つ生きる力に感動します。
読み方
残酷なシーンが多いですが、残酷なシーンが苦手な僕でも読めました。
中国大陸全土をかけた大戦争。虐殺や凌辱が当然のように行われていた時代。〈信〉と〈嬴政〉には中華統一という大きな夢に進んでいきます。
戦国の世に生き散っていく人々に胸がドクンドクンと熱くなりました。
最後に
原作コミック、ガイドブック、アニメ、実写映画、たくさんあります。
ぜひ探してみてください。
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