まさに
牢獄からの脱出
孤独な少年〈涯〉は無実の罪で逮捕される。そこには力でねじ伏せようとする大人たちの陰謀が——!
僕が大好きな漫画 『無頼伝 涯』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、自立です。
感想
『無頼伝 涯』との出会い
2000年。僕はよく1人で過ごしていました。
友だちはいましたが、週に何回かパチンコかTVゲームをするだけの間柄。特にやりたいこともなく、自堕落的な生活を送っていました。
そんな時、本屋で見かけたこの本の表紙のインパクトに一瞬で釘付けになりました。
この少年からとてつもない〈孤独感〉が感じられたのです。
しかし、寂しさは一切感じません。
「この不思議なパワーはなんだろう」と興味が湧きました。
簡単あらすじ
孤立せよ!・・・
人は……世界がバラバラに………バラバラになれと……まかれた種だっ……!
だから……孤立せよ……!
——都会のある町の一角。
強盗殺人事件が起き、その容疑者がこの町のどこかに潜伏していると、警官が民間人を避難するように誘導しています。
たくさんの警察官が逮捕のために動き出していました。
容疑者は〈涯〉という名の少年。すでにビルの袋小路に追い詰められていました。
〈警部〉と呼ばれる男は〈涯〉に、なぜ犯行に及んだのかと話しかけます。
「やってねぇ!」〈涯〉は無実を訴えます。
しかし、警部はそんな言葉に聞く耳を持たず、武力で押さえ込もうとします。
それでも〈涯〉は「誰1人信じずとも真実はオレのもとにある」と抵抗しようとします。
〈警部〉は説得します。
ここで暴れてもせいぜい4、5人を蹴散らして取り押さえられるだけ。破滅する道を選ぶより、無実を証明することに力を使えと。
〈涯〉は構えていた拳を下ろし、しばらく沈黙します。
「その通りだ……! 認めようっ……!」
〈涯〉は無実を証明するためにあえて逮捕される道を選ぶのでした。
〈孤立せよ〉の意味
その言葉は違和感以外の何物でもありませんでした。
世間では〈仲間〉〈友情〉〈絆〉が何よりも大事で美しいものとされていたし、僕もそう信じていました。
だから、孤立を勧めるのは真逆の教え。「友だちを作るな」「絆を作るな」と聞こえます。
なんて不道徳的なんだ、と思いました。
しかし、読んでいくうちに『孤立せよの意味』が違っていたことに気づき始めます。
——〈涯〉は逮捕された後、悪どい大人たちによって人間以下の仕打ちを受けることになります。
〈涯〉の他にも何百人もの若者も同じように人間以下の扱いを受けたせいで、大人たちに屈伏しています。
そんな彼らに〈涯〉は「人間なのに……!」と自問するような言葉を投げ掛けます。
孤立=孤独ではない
ここで言う〈孤立〉とは〈自立〉のことではないかと思います。
「1人になれ!」と言っているのではなく、「誰かに屈せずに、誰かに頼らずに自分の人生を切り開け!」と言っているように聞こえます。
〈親が与えてくれるお金〉や〈社会が作った規則〉〈自分の居場所となる人間関係〉に縛られた生き方は幸せなんだろうか。
縛られた生活は安定しているだろうが自分らしさを失ってしまう気がする。
「寂しいから」「不安だから」「生活が成り立たないから」という理由で、〈仲間〉〈友情〉〈絆〉に依存しているのではないか。
福本伸行先生はそんな現代人を憂いたのかもしれません。
「それでは自分の人生が輝かないよ」
「〈1人で生きる力〉を蓄えて発揮するしか自分の人生は輝かないんだよ」
「だから恐れず、自立しよう!」
そんな強烈なメッセージを感じました。
読み方
ストーリーは分かりやすいのでスラスラと90分ほどで全巻読めました。
主要の登場人物も少なめで、これといった知識も必要ありません。
「人生つまんねぇな」と思っていた僕にとって、前を向くきっかけになりました。
最後に
原作コミック、復刻版があります。
ぜひ探してみてください。
価格:440円 |