まさに
平安貴族の恋模様
光り輝く皇子〈光源氏〉は宮中を舞台に愛を探し求め、たくさんの女性と浮世を流す——。
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『源氏物語』を7分でご紹介します。
■結論
この本が教えてくれるのは、本当の愛とは何かです。
■あらすじ
お話はこのようにはじまります。
さて……いつの帝の時代であったでしょうか
そのころ帝には大勢の后が後宮に仕えていました
そのなかでも特に高貴な身分ではなかったのですが……〈桐壺の更衣〉という大変に美しい女性が帝の寵愛を一身に集めていました
みかど、ミカド、帝、御門。原意は御所の門の意味で、直接名指すことを避けた婉曲表現。天皇の別称。「帝」「御門」
Wikipediaより引用
後宮(こうきゅう)は、皇帝や王などの后妃や、その子が住まう場所。日本では、平安京内裏の七殿五舎、江戸城大奥が該当する。
Wikipediaより引用
〈桐壺の更衣〉が清涼殿(=帝の寝室)に来るようになってから、他の位の高い后たちは不満を募らせていました。
当時、后にも身分があり、上から順に”皇后・中宮”→”女御”→”更衣”となっていました。
(※皇后・中宮は、帝の正式な妻。女御は大臣以下の公卿の娘。更衣は公卿以下の娘で、中宮になることはない。)
そんな恋の障害がある帝と桐壺の更衣でしたが、それがまた2人の結びつきをより強くさせます。
すると、激しく嫉妬するのが後宮No.1后の〈弘徽殿の女御〉です。低い身分の者が帝を独占するとは許せない、ということで桐壺の更衣への嫌がらせを始めます。
——やがて月日は流れ、桐壺の更衣は帝との間に男子(皇子)をもうけました。輝くように美しい——この男の子こそが後の〈光源氏〉その人です。帝は妻と皇子を御所に呼び戻し、これまで以上の愛情を注ぐのでした。
それに怒り心頭なのは〈弘徽殿の女御〉。先に第一皇子を産んでいるというのに、なんと粗略(=いい加減)な対応か!ということで、桐壺の更衣への嫌がらせはさらに激しさを増し、元々体の強くない桐壺の更衣は憔悴しきって病に倒れ、とうとう亡くなってしまいました。
〈弘徽殿の女御〉の息子と光源氏、この2人は帝(=天皇)の息子。となれば、後継ぎ争いが起こります。〈弘徽殿の女御〉は自分の息子を皇太子にする為にライバルの母である桐壺の更衣に執拗な嫌がらせをしたのです。
帝は愛する人の突然の訃報に悲嘆に暮れましたが、日が過ぎ落ち着きを取り戻してくると、後見役のいない3歳の皇子(光源氏)を宮中に迎え入れます。
皇子は頭もよく、学問をすいすいと身につけていきました。周りの臣下たちは、この人が天皇になればお国の未来は輝かしい、なんて言って評判になります。
そうなると第一皇子の存在がくすみ始め、弘徽殿の女御が黙っているはずもありません。
帝は苦心の末、桐壺の更衣が残した息子まで失いたくない想いから、皇族から臣下に降ろして”源氏”の姓を与えました。
しかし、光り輝く気品はそのまま……こうして”光源氏”の物語がはじまります。
■元服(光源氏12歳)
そして月日は経ち、光源氏は12歳になり、元服を迎えるときがきました。
元服とは 男子の成人式で 髪を頭上でたばね 成人の証である冠をかぶります
作中より引用
光源氏はこの日をもって大人——つまり、いつ結婚してもOKの許可が出たという意味でもあります。
帝はさっそく光源氏の結婚相手を決めてしまいます。相手は〈葵〉という左大臣の娘でした。
(※帝は息子の身の安全と桐壺の更衣との辛い経験から、光源氏には政略結婚を強いたのでした。)
しかし、光源氏には熱い情念を傾ける女性がいました。その女性とは新しく帝の后となった〈藤壺の宮〉でした。藤壺の宮は桐壺の更衣に容姿が似ていたので帝が后にしたのですが、光源氏と年はたったの5歳しか離れていません。数年前に初めて会ったその日以来、密かに慕い続けていました。
そして元服の日——
一人前の大人になった光源氏は、晴れ姿を義母・藤壺の宮に見せようと会いに行きますがそれは叶いません。
なぜなら、元服を終えた男子は他人の妻のところへ軽々しく立ち入ってはいけないからです。藤壺の宮も成長した光源氏の姿を一目見たい気持ちはありましたが、心を鬼にして追い返したのです。
一方、元服の日の夜——
光源氏と〈葵の上〉の結婚式がとり行われていました。
ですが、葵の上は左大臣の娘ということでプライドが高くツンツンしていたので、夫婦生活はうまくいきませんでした……。
■呼び名 3つのタイプ
『源氏物語』に登場するキャラクターの呼び名は主に3つです。
花の名前か、振る舞いの特徴か、住む土地や屋敷の名称で呼ばれています。
(1) 花の名前タイプ……〈桐壺〉〈藤壺〉〈葵の上〉〈夕顔〉など。
(2) 振る舞いタイプ……〈空蝉〉、〈薫〉、〈浮舟〉など。
(3) 住む場所や屋敷名タイプ……〈弘徽殿の女御〉、〈六条の御息所〉、〈明石の上〉など。
女性の呼び名を花や特徴で呼ばれているので、イメージがつきやすく、覚えやすくなっています。
■相関図
初期の相関図です。
光源氏は、帝と〈桐壺の更衣〉の息子。
しかし、桐壺の更衣は若くして亡くなり、その後、帝が再婚した相手が〈藤壺〉。
光源氏が元服して結婚したのが〈葵の上〉。しかし、夫婦仲は良くなく、光源氏が慕っているのは藤壺、といった構図です。
すでに最初から複雑な人間関係なんですね。
↓作中の注釈をまとめてみました。
この時代の夫婦は、お互いが別々の家に住み、夫が妻の家に訪ねるというスタイルの”通い婚”でした。
また、一夫多妻制も許されていて、夫は正妻以外にも妻(妾)を持つことができました。
貴族の男性は経済力さえあれば自由恋愛を謳歌できる一方で、貴族の女性は夫が離れないように苦心しなければなりませんでした。なぜなら、当時の結婚は夫が妻の家に通わなくなれば自然と離婚が成立してしまうからです。
このように、平安時代の貴族は男性中心の恋愛だったわけです。なので、男性に振り回される女性も数多く、嫉妬や憎悪に苦しんでいました。
この後、光源氏は妻の〈葵の上〉以外にも、〈空蝉〉、〈夕顔〉、〈六条の御息所〉など、他にもたくさんの女性と関係を持ちますが、女性たちの心中はいかほどだったのか……。
■ハイライト