まさに
不平等な社会
自由とは誰もが持つ権利。しかし、現実は強者が弱者を虐げる不平等な社会だった。 著者:ルソーは人間本来の姿と自由を呼び覚ます——!
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『社会契約論』を簡単7分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、社会秩序です。
感想
『社会契約論』との出会い
なんだか堅苦しそうな本だなぁと思いました。
でも、人生に一度くらいはこんな本を読んでみるのもいいと思いました。
簡単あらすじ
18世紀 フランス
著しい人口の増加により経済が急激に発展した時代——
聖職者や貴族などの第1・第2身分の人々が豊かに生活する一方、第3身分の農民や市民はその日暮らしを強いられていました。資本主義が生まれ、裕福な市民層(ブルジョワ)もいましたが、ほとんどの人民は純税に苦しめられていました。
そんな中、ヨーロッパ諸国では旧体制社会の「絶対王政」を批判する「啓蒙思想」が広がりを見せます。
啓蒙……人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと。
コトバンクより引用
その中でも政治思想化として名高いのが〈ジャン・ジャック・ルソー〉。代表作『社会契約論』は民主主義の本質を明らかにし、フランス革命にもっとも影響を与えた書とも言われています。
ルソーは言います。
「自由とは誰しもが持つ権利。ですが……人はいたるところで社会の鎖につながれています。まるで主人ように振る舞う人間と服従する人々……。社会の不平等を正当化しているものとは何なのか? 私の思想とともにそれらの問題を見ていきましょう」
不平等な社会の誕生
——自然状態とは個々人が独立して生きている状態です。
自然状態には善人も悪人もおらず、共通の義務や道徳的関係もありません。もっぱら本能的に自分の生命を維持したいと思う”自己保存の衝動”と”憐れみの感情”に従って生きています。
では、どうして社会や不平等が生まれるのか?
自然状態は弱肉強食の世界でもあります。人間が持つ”憐れみの感情”によってお互いが協力するようになることで、お互いが利益を得るためのルールを覚えるのです。このような精神の発展から家や家族といった”私有財産”の観念が生じて物事の差異を認識し、”価値評価”をはじめる。そこから”不平等”という考えが生じます。
そこから人間は他者よりも優位に立とうとして策略を生み、労働が分業化されて役割が与えられる。その役割によって利益の差が広がり、富者と貧者・不平等な社会層が出現するのです。
しかし、ここで問題が起こります。
富者の財産は正当に得たものではありません。貧者は富者の奴隷となるか略奪するか選ばなければなりません。つまり、利益をめぐる対立——戦争状態となります。
富者たちは財産を守るため、団結して国をつくり、貧者にもっともらしい理由——法による統治の正当性を説くのです。これが社会と法の起源です。
……そして政府は世襲化し、政治は恣意的な権力に変わり、やがて”専制政治”という怪物が現れるのです。最終的には、一握りの権力者が貧者を支配する世界となり、人々は暗闇と悲惨の中を這いずり回るのです。
「では、これから私の理想とする社会について紹介していきましょう」
主人と奴隷の関係
「おーい! 早くしろ。もたもたするな!!」
労働者たちは雇い主の指示通りに大きな小麦粉袋を背負って目的にへ運んでいます。
中には「あのやろー、こき使いやがって」「文句があるならテメーで運べってんだ」と愚痴をこぼす者もいます。
仕事が終わり、〈ウィリアム〉と〈ロイ〉はキツい労働のわりに賃金が安いことを嘆いていました。腰への負担もあって、いつまで体がもつのか……。ウィリアムは少し痩せたようです。ロイには養う家族がいます。
「でもよ……どうしようもねーよ」とロイは言います。金も教養もない貧しいやつらは他人より働かないと生きていけない。それが現実なのだと言うのです。
ウィリアムは今日もらったばかりの賃金が入った袋をそっとロイに手渡して言いました。「俺はひとり身だからなんとかなるよ」
