【対話形式】【10】〈不安〉を取り除く方法は劣等感を長所に変えることだった。

対話形式 10

 

——これは、僕と同僚Aさんとその先輩Fさんとのたわいもない会話です。

 

めまいと吐き気

先輩F「えー! 大丈夫?」

同僚A「はい。2日前に病院行ってきたので」

先輩F「いやぁもう、言ってね〜」

同僚A「……うん、はい。まあ、自分のことなので……」

先輩F「そうだけど、何のために私がいるのよ。Sさんに言って私に言ってないのは嫌だよ」

同僚A「次からは言います」

先輩F「ん〜もう! かわいそうに」

僕「お疲れさまで〜す」

同僚A「お疲れ様でーす」

先輩F「ねぇ、よーいちさん、聞いてました? どう思います?」

僕「いいえ、途中からだったので」

先輩F「Aさんね、最近、めまいと吐き気があるんですって」

僕「え! 大丈夫なの?」

同僚A「はい、大丈夫です、うつむかなければ。うつむいたらめまいがするんです」

僕「うつむかなければって、仕事してたらうつむくでしょ」

同僚A「そうなんですけど、がんばります」

僕「どうやって?」

先輩F「無理でしょ」

同僚A「病院の先生は、仕事でうつむくのは極力避けるように言われたんですけど……」

僕「もしも、床に落ちたペンを拾うとしたら、こう背筋伸ばしたままかがむってこと?」

同僚A「そうですね」

僕「いやいや、しんどいよ」

先輩F「筋トレだよ、それ」

僕「原因は何なの?」

同僚A「先生はストレスだって言ってました」

僕「仕事のストレス?」

ストレスの原因

同僚A「あ……そうですね。最近、新規のお客様がドドドって増えたが不安で不安で……」

僕「ああ、確かに一気に増えたね」

先輩F「よーいちさん、なんとかしてあげられないですかねぇ」

僕「そうですね……不安は未来を想像する時に起こるマイナス感情だそうで、その対象の情報が不足していると起こる感情が不安である、という考え方があります。逆に対象の情報がはっきりと見えていると起こる感情が恐怖である、という考え方があります。」

同僚A「……」

先輩F「……」

僕「要するに、不安の原因を特定することで解決策も立てられるということです」

先輩F「仕事のことで不安なの?」

同僚A「う〜ん……そうですね。新しいお客様が機嫌を損ねたらどうしようかと思うと……でも、穏やかな人だと分かったのでホッとしました」

先輩F「本当? 他に誰かに相談した?」

同僚A「Oさんは”あんまり考えないようにした方がいいいよ”って。”僕はそんな時は気にしないようにしてる”って言ってくれたんですけど……」

先輩F「考えないとか、気にしないとか、出来たら苦労しないよね」

同僚A「そうなんです。考えないなんてできないし、気にしないと仕事にならないんですよ」

僕「確かにそうですね」

同僚A「失敗したらどうしようって思ったら不安になってしまうので、考えないなんてできないです」

僕「まあ、100点を取ろうと思わなくてもいいと思うよ。僕は常に60〜70点を取るつもりで仕事をしています」

先輩F「そうだよ。完璧は難しいし、苦しくなるだけだよ」

僕「誰かに助けてもらったり、協力して乗り切るのも仕事の正攻法だと思いますよ」

先輩F「うんうん、頼ってよ、私のこと。」

同僚A「ありがとうございます」

先輩F「本当に頼ってね? 私、もう、もどかしい!」

同僚A「Fさんのこと大好きなので、しんどくなってほしくないなぁって思うことはあります」

先輩F「それじゃあ、Aさんがしんどくなるじゃない」

同僚A「そうなんですけど……」

本当の原因は〇〇

僕「あの……もしかして……Aさんは仕事がうまくいかないことが不安なんじゃなくて、本当はお客様に嫌われたり敵視されたりして、人間関係がうまくいかなくなることが不安だったのではないですか?」

同僚A「1番は……お客様がイラッとした感じとか……小さいことを指摘されたりして、私がうまく対応できなくて嫌われたらどうしようっていうのが大きかったかなと思います」

