【解説】山本有三『路傍の石』(講談社まんが学術文庫)|結論|感想|読み方

路傍の石 イメージ

まさに

貧乏人の子供

父はろくに働かず、中学へ進学したくても許してもらえず。友だちの呉服屋に丁稚奉公に行かされ——。

よーいち
「よし! 明日も仕事がんばるぞ」と前向きな気持ちになりました。

今回は【講談社まんが学術文庫】の中から『路傍の石』を簡単3分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、人生、いかに生きるかが重要です。

 

感想

『路傍の石』との出会い

山本有三も路傍の石も聞いたことがありませんでした。

【講談社まんが学術文庫】が好きで読んでいたので、全作品を収集するつもりて購入しただけでした。

でも、こんなに胸が熱く感動するとは思いもしませんでした。

 

簡単あらすじ

日本がまずしかった明治中頃——

子供たちの自慢話

愛川吾一あいかわごいち〉は近所の少年少女と自慢話に花を咲かせていました。

ある少年は、恐ろしいお爺さんの家からスモモを盗んだと言います。

またある少年は、薬種屋の大きな看板を盗んできたと言います。

それならと、別のある少年は、交番の前にある家から表札をひっぺがしてきたと言います。

「それじゃあ、みんなどろぼうみたい」とクスクス笑うのは、町1番の呉服屋・伊勢屋のお嬢さん〈おきぬちゃん〉だった。

次に話すのは呉服屋・伊勢屋の跡取り息子〈福野秋太郎ふくのしゅうたろう〉。おきぬちゃんの兄だ。勉強の出来は悪く、一度留年したために吾一と同じ高等小学校2年生だ。

そんな秋太郎しゅうたろうはこの町で1番長い橋の欄干らんかんの上を歩いて往復できると言います。

自慢話が盛り上がりを見せる中、吾一はまだ自慢話をしていないないので催促されますが特にこれといった自慢話はありませんでした。

おきぬちゃんは「吾一ちゃんはあなた達みたいにおばかさんなことはしないのよ」と吾一をかばってくれます。吾一は学校一の秀才で級長で、もし中学に入れたら中学でも1番になると先生も言っていたと言います。

おきぬちゃん

しかし秋太郎しゅうたろうはこう言います。「どんなに頭が良くったって、吾一ちゃん、どーせ中学になんかいけなじゃないか」そして「ま、おれは吾一ちゃんより頭悪くても中学いけるけどね〜」

そう罵られ、吾一は売り言葉に買い言葉で、汽車が通る鉄橋の線路の枕木にぶら下がって汽車が通り過ぎるまでやり過ごしたことがあるとホラを吹いてしまったから大変なことに……。

 

明治の教育制度

義務教育は尋常小学校(義務制の小学校)が4年生まで。

その後は高等小学校に2年〜4年通い、中学校に進学することになっていた。

しかし、その頃の進学率はわずか4%。

授業料が高いため、進学できるのは裕福な子どもだけ。ほとんどの子どもは小学校を卒業するとともに家の手伝いや働きに出ることが当たり前でした。

吾一ごいちは中学で勉強したいと思っていましたが、そんな家庭環境ではありませんでした。

父は士族(=武士)でした。

その今のご時世、武士は新しい時代にそぐわなくなっていました。

新しい制度や法律が改正されて、武士は大義やお金を得る手段を失い、落ちぶれていきました。

吾一の母は、そんな落ちぶれて酒浸りで暴力を振るう夫にただただ従うことしかできませんでした。

 

希望 そして 絶望の底へ

吾一に希望が訪れます。

それは奨学金でした。といっても、本当は近所の病弱な青年が吾一の家庭環境に心を痛めて出資してくれたお金だったのです。

そんなことを知らない吾一でしたが嬉しくてたまりませんでした。

母に中学への進学を話しますが、父は「武士の子としての気概をもて」と武士道論を熱弁し、進学を許してはくれませんでした。

父・庄吾

高等小学校を卒業することもできなかった吾一は天気のいい春の日、呉服屋・伊勢屋に奉公に行くことになりました。

おきぬちゃんや秋太郎の親が経営する伊勢屋。

しかし、かつての友人の姿はもうそこにはありませんでした……。

 

路傍とは

路傍とは「道端」という意味です。

路傍の石とはまさにその辺の道の端に転がっている、ごくありふれた石ころのような人間という比喩です。

この作品を読んで途中、何度も目頭が熱くなる場面がありました。

自分の運命を呪いたくなったり、悔しすぎて歯を食いしばったり、人間に世間に失望したり。僕自身もそんな苦い思いを何度もしてきた記憶が甦り、喉元に込み上がってくる悲痛をなんとか消化して「フー」っと大きなため息に変えていました。

道端の石ころ

読み方

大きな勇気をもらえました。

「生まれや育ちなんか、世間のしがらみなんかに負けてたまるか! 私は私だ!」と、挫けそうな心を励ましてくれます。

「なんでうちは貧乏なんだろう?」と後ろを向くよりも「これからどう生きてやろうか」と前を向くのに最適な良書です。

この本は上巻下巻の2冊の作品ですが、読めば読むほどに引き込まれ、時間を忘れて一気に読んでいました。

素晴らしい本です。ぜひ一度手に取って読んでみてください。

 

最後に

まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。

書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。

ぜひ探してみてください。

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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