【解説】石ノ森章太郎『古事記』(マンガ日本の古典)|結論|感想|読み方

古事記 因幡の白兎イメージ

まさに

神様の国づくり

ちょっぴりエッチで愛憎たっぷり、未熟でわがままな神様たちの戦いと冒険の物語をとくとご覧あれ——!

よーいち
物語として楽しんでいたつもりで、いつの間にか日本の成り立ちが学べてしまう——本当によくできたお話です。

今回は【マンガ日本の古典】から『古事記』を簡単3分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、この世界の道理です。

 

感想

『古事記』との出会い

『古事記』は文字で読んでも漫画で読んでも面白い。

クラシック音楽のように弾き手が違えばまた奥ゆかしいものです。

 

簡単あらすじ

『古事記』は大和朝廷が史書として編纂へんさんした日本最古の典籍てんせき(=書物)。朝廷に伝わる『帝紀』、『旧辞』に天武てんむ天皇がみずから検討を加えて稗田阿礼ひえだのあれ誦習しょうしゅうさせ、さらにのちに太安萬侶おおのやすまろが筆録した。西暦712年成立。

平城京 イメージ

西暦711年 平城京——

「たとえば、それぞれの氏族豪族が勝手にワレこそは神の末裔、天皇の子孫と名乗り……」と語るのは〈稗田阿礼ひえだのあれ〉というお爺さん。

彼は28歳の頃、天皇すめらみことの歴史や神話がゆがめられないようにと天武てんむ天皇から命じられたものの、間もなく天武天皇はご逝去され、その後の持統じとう天皇、文武もんむ天皇も早々にお隠れになり、いたずらに月日だけが流れてしまっていた。

そして今やっとのこと、元明げんめい帝より「太安萬侶おおのやすまろ稗田阿礼ひえだのあれと協力して古事記を記せよ」と編纂へんさんの命がくだったのだ。

混沌 カオス

……混沌の中からやがて天と地が分かれ、最初に出現なされたのは天の中心を支配する〈アメノミナカヌシの神〉。次は、輝く生命の力である〈タカミムスヒの神〉。続いて〈カムムスヒの神〉……。

一方そのころ、まだ油のように柔らかい大地から、勢いの神である〈ウマシアシカビヒコヂの神〉と天を支える〈アメノトコタチの神〉が誕生。そしてさらに、〈クニノトコタチの神〉と〈トヨクモノの神〉が加わり、その七神はいずれも独身でした……。

——ですから、男女一対の神々として最初に出現したのは、土地の神である〈ウヒヂニ〉とその妻〈スヒヂニ〉。次に、くいの神の〈ツノグヒ〉と〈イクグヒ〉。門口を守る〈オホノヂ〉と〈オホトノベ〉。〈オモダル〉は理想の男性像、〈アヤカシコネ〉は思想の女性像。そしてついに——男女の神〈イザナキ〉と〈イザナミ〉が登場する。

 

日本列島形成

天の神様が言います。「……イザナキよ、イザナミよ。このあめ沼矛ぬぼこで国の形を整えなさい!!」

イザナキとイザナミは言われた通り、神々の国”高天原たかまのはら”から長く伸びたほこで下界の水たまりをかき混ぜました。

矛から滴る

すると、矛からしたたった濃い塩水が固まって島ができた。オノゴロ島である。

2人の神はその島に降り立ち、こんな会話をした。

イザナキ

アナタの身体はどうなっている?

イザナミ

ちゃんとできていると思いますが……一か所だけ未完成で——穴のようになっているところが……

イザナキ

私の身体は反対に——一ヶ所余分に見えるところがある

イザナミ

……余分な部分と未完成な部分を合わせて国造りをしなさいということなのでしょうか?

イザナキ

このあま御柱みはしらの下でその神聖な行いをしようではないか……!