王室——
秘書が王様に報告しています。このあとオペラ鑑賞と社交界に出席すること、農作物の取れ高、そして戦況です。若干優位ではあるが苦戦を強いられ、負傷者が相次ぎ、医者が足りず、武器も不足しています。
「ふむふむ、なるほど……」王様は言います。「では……民衆の税を増やせばよい」
秘書はこれ以上の増税は民衆への負担が大きいと進言しますが、王様は「国王は私だぞ?」と言って一蹴してしまいます。
ルソーは言います。
「主人と奴隷の関係が成立する世界。しかし、その状態から脱出できるならその方がいいのです。人民は支配者の権利によって自由を奪われました。その権利は”社会秩序”といい、それは人間と人間の約束に基づいています」
その例えを父親と子どもを引き合いにして説明します。
子どもが父親を必要とするのは独り立ちするまでの間だけ。
子どもは父親への”服従”、父親は子どもを育てる”義務”がなくなります。ですが、両者がそのまま家族を継続することもあります。それはお互いの意思に基づく約束で維持されています。
父親が子どもの世話をするのは子どもへの愛があるから。支配者の場合は人民を支配するのは喜びを得たいから。つまり、本来、自由な人間は自己保存の役に立たない相手に自分を譲り渡すはずがないのです。だから人々は知るべきです。自分が自分自身の”主人”であることを。
増税
ウィリアムは節約のために朝飯を抜いて仕事をしていました。
と、ロイが体を壊してしまったと聞きます。
ウィリアムは、体を壊したら働くこともできなくなると思い、仕事が終わるとパン屋へ行きました。
すると、パン屋の女主人が「今度、パンの税金が上がるらしい」と今日の新聞を持ってきました。
ウィリアムは「この前、塩の値段が上がったばかりなのに……」と言うと、女主人は「戦争の影響よ……」と残念そうに肩を落としていました。
ウィリアムが外を歩いていると、路地に人だかりができているのが見えました。
どうやら、増税に不満を持つ人たちの集まりのようです。1人の男が「市民だけが税金を払う、こんな世の中は間違っています!」と熱弁しています。
ウィリアムは彼の主張はもっともだと思いましたが、自分たちに何ができるのだろうと思い、「いくらあがいても変えることなんてできないのさ……」と口からこぼれました。
「そんなことはない。君は変わることをあきらめているだけではないか?」と身なりのいい男が言いました。
彼の名は〈モンテール〉と言い、自己紹介が済むと彼は帰っていきました。
「おーい、ウィリアム」
振り向くとそこにロイがいました。体は、もう少ししたら仕事に復帰できるくらいだと言います。「ウイリアム……話があるんだ」
ロイは国のあり方を変えるための集会をしているので、ウィリアムにも是非参加してほしいと頼んできました。ロイは「祖国のためにできることをしたい」と言います。
……ウィリアムは心を決めます。
奴隷
奴隷は個人の権利を他者に譲り渡して服従した状態です。
しかし本来、奴隷となる必要などありません。
どんな人間であっても、人を力で押さえつけて縛り付ける権利などなく、正当な関係が成立するのは利害関係が一致した時にする”契約”のみです。
なので、他者に自分にとって良い役割・良い価値を感じなければ、自分の自由を他者に譲り渡さなくて良い。つまり、人間の自由が力によって侵害されるのはあってはならないことだと言います。
読み方
王様や貴族が支配する不平等な社会を舞台に、ルソーが人間の権利について、ストーリーを交えながら解説していく内容となっています。
今の時代で”奴隷”と言うと「大袈裟だ」と思う人もいると思いますが、現代も不自由な社会に悩み苦しむ人が絶えません。それは人間社会は不平等で、社会秩序に守られている反面生きづらさを生んでいるからです。
人間本来の姿とは何かということを今一度考えてみて、本当の自由を感じてみてはいかがでしょうか。とてもいい気持ちがするに違いありません。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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