まさに
一個人の男
今日、お母ちゃんが死んだ。その夜、棺の前でタバコを吸った。葬儀の次の日にガールフレンドと会い、セックスをした。そして——。
今回は【講談社まんが学術文庫】から『異邦人』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、人間は皆個人であるです。
感想
『異邦人』との出会い
読んだことはありませんでした。
【講談社まんが学術文庫】が好きという理由だけで買いました。
それに、作画の須賀原洋行さんの絵がとても個性的でファンになりました。
簡単あらすじ
今日、お母ちゃんが死んだ——。
もしかすると、昨日かもしれないが、養老院から来た電報だけでは詳しいことはわからない。
私〈無流想〉は会社に忌引休暇を取り、母が暮らしていた養老院に向かった。
養老院に着くと、老年の門衛が院長室に案内してくれた。
院長から、母のここでの暮らしぶりを聞いたのち、遺体安置所に案内された。埋葬は明日朝10時とのこと。
老年の門衛が息を切らしてやってきた。右手にレンチを持っており、棺桶の蓋を開けようとしてくれたが、私〈無流想〉は断った。
門衛が「なぜです?」と聞いてきたが、私は「理由はありません」と答えた。
夕暮れになり、門衛に食事を勧められたが私は断った。すると、ミルクコーヒーを持ってきれくれた。
ふと煙草が吸いたくなってきた。お母ちゃんの棺の前で悪いとは思いながらも、門衛と共に一服した。
門衛は「お通夜にはあんたのお母さんのお友だちも見える。そういうしきたりなんでね」と言い、煙草を吸い終えると、椅子とコーヒーの準備をし始めた。
私は少しうとうとした……しばらくして目が覚めた……。
安置所に養老院の老人たちがぞろぞろと入ってきた。皆一様に頭をカクカクさせていた。
配られたコーヒーを飲みほし、夜が更け、そのまま棺の前で一夜を過ごした。
朝になると、老人たちは1人残らず私の手を握っていった。
その後、院長室に呼ばれて数通の書類に署名した。今、葬儀屋が来たそうだ。
神父が別れの言葉を述べてからお母ちゃんを霊柩車に運美、教会でお母ちゃんを埋葬した。
デートとセックス
翌日は昼過ぎに起きた。
私〈無流想〉は海水浴に出かけた。
気持ちよく泳いでいると、以前同じ職場で働いていたOL〈茉莉衣〉がいた。
私は彼女に気があり、彼女もそうだった……と思う。
太陽が照りつける中、私と〈茉莉衣〉は楽しい時間を過ごした。
夜に映画を観に行く約束をして、服を着替えると、茉莉衣は驚いた顔をして「喪に服してるの?」と聞くので、私は「昨日、お母ちゃんが死んだ」と答えた。
夜、2人でコメディ映画を観ながらキスをして、その後、自宅でセックスをした。
目が覚めると、茉莉衣は出ていった後だった。
一日、ぼんやりと部屋で過ごしているうちに空は赤みを帯び、夜になった。
主観の男
母が死んでも泣くことはない。
通夜・葬儀はと古くからの慣習だから、なんとなく参加する。落胆したりしんみりするような特別な振る舞いはしないし、そもそも、特別な日とも考えていない。
自分の意思に忠実で、煙草や飲食、娯楽、セックスをしたいと思った時にする。
結婚とか、社会の都合で作った制度に参加する気はさらさら無い。
〈無流想〉に常にあるのは主観に基づいた視点のみ。客観の世界をほとんど除外しています。
自分がどうしたいのか、どうありたいのかなど、常に自分を中心とした考えを持っています。
かといって、人間らしい感情が無いわけでも世間を拒絶しているのでもありません。ごく普通に仕事をして恋人や友人を持ち、周囲の人にも分け隔てなく接しています。
読み方
すべて主観で語られています。
無流想の言動や見聞を彼の目線を通した絵で描かれています。彼が見聞きしていないことや、彼がいない場所での出来事は一切語られません。
つまり、自分の世界の中で生きていて、他人が作った世界に穢されない生き方をしているのです。
いつも他人のことばかり考えて生きることが当たり前の昨今、〈無流想〉の生き方は妙な共感と原始的な感動を思い起こさせてくれます。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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