神聖な行い 男女

——そんなわけで、2人の愛によって生まれたのは淡路あわじ島、四国、隠岐おきの島、九州、壱岐いきの島、対馬つしま佐渡さどの島、最後に大倭豊秋津島おおやまととよあきつしま。その後に6つの小さな島々をお生みになりました。

こうして国土を生み終えるとイザナミは神々を生み始めました。家の神、海の神、風の神、木の神、山の神、野の神、土地の神、霧の神など、自然や生活に関わる神々が生まれました。

日本列島

 

最初の大事件

大変なことになりました。

イザナミが次にお生みになった火の神の炎で下腹部に大火傷やけどを負い、亡くなってしまったのです。

イザナミ 死す

愛する妻を失ったイザナキは怒って火の神を斬殺します。そして、悲しみが消えぬままに死者が住むという”黄泉よみの国”へ向かいます。

イザナミがいるであろう御殿ごてんの扉の前でイザナキはこう訴えます。「愛しいわが妻イザナミよ……国造りはまだ途中だ。ここから出て一緒に帰ろう!!」

黄泉の国 イザナキ

「口惜しい。なぜもっと早く来てくださらなかったのです?」イザナミの声が聞こえます。「ワタシもできれば一緒に戻りたい……!!」

イザナキは「それじゃあすぐに帰ろう」と言いますが、イザナミは黄泉の国の神々と相談しなければならないと言います。そういうことならばと、イザナキは待つことにしました。

しかし、いくら経ってもイザナミは戻ってきません。しびれを切らしたイザナキは開けてはいけないと言われていた扉を開けて中をのぞいてしまいます。そこには……死骸となったイザナミの姿が……。

「ワタシに恥をかかせましたね……!!」イザナミは怒って、〈ライジュウ〉と〈ヨモツシコメ〉を使ってイザナキを襲わせました。

驚いたイザナキは一目散に逃げました。蔓草かづらの髪飾りで追手の体を巻きつけたりやくしたけのこにして足止めをしてなんとか逃げ切ることができました。

しかし、それでもイザナミは執念深く追ってきます。

現世と黄泉の国の境目に来たイザナキは大岩で塞いでしまいます。

するとイザナミは恨みごとを言います。「アナタがそのようなひどいことをするのなら、ワタシはこれからアナタの国の人を1日に1000人ずつ殺します!」

それに対してイザナキはこう反論します。「それなら、ワタシは1日に1500人の子を生ませる産屋うぶやを建てる!」

それからこの世では1日1000人が死に、1500人の人が生まれるようになったのです……。

禊ぎ 穢れを洗い流す

地上に戻ったイザナキは海に入り、けがれを洗い清めます。

この時、洗い落とした穢れから、いくつかの神々が生まれ、最後に〈アマテラスオホミカミ〉〈ツクヨミ〉〈タケハヤスサノオ〉が生まれました。

アマテラスは高天原を、ツクヨミは夜の国を、スサノオは海原を、それぞれを治めるようイザナキは命じました。

しかし、スサノオは亡き母に会いたいと毎日泣いてばかりいるのでイザナキは怒って高天原たかまのはらを追放してしまいます。

それからは地上に降りたスサノオの冒険が始まります。

 

読み方

作者の稗田阿礼ひえだのあれ太安萬侶おおのやすまろ編纂へんさんするメタ視点から始まり、初代天皇・神武天皇の誕生までが描かれています。

本来の『古事記』は上・中・下で構成されていて、今回ご紹介したこの本は上巻の部分のみの内容となっています。しかし、本来の古事記の中巻以降は天皇や政治に関わる事柄がメインとなっているため、御伽噺おとぎばなしの要素が強いこの上巻の部分がオススメです。

「でも、難しいんでしょ?」と思う人も必ず知っている所があるはずです。例えば、天照大神あまてらすおおみかみは伊勢神宮の主祭神しゅさいじんだし、八岐大蛇やまたのおろち因幡いなばの白兎の話は一度は聞いたことがあると思います。

筆者は、歴史や古典というよりも異世界パラレルワールドに似た感覚で楽しんでいます。

石ノ森章太郎先生の絵やコマ割りはとても読みやすいので古事記に断念したことがある人は是非これを手に取ってみてください。

 

最後に

まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。

書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。

ぜひ探してみてください。

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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