僕「やっぱり……そうですか」

同僚A「私が自覚してるのは、ガツンと言われたら……と思うと……」

僕「不安は……とても人間らしい心だと思いますよ」

同僚A「え?」

僕「だって、不安を感じなかったら頑張ろうとしないですよね。不安は自分を成長するのに必要な感情だと思います」

同僚A「そうですよね。気楽にというか……何とかなるって思えたらいいと思います」

僕「もしも、ミスをしてしまって怒る人もいれば、怒らない人もいます」

先輩F「ああ〜、怒らない人はいい人だよね」

同僚A「怒らない人だったらいいんですけど……」

僕「要するに、ミスをしたのは自分の原因。怒るのは相手の心が原因。これをアドラー心理学では【課題の分離】と呼んでいます」

先輩F「なんか、わかる気がする〜。何を言っても怒る人は怒るのよね」

僕「結局、何をするにも自分ができることを頑張るしかない。怒る人は最初から起こりたくてきっかけを待っていただけなのです」

先輩F「え? そうなんですか。怒るために怒るなんて性格わる〜」

同僚A「私もアドラー心理学の本、読んだんですけどね、全然理解できてませんね……」

僕「アドラー心理学で好きな言葉で、”劣等感は長所である”っていうのがあるんだけど、ダメだと思うことも考え方次第で長所になると思うよ」

同僚A「……本当ですか?」

僕「不安になるのは相手が笑顔になることを深く考えてるからじゃないかな? だから、Aさんが不安に思うのは長所!」

同僚A「すご!」

先輩F「わぁ!」

同僚A「ありがとうございます! 深く考えるのはいいけど、めまいを起こすほど考えるのはよくないので何事もほどほどに、が目標です」

僕「そうですね。自分も大切にね」

同僚A「私自身はすごく傷つきやすいですが、昔から周りの人たちに恵まれてるのだけは自慢なので、よーいちさんを含めて、みんなに守られながらゆくる生きていきます」

僕「うん。そうだね。でも、頼りすぎはよくないよ」

先輩F「私は頼ってね」

同僚A「はい! 頼ります」

思考を止めるな

僕「人間関係って正解がないですから、結局は自分ができることを頑張るしかないんですよね」

先輩F「考えないようにするとか、気にしないようにするとかって、何か違う気がします」

僕「そうですね。その考え方は、嫌なことは目をつぶってやり過ごそうと言ってるみたいです」

同僚A「あ! それです。うまく言葉が出てこなかったんですけど、今よーいちさんが言った言葉がピッタリな感じがします」

先輩F「やり過ごしても問題が解決してないんだから不安が消えないのは当然だよ」

僕「そうですね。不安を解決するためには思考を停止していては、またいずれ同じ問題で苦しむことになります」

先輩F「私もそう思います」

僕「なので、僕は考えることを止めないで原因を追究して、行動することが大事だと思います」

先輩F「ああ、よく無になるとか言うけど、実際は無になってる気分をよそおってるだけですものね」

同僚A「現実逃避したくなってもしちゃダメなんですね」

僕「僕はオススメしません」

先輩F「いつかツケが回ってくるとか言いますよね」

同僚A「考えても答えが出なかったらどうしたらいいですか?」

僕「誰かに相談してもいいし、本を読んでもいいと思います。でも、不安がなくなることは決してないと思います」

同僚A「……なるほど。相談ばかりしたり、本を読んでばかりしていたら自分で考えなくなってしまうってことですね」

僕「絶対に考えなくなるというわけではないですが、いつでも誰かに相談できるわけではないですし、解決策が見つかってない問題もあると思うので、誰かを頼ってばかりだといずれは解決できなくなる日が来るかもしれないということです」

同僚A「これからはほどほどに皆さんに相談します」

僕「さっきも言いましたが、不安に思うことは悪いことではないと思って、不安とうまく付き合うことが大事なんだと思います」

先輩F「私、不安だらけですよ」

同僚A「Fさんの不安、聞きたいです」

先輩F「いえいえ、大したことじゃないので。ははは」

僕「AさんもFさんも1人で考えるのも大事ですが、あんまり抱え込まないようにしてくださいね」

同僚A「はい、ありがとうございます。Fさんもありがとうございます。話を聞いてくれて嬉しかったです」

先輩F「あ、本当? だったらよかった」

僕「よし。明日から仕事頑張りましょー!」

同僚A「おう!」

先輩F「……おう!」

⚠️これはフィクションです。実在の人物や物事は一切関係ありません。

 

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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