まさに
人間の精神と心の解剖
「君は自分の人生や今の生活に満足しているのか?」 ある日突然、仮面の下に押し込めていた抑圧が爆発する——。
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『ジキル博士とハイド氏』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、本当の自分の顔です。
感想
『ジキル博士とハイド氏』との出会い
タイトルは聞いたことがありました。
二重人格の代名詞としてテレビや雑誌なんかでもよく使われている言葉です。
簡単あらすじ
人はみな仮面をかぶって生きている
親という仮面
子という仮面
家族という仮面
友だちという仮面
男という仮面
女という仮面
社会人という仮面
常識人という仮面
自分という仮面
人間という仮面
抑圧された仮面の下の影はやがて悪意を帯びて肥大化してゆく
〈ジキル〉は「人はそれぞれの役を演じているのだよ」と、〈アタソン〉に言う。
ジキルは裕福な家に生まれ、不自由のない生活を送り、法学と医学の博士号を修め、慈善事業に取り組む人望の厚い学者。
アタソンは名声と社会的信用のある町の弁護士。
2人は学生時代からの友人だった。ジキルの家でワインを飲みながら、〈もしも別人になれる薬があったら飲むか? 飲まないか?〉という空想話に花を咲かせている。
——と、ガチャっと部屋のドアが開いた。「どうもお久しぶりです」と、入ってきたのはジキルの助手の〈ハイド〉だった。
ハイドはジキルの助手になって1ヶ月くらいの、真面目ないい青年だった。
アタソンがジキルに今どんな研究をしているのかを問うとこう答えた。「人間の精神と心の解剖……といったところだ」
夜も更け、自宅に戻ると、不機嫌そうな妻を尻目に1人ソファで眠った。
翌日、アタソンは〈カルー卿〉の自宅へと向かった。
カルー卿は上院議員でジキルの友人であり、今回の弁護依頼はジキルからの紹介だった。
ぜひ、専任の弁護士になってほしいとの話だった。
アタソンはお礼を兼ねてジキル宅へ行くが、ジキルの研究が忙しいためか、待たされたあげくに帰されてしまう。
夜になり、アタソンは〈ラニョン医師〉の自宅に寄った。
ラニョンはジキルと同じ学生時代からの友人だった。
アタソンはジキルの様子がいつもと違っていることが気になり、少し話をして自宅へ戻った。
家に戻ると、妻はベッドで静かに寝ていた……。
怪事件発生
数日後、ジキルはアタソンの事務所にやってきました。
何の用かと思うアタソンに、ジキルは突然〈遺言書〉を差し出し、「証人として保管してもらいたい」と言います。
遺言書の内容は、ジキルが死んだ場合に財産を助手のハイドに相続させるというもの。
不可解な内容でしたが、悩んでいる様子のジキルにアタソンはそれ以上は理由を聞かずに約束をします。
——その日の晩、アタソンは日頃の疲れを癒すためにある娼婦館にいました。
すると、「キャアアアアッ!!」と叫ぶ声が館内にコダマします。
そこにはあのハイドが少女に対して殴る蹴るの暴力を振るっていました。
アタソンは一瞬目を疑いますが、間違いなくジキルの助手のハイドでした。
ハイドが立ち去ろうとした時、偶然そこに通りかかった少女にまで腹を立て足蹴にします。
目上の娼婦たちが「ケジメをつけろ」と言い立てると、ハイドはサラサラっと小切手を書いてその場から去って行きました。
その額は100万ポンド(現在の200万円程度)。名義はジキルでした。
生きにくい世の中
この作品で描かれるのは、まさに欲求不満の爆発です。
「君は自分の人生や今の生活に満足しているのか?」
このセリフにドキっとしました。「自分の無意識下に眠っている感情がある日突然起きてきやしないだろうか?」と。
〈ジョハリの窓〉や〈3つの自分〉など、自分と他者(Iとyou)の間で生まれる顔(性質)を表す考え方は何かしらで聞いたことがあります。
自分が思う自分と他人が思う自分とのギャップが大きくなると、「私はそんな人間じゃないんだ!」と発散したくなりますね。
この作品はストレスの多い人間社会に対して警鐘を鳴らしてくれています。
読み方
狂気とサスペンス、そして非現実なのにリアルな作り。
この甘美な悪意は鋭い中毒性を帯びています。実際、僕は何度読んだか10回を越えたあたりまでしか覚えていません。
そしてハラハラ・ドキドキ。途中で読み止めることはできません。
あなたの仮面の下はどんな顔をしているのか——。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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