まさに
孫子せんせい
ある日、児童たちが図書室で見つけた『孫子の兵法』。すると、本の中から〈孫子せんせい〉が現れて、みんなに”強くしなやかに生きる知恵”をやさしく教えてくれるよ——。
僕が大好きな漫画 『学習まんが こども孫子の兵法』を簡単7分でご紹介します。
もくじ
結論
この本が教えてくれるのは、強くしなやかに生きる知恵です。
感想
『学習まんが こども孫子の兵法』との出会い
『孫子の兵法』は現代の僕たちにとっても役に立つ考えがたくさんあります。
しかし内容はあくまで勝つためのもの。それを子どもにどう伝えればいいのか……。
簡単あらすじ
主な登場人物
●お調子者の〈もっちゃん〉
●乱暴で自分勝手な〈リキ〉
●気が弱くて優柔不断な〈ヤス吉〉
●かわいくて気が強い〈ゆりっぺ〉
●やさしくて努力家な〈ミッチー〉
ある日のこと、ぼくらは図書室の整理をしてると、もっちゃんが踏み台から落っこちた。
頭の上にも本が落っこちた。
「いてててて……ん? なんだこの本……」
先生が「ほお〜、これは『孫子』ですね。良い本なんですよ」と言った。
孫子の兵法はいまから2500年前の中国の孫子という書物に書かれた戦い方の教科書みたいなもので、現代に生きるわたしたちにもとっても役に立つ考え方なんだそうです。
みんな興味津々です。
すると、本がひとりでに動き出し、中から中国風のおじさんが飛び出てきました。
「なんじゃ、呼んだか?」
「うげーー、だれーー!?」
「だれって〈孫子せんせい〉に決まっとるじゃろが! おまえたちがわしの兵法を知りたそうだから出てきたんじゃ」
5人はヒソヒソ相談して「ぼくたちに孫子の兵法教えてくださ〜〜い!!」
「うむ! よかろう!」
こうしてぼくらと孫子せんせいのふしぎな毎日がはじまった。
01 勝つためのスタートは?
「来週のテスト……やだな〜」と、もっちゃんはため息をついています。
ミッチーはどのくらい勉強してるんだろう……、リキとヤス吉には負けたくないな……、どんな問題が出るんだろう……と、頭の中は心配事や不安でいっぱいです。
孫子せんせいはもっちゃんに言いました。「そんなこと考えてても意味はないぞ。いまやるべきことを考えるんじゃ」
孫子せんせいのことば
こども訳
まずは相手のことより自分じぶんのこと。
負けないための準備をしっかりしよう。
昔の善く戦う者は、先ず勝つべからざるを為して、以て敵の勝つべきを待つ。
勝つべからざるは己に在るも、勝つべきは敵にあり。
ことばのかいせつ
まず自分にできることをやろう
勝つための考え方や戦い方について、たくさんのことを知ってる孫子せんせい、そんな孫子せんせいが「勝つため」にまずやらなければいけないといっているのは、「負けないため」の準備なんだ。孫子せんせいは、むかしから「善く戦う者」つまり戦いがじょうずな人は、すぐに相手を攻めるのではなく、負けないための準備をしっかり整えて、勝つチャンスをじっくり待っていたといってるよ。
負けないための準備と聞くと、きみは弱気なイメージをもつかもしれないけれど、けっしてそんなことはないよ。だって、相手の状態を変えることはとてもむずかしいけれど、負けないための準備なら、いますぐ自分だけでできるからね。だからこそ、まずやらなければいけないのは、自分にできることをしっかりやるということ。そのうえで、相手のようすを見ながら勝てるチャンスを待とう。
孫子せんせいはもっちゃんに「人がどのくらい勉強してるかなんて関係ないぞ」と言います。「いま、もっちゃんがやるべきことは……
・どんな問題が出ても大丈夫なようにしっかり勉強すること。
・風邪などをひかないように体調管理もすること。
——これが負けないための準備になるんじゃ」
「たいせつなのは自分がどうするか! どんな状況にだって負けない自分になればいいんだ!」
テスト当日
勉強もバッチリ! 体調も絶好調!
