まさに
家族再生物語
失業中の父、子供のやる気を挫く母、不登校の長男、コミュ障の長女、異常行動を繰り返す次男。 そんな崩壊寸前の幸田家にNPO団体からフウさんが派遣される——!
今回は【講談社まんが学術文庫】の中から『劣っていることは資産である』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、自己肯定感(ポジティブ)の思考です。
感想
『劣っていることは資産である』との出会い
アドラー心理学の本はいくつか読んで知っていました。
読んでいるといつも前向きな気持ちになれます。
でも、もっともっと前向きになりたいと思っていました。
簡単あらすじ
幸田家に突然、50〜60代の女性がやってきました。
彼女は、NPO団体・添木の会から紹介を受けて来た家政婦〈桜通フウ〉と名乗ります。
母〈由紀恵〉は家族を紹介します。
父〈勝〉は拒絶し、長男〈真一〉は召使いのよう「冷蔵庫からコーラとってよ、クソババア」と指図しますが、フウは毅然とした態度で言います。
「皆さんにあらかじめ申し上げておきます。私は住まいを提供していただく代わりにこの家の家事を無給で手伝うという契約です。なのでフィフティー・フィフティーの関係です。したがって、私のことはフウさんとお呼びください。もし今後クソババアなどと呼んだら……」と言うと、真一に向かって「コーラぐらい自分でとれっ、クソガキ!」と鞄をぶん投げました。
真一は父・勝に「追い出してよ、こんな奴!」と訴えますが、勝は言い返すことができません。
長女〈真紀〉は「アハハハ」と、その様子を見て嘲笑っています。
ドシャン!
次男〈裕二〉がテレビを倒したのです。幼い裕二は笑っています。
フウは幸田家を”互いの尻尾に食いつき、身動きがとれなくなった蛇たちの巣”に例えますが……。
最初の事件
翌朝、フウはご飯と味噌汁の朝食を準備していました。
家族は喜んで食べ始めますが、すぐに口論になってしまいます。〈真一〉と〈真紀〉の不登校の原因が〈勝〉の失業だと〈由紀恵〉が言ったのが事の始まりです。
フウは「もう結構。どっちが正しいかなんてわからないわ」と言うと部屋の掃除を始めました。
〈真紀〉はフウを早く追い出そうと裕二を使って、フウに向けて食器棚を倒すように仕向けます。
もう少しのところで食器棚の下敷きになりかけたフウは裕二にどうしてこんなことをしたのか問いただします。
裕二は「えへへ、ぶつかっちゃった」と笑いますが、フウの険悪な表情を察知して今度は「うええええん」と泣き出します。
由紀恵は「ごめんなさい、フウさん。わざとじゃないんです」と言って片付けようとしましたが、フウは「待って」とそれを止めました。フウは裕二に「この食器棚はあなたが倒しちゃったのよね? あなたが直すべきじゃないかしら」と、フウ自身も手伝うので一緒に片付けをしようと勧めます。
「うん!」裕二はフウと一緒に割れた食器を片付け、落ちた食器を棚に直しました。そして、裕二に自分で直すことができた事実を告げ、できることはたくさんあることを教えました。裕二は喜んでいます。自分に自信を持つことができたようです。
ライフスタイル
——その日の夜、フウは手紙を書いていました。
アドラー心理学の用語にライフスタイルというものがあります
それは人それぞれの考え方やクセのようなもので、私たちはこのライフスタイルにしたがって行動しているのです
ライフスタイルは子供の頃に形成されます これをライフスタイルの原型と言います 子供は小さい時に自分が弱いことを知り それを克服しようと目標を定め 自分の欲求を叶えるためのアプローチの仕方 すなわち原型を作っていくのです
ところがこの段階で間違った原型を作ってしまう子供たちがいます
自分は無力であり 苦しんでいると主張することによって他人の注目を引き 支配しようとする戦略です
裕二君のように 他人の注目が集まると 自分に引き寄せようとしてさらに問題行動をおこす子供もいます
子供がこのような行動をとった時に大人たちが過剰に怒ったりあやしたりすれば 子供は自分の戦略が有効であると考えるのです
もちろん このようなライフスタイルは不幸しか生み出さないので 私たちは子供たちが誤った原型を持たないようにしなければなりません
誤った原型を持つ子供たちは自分に関心を持ちすぎ 共同体感覚を失っています
学校や社会の中で他人に関心を持つことは無能感や劣等感を克服する大きな助けとなるでしょう
前を向けないあなたへ
幸田家の波乱はこの後も続きます。
そのたびにフウさんはアドラー心理学に基づいた理論で家族ひとり一人の課題を見抜き、優しく暖かい心で寄り添い、正しい方向へと目を向けさせようとします。
フウさんは絶対に諦めたりしません。それにこのどうしようもない家族を見捨てたりしないのです。
作中には筆者がずっと欲しかった言葉がたくさんあって、何度読んでも必ず目頭が熱くなります。
「どうせ自分なんかが……」とか、「変わりたいけど、どう変わればいいのか分からない」と、なかなか前を向けないあなたが読んでくれることを心から望みます。
読み方
アドラー心理学を知っている筆者も最初は、「劣等感をどうやって資産にするのだろう?」という気持ちでした。
しかし、読み進めるにつれて心がどんどんほぐれていき、最後には「今からでもライフスタイルを変えることができるんだ!」ということを理解できたことに喜び感動していました。
いつの間にか無意識のうちにできない理由を決めつけていた自分に気づき、人と向き合う大切さと暖かさを知ることができました。
これからもアドラー心理学は世界に必要とされていくでしょう。
それは実用的で効果が高いからというよりも、人間が本来望む生き方だからなのかもしれません。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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