まさに
キリスト教に反論するお爺さん
「神は死んだ!」 キリスト教徒からボコられたお爺さんは、東洋人2人にキリスト教の悪事を語る——!
読む前と読んだ後の感想は真逆でした。理路整然とした根拠がありました。
今回はその中から『アンチクリスト』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、キリスト教のデメリットです。
感想
『アンチクリスト』との出会い
ニーチェの作品に感動しました。ですが、この作品には手が出ませんでした。
なぜなら、キリスト教に反対する気持ちはこれっぽっちもなかったからです。
「悪口ばっかりだったら読みたくないなぁ」と思いつつ、「もしハズレだったら読まなければいいや」と思い手に取りました。
簡単あらすじ
「我々は『近代』という病気に侵されている!!」と長髪白髪のお爺さんが路地で叫んでいます。
お爺さんの訴えはこんなカンジです。
●簡単に信じてなんでも許される風潮が広がっているが、それは妥協しているだけで根本的な解決になっていない!
●人生は神を頼りに生きるものではなく、自らの手でつくり上げるものだ!
●もう神は存在していないのだ!
それを聞いた民衆の1人は怒ってお爺さんの頭に石をぶつけます。「神様が死ぬなんてバカな話があるもんか!」
他の民衆も同じように「神様は姿は見えなくても天国から我々を見守ってくださっているんだ!」と言い返します。
民衆の怒りはおさまらず、お爺さんは数人の男たちにリンチされてしまいました。
すると、1人の青年〈ケン〉がこれを見かねて止めに入ります。
しかし、お爺さんをかばった〈ケン〉も同じく暴力を受けてしまいます。
〈ケン〉は男たちの群れを力づくで抜け出し、なんとか自宅へ行きつき、お爺さんをベッドに寝かせました。
〈ケン〉はお爺さんを看病しますが、同居人の青年〈ヤン〉は「それは自業自得だよ」と冷ややかなものです。
看病されるお爺さんにしても情をかけられることをあまり喜んではいません。
——翌朝、お爺さんはまたあの路地にいました。
そして、また昨日と同じようにアンチ神の思想を皆に聞こえるように叫びます。
案の定、民衆はまた怒って襲ってきます。
それに駆けつけた〈ケン〉は素早くお爺さんを担いで自宅へと逃げました。
家に帰ると、「食料が全部食べられた」と〈ヤン〉が怒っていました。なんてことはありません。全部お爺さんが食べたのです。
悪びれもしないお爺さんですが「食に困ったなら教会に行けば何らかの施しを受けられる」と言うので、〈ケン〉と〈ヤン〉は教会に行ってみることにしました。
教会で施しを受けようとすると神父は信じられないことを言います。
「キリスト教徒の洗礼を受けていない者に食べ物を与えることはできません」
さらに、お爺さんは悪魔の使いで、そのお爺さんを我々に引き渡せば慈悲を与えると言うのです。
2人はそこにいた民衆に追い返されてしまいます。
キリスト教を否定する理由
お爺さんがキリスト教を否定する理由を簡単にまとめるとこんなカンジです。
●キリスト教は人間の弱さを掲げている
●キリスト教は現実を見下して否定している
●人間を苦しめているのは神だ。
人間をダメにした原因——それがキリスト教なのだとお爺さんは訴えるのです。
この後、キリスト教の本質、キリスト教の創設、キリスト教の目的、イエス・キリストの教えについて語られていくのですが、その一部を簡単にまとめてみました。
キリスト教と同じく世界で広く信仰されている仏教との対比です。
(○=ある ×=ない)
キリスト教 | 仏教 | |
経典 | 聖書 | お経 |
神 | ○ | × |
祈り | ○ | × |
懺悔 | ○ | ○ |
目標 | 神に罪を許される | 心身ともに健康 |
最高の状態 | 救済 | 悟り |
大まかな違いはこんな感じです。
キリスト教のおかしな点
よくよく考えると、「これっておかしいよな?」と思うことがありました。
なぜ、祈るの?
自分で努力しようとは思わないのでしょうか。
他力本願な感じがします。
なぜ、人間には原罪(生まれながらの罪)があるの?
何も悪いことをしていないのに罪がある前提で生きるのは嫌です。
前科があるような罪悪感を持って生きたくはありません。
なぜ、神に許しを乞わなければ救われないの?
自分自身で納得できれば、それでいいんじゃないでしょうか。
自分の問題を他人にとやかく言われたくはありません。
読み方
間違ってほしくないのは、キリスト教を批判してはいますが、イエス・キリストは侮辱していない点です。
正直、内容はちょっと過激で怖かったです。
でも、読んでよかったです。
なんでも「みんながいいと言うから」「それが世間というものだから」と信じて考えるのをやめてはいけない。自分で考えて判断しようと励ましてくれるのです。
僕が今まで読まなかった理由は、「今まで信じていたものが違っていたらどうしよう」という恐れだったのかもしれません。
1時間ほどで読めました。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
【中古】アンチクリスト まんがで読破 / バラエティ・アートワークス 価格:775円 |
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