もっちゃんテスト用紙を前にして「よし! やるぞ!」とペンを握る姿が輝いています。
↓もうひとつ、とても為になった言葉をご紹介します。
09 ものすごく頭にきたら……
「オ……オレ様が負けた……信じられん」
リキが野球の試合に負けてショックを受けています。この日のために血のにじむような練習をしてきた……
「おまえらのせいだ……」と、リキはチームメイトのもっちゃんとヤス吉や応援に来ていたゆりっぺに怒りをぶつけてしまいます。
「バカモーン!」孫子せんせいはとんできてリキの頭にゲンコツです。
孫子せんせいのことば
こども訳
怒りにふりまわされてはいけないよ
どんなときでもクールに判断!
主は怒りを以て師を興すべからず、
将は慍りを以て戦いを致すべからず。
ことばのかいせつ
怒りの感情をコントロールしよう
思わず頭にきてしまうことって、だれでもあるよね。怒りはとても激しい感情だから、すぐにしずめるのはむずかしい。ひどいことをいって相手をきずつけてしまったり、物にあたって壊してしまったりしたこと、きみにもあるかな?
孫子せんせいは、怒りによって行動してはいけない、どんなときでも冷静に判断しなければいけないといっているよ。なぜなら、きみの怒りはじきにおさまるかもしれないけれど、きみのことばできずついた人は、そのことがこころのなかにずっと残るかもしれないし、怒りによって乱暴にあつかって壊れてしまった物は、もとには戻らないからね。
頭にきているときは、どうしてもまちがった判断をしやすい。だから、深呼吸をして冷静になるのを待とう。行動するのは、それからでも遅くないんだ。きみのためにも、まわりの人たちのためにも、クールに判断するようにしよう。
孫子せんせいはリキに、「もっちゃんもヤス吉もおまえの足を引っぱらない内容に隠れて練習しておった。ゆりっぺだって応援に来てくれる人を一生懸命集めていたんじゃ」と諭します。
「そうだったのか……」リキは涙を流しながら地面を叩きました。「くそー! オレはなんでみんなんい怒ってしまったんだ。オレだって試合で自分の力を発揮できなかったじゃないか……」
そのあと……
「おーい、みんな! 今日はごめんよ。また一緒に野球やろう」
……リキはみんなと仲直りできたようです。
33のことば
監修の齋藤孝先生は冒頭でこんなふうにおっしゃっています。
皆さんは、この本を手にするまで、「孫子の兵法」を知っていましたか? もしかしたら、名前だけは聞いたことがある、という人もいるかもしれませんね。
「孫子の兵法」は『孫子』という書物に書かれている、争いに勝つための考え方や戦い方のことです。
(省略)
ぼく自身も、この「孫子の兵法」に、いままで何度も助けられてきました。つらいとき、苦しいとき、自分が負けそうになったとき、「孫子の兵法」の考え方が、ぼくをいつも支えてくれました。
(省略)
もしみなさんが、だれかと競争しなければならないとき、あるいは家族や友だちと人間関係で悩んでいたり、将来に不安を感じたとき、この「孫子の兵法」を知っていれば、きっと助けてくれるはずです。
その中で33の言葉が【こども訳】とまんがで紹介されています。
読み方
ついつい間違ってしまう子どもたちに孫子せんせいが「こういうときはこうすればうまくいくんだよ」とやさしくアドバイスしてくれます。
1話の構成は4ページ。
・1ページ目では、まんが前半。問題や課題がわかるようになっています。
・2ページ目では、孫子せんせいのことばをわかりやすくした【こども訳】と原文を日本語に書き換えた【書き下し文】が提示されます。
・3ページ目では、孫子せんせいからのアドバイスとこども訳を身近な出来事などを例にしながらくわしく解説しています。
・4ページ目では、まんが後半。孫子せんせいのことばを聞いてみんなはどう変わったのかが描かれます。
頭では思っていても子どもに説明するとなるとうまく言えないものですが、筆者も読んでみて身につまされる話が多く、「わかるわ〜」と共感し、孫子せんせいのことばに「そうだよな」と納得し、それを子どもに伝えたいと思いました。
ついやってしまう間違いもあってドキッとしました。
人間生きているといいときもあれば悪いときもあります。これからの長い人生を生きていく子どもたちにどんな大人になってほしいのかを想像してみると、周囲の人を大切にして自分の進みたい道で成功する、そんな人間になってほしいですね。
最後に
『孫子の兵法』は書籍や漫画、たくさんあります。
ぜひ探してみてください。
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