まさに
日本の成り立ち
愛・欲望・戦い・誕生……! イザナギ・イザナミ、アマテラス、スサノオ、オホナムヂ……日本の神々による国づくりが始まった——。
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『古事記』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、日本人の和心です。
感想
『古事記』との出会い
2012年、この年は古事記生誕1300年とかで、巷ではちょっとした古事記ブームでした。
子供の頃に童話やアニメなどで見たり聞いたりした、『やまたのおろち』や『いなばの白兎』、『ヤマトタケル』などは古事記の中の物語なのだそうです。
簡単あらすじ
日本に現存する最古の歴史書といわれている
上・中・下の3巻に分かれ、遠い神代の時代から第33代・推古天皇に至るまでが旧辞・帝紀を中心にさまざまな叙事や和歌をふんだんに交えて書き記されている。
図書室で『古事記』の原文を読む4人の生徒たち。
彼らは、夏休みの課題として『古事記』のレポートを作るために集まっていたのだが、さっぱり意味が分からず、ちんぷんかんぷん。
中には、インターネットの考察サイトを参考にしてその文章をちょっと変えてまとめちゃえば? なんて意見も飛び出すほどです。
すると、司書教諭の〈櫻井先生〉がやって来ました。
〈櫻井先生〉は大学で文学部だったと言うので、生徒たちはアドバイスを求めます。
しかし、〈櫻井先生〉は、『古事記』の真意を正確にはかれないのでそれぞれの解釈でいいと言います。
また、神話の真意とは目に見えないことを表現しているので、〈何を言わんとしているのか?〉を探る気持ちで読まなれば、神話はまったく意味のない物語となってしまうと言います。
生徒たちは、かと言ってこのままでは自力でレポートは書けそうにないので、〈櫻井先生〉の意見を聞いてみることにしました。
天地の始まり
天地はじめて發けしとき
高天原に成りし神の名は天御中主神
次に高御産巣日神が
次に神産巣日神が
この三柱の神はみな獨神と成りまして身を隠したまひき
男子生徒が翻訳します。
「これは……宇宙の初めのとき、御中主神が高天原にがお生まれになった。次に高御産巣日神、次に神産巣日神がお生まれになった。この三柱の神は単独の神で姿はなくとも確かに存在する神である」
〈櫻井先生〉はこの文章の中に日本特有の表現があると言います。
それは、神様が宇宙の後に生まれていること。
創造主が世界を創ったのではなく、日本の祖先はビッグバン以前の世界を想定していて、ビッグバンのように空間が生まれて時間が生まれ、今の世界ができたと考えたと解説します。
そして、高天原とは天上界のことですが
[高]……高低の差を示すタテ軸を表す
[天]……空間・時間
[原]……水平に広がるヨコ軸を表す
このように、三次元の世界を表していると言います。
この次に、世界を形成する二柱の神が生まれ、さらに神代七代と呼ばれる神々が生まれます。
そのうちの男女の神である〈イザナギ〉と〈イザナミ〉は人類の祖先となり、天津神(高天原にいる神々)の命を受け、国作りを始めます。
——そして有名なこのシーン
ふたりはお互いの成り余るところと成り足らぬところを差し塞いで「ミトノマグワヒ」により国を生もうとします
しかし〈イザナミ〉の方から誘いかけてしまったために国生みは失敗します
〈櫻井先生〉は、これは男尊女卑ではないと注釈を入れます。
男女は平等だが同質ではない。性別による役割や特性の違いを見極めることが大切だと言います。
この「マグワヒ」ももちろん、ただの成功ではありません。
男性は陽気、女性は陰気を象徴とし、2つの気がお互いを補い合い、国作りが進んでいきます。
そして、〈イザナギ〉と〈イザナミ〉は天津神にうかがいを立てて、今度は国生みを成功させます。
そんなわけで、(1)淡路島→(2)四国→(3)隠岐島→(4)九州→(5)壱岐→(6)対馬→(7)佐渡→(8)本州を生み、さらに六島を生みます。
突然の悲劇
今度は〈イザナギ〉と〈イザナミ〉がたくさんの神々を生んでいきます。
建築に関するの神、海の神、……そして火の神が生まれた時、悲劇が起こります。
火の神である〈ヒノカグツチ〉を生む時に負った火傷が原因で〈イザナミ〉は死んでしまうのです。
〈イザナギ〉は悲しみのあまり自分の子〈ヒノカグツチ〉を斬り殺してしまいます。
〈櫻井先生〉は、火は文明の象徴であり、同時に力の象徴でもあるので、感情による殺傷が始まったことを示唆してると解説します。
そして、〈イザナギ〉は亡き妻を連れ戻すべく、黄泉の国へ向かいます。
そこの閉ざされた石の戸から〈イザナミ〉に話しかけます。「いとしいわが妻よ。お前の助けが必要なのだ。どうか私と一緒にもう一度戻ってはくれないか」
〈イザナミ〉は、戻ってもいいか黄泉の国の神々へうかがいを立てる間、外で待ってほしいと言いますが、待ちかねた〈イザナギ〉は中に入ってしまいます。
すると、そこには死んで腐敗した醜い妻の姿が……。
「私に恥をかかせた」と〈イザナミ〉は怒り、〈イザナギ〉を追い立てます。
〈イザナギ〉は黄泉の国と現世の境目にきたとき、大岩で道を塞ぎ、絶縁を申し立てましす。
怒り狂った〈イザナミ〉はこう言います。
「あなたがそんなひどいことをするのなら、私は1日に1000人の人間を殺すでしょう」
〈イザナギ〉はこう言い返します。
「お前がそんな非道なことをするのなら、私は1日に1500の産屋を建てて子どもを産ませよう」
〈櫻井先生〉は「これは、3歩進んで2歩下がるという日本人の思考を表しているんですよ」と注釈を入れます。
そして、黄泉の国から戻った〈イザナギ〉は禊払いを行い、次々と神々が生まれていきます。
最後に、〈天照大神〉、〈月読命〉、〈建速須佐之男命〉が誕生し、日本神話の主役となる神々が物語を彩っていきます。
読み方
感情豊かな神々はとても親近感が持てました。
神様の名前が覚えづらいですが、物語の重要となる神様だけでも分かっていれば十分楽しめます。
例えば、〈イザナギ〉〈イザナミ〉〈アマテラス〉〈スサノオ〉〈オホナムヂ=オオクニヌシノカミ〉。これだけ知っていれば、古事記の全容はつかめます。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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