まさに
妖怪コンサルタント
墓場から生まれた幽霊の赤ちゃんこと鬼太郎は、目玉の親父とあてのない放浪の旅に出る——。
僕が大好きな漫画 『ゲゲゲの鬼太郎』を簡単3分でご紹介します。
■結論
この本が教えてくれるのは、みんな生きてるです。
■感想
『ゲゲゲの鬼太郎』との出会い
小学生の頃、初めてテレビで観ました。
第一印象、ゾッとして嫌でした。暗いし怖いし、背筋がゾクゾクしてじっと観ていられませんでした。主題歌がすでに陰気すぎるんですよね。
それと、ファミコンで遊びました。すぐゲームオーバーになってばかりで、とても難しかったことを覚えています。
簡単あらすじ
——血液銀行で働くサラリーマン〈水木〉が社長に呼び出されるところから物語は始まります。
社長はある調査を命じます。というのも、血液銀行から輸血をした病人が幽霊になってしまったと言うのです。
半信半疑の水木はその輸血をしたという病院へ行きますが、実際に幽霊のように変わってしまった死人を目にし、驚きを隠せません。
担当医いわく、心臓が止まって何も食べないのに生きていて(活動している)、その原因は輸血した血だと結論づけたと言います。
輸血の供給者を調べてみると、そこに名前はなく、住所はなんと水木と同じでした。
水木は家に帰ると、母にこのことを話しました。母は思い出したように、近所の古寺で夜に火がついているのを見たと言います。
夜になり、水木は古寺に行ってみることにしました。
すると、人魂が現れ、古寺の中に吸い込まれていくのが見え、水木は追いかけるように中に入ります。
中から誰かが出てきました。
「いらっしゃいませ。まあ、どうぞ」と、幽霊のような女性は皿にのったカエルの目玉を食べるよう勧めてきます。
水木が逃げ出そうとすると、包帯ぐるぐる巻の男が掴みかかってきました。
包帯男はこの女幽霊の夫だと言います。しかも、聞いてほしい話があると言うのです。
われわれは大昔、人間のいなかった時代からこの地球に住んでいたのです。
人類というものがあらわれるまでのんびりと暮らしていたのです。
それが、どこからともなく人間がネズミのように増えて地球上に広がっていったのです。
われわれは人間に圧迫され、森に住みましたが、時が経つにつれて穴の中に住むようになった。
そして、だんだんと食べ物も少なくなって、今ではわれわれ夫婦だけになってしまったのです。
それで、危ないと思いながらも人間界に出てきたのでございます。
幽霊の夫婦はお金に困って仕方なく血を売ったのです。
しかも、女幽霊は妊娠しているので、赤ちゃんが生まれるまでは会社に報告しないでくれと頼んできます。
水木は恐ろしさのあまり夫婦の望みを聞くことにしました。
鬼太郎 誕生
月日は流れ、水木は古寺に行きました。
夫婦は死んでいました。
気味が悪いとはいえ、水木は哀れなこの種族を弔ってやろうとしますが、包帯男の方は体がドロドロに溶けていたので女幽霊の体を土に埋めて墓を作ってやりました。
——その3日後、「オギャー」と声がすると、土の中から赤ん坊が這い出てきました。
一方、父親の包帯男の屍はというと、目玉が1つずり落ちて、その目玉に胴体が形づくられて歩き出しました。目玉の親父の誕生です。
「鬼太郎 しっかりしろ!」
目玉の親父は〈鬼太郎〉を水木の家に引っ張っていき、〈鬼太郎〉は水木が面倒をみることになりました。
しかし、6年の歳月が流れた頃、鬼太郎は自分が普通の人間とは違うことを自覚し始めます。水木も水木の母もだんだんと薄気味悪く成長していく鬼太郎がうっとうしくなり、ついには追い出してしまいます。
家を出た鬼太郎に目玉の親父がこう言います。「こんな不自由なところは出よう。外には話のわかる友人がたくさんいる」
かくして鬼太郎は、あてのない放浪の旅に出たのだった……。カラン コロン
ねずみ男
鬼太郎は人間と妖怪のいざこざを解決していきます。
妖怪が悪さをしていることもあれば、人間が害している場合もあります。
そこには必ずといって〈ねずみ男〉がいて、鬼太郎のマネジメントと偽って人間からお金をふんだくっています。
ねずみ男はお金にがめつく不潔なキャラクターですが、漫画で改めて読むと、不思議と親近感のような感情が芽生えました。
なぜなら、ねずみ男がやっていることは「いつもお金がない」とぼやいてあこぎな商売をする大人の姿に見えたからです。お金を持っている資本家や社長はこんなことをしなくてもお金を稼げるのでしません。
ねずみ男がしていることは弱者が弱者からお金を搾取するのと同じ行為です。そこに、人間のあさましさを感じ、弱々しくかわいく思えました。
(※ちなみに、ねずみ男は妖怪と人間のハーフだそうです。まさに、人間と妖怪、両方の特徴を持つ唯一無二のキャラクターだったんですね)
哀愁
『ゲゲゲの鬼太郎』の魅力はなんといっても、鬼太郎の哀愁です。
問題が解決した後に去っていく後ろ姿。
そしてカランコロンと鳴る下駄の音と、どこからともなく聞こえる「ゲッゲッ ゲゲゲのゲ」と鬼太郎の活躍を讃美する歌が、なんとも切ない気持ちを抱かせます。
鬼太郎は鬼太郎として生きているだけで、人間をどうかしてやろうとは思っていないことにじんわり感動することがあります。
「そんな鬼太郎は今、幸せなのだろうか?」と、ふと考えてしまいます。
■読み方
ずっと鬼太郎は人間風の妖怪だと思っていました。
妖怪も幽霊も怪物も精霊も神様も、人間以上の力を持っている点では似ています。
陰気で気味が悪い妖怪たちがたくさん出てきますが、彼らの言動を見ていれば、彼らにも彼らなりの考えを持っていることが分かります。
それに、どんな妖怪でも(ねずみ男も)元気に動いている姿を見ると、微笑ましくほっこりとした気持ちになってしまいます。
■ハイライト
・鬼太郎誕生秘話
・人間に対する鬼太郎の気持ち
・ねずみ男の隠喩
・妖怪たちの特徴
・社会との共存
・鬼太郎の生き方
・カランコロン
鬼太郎って悲しいですね。
でも、なんかかっこいいんです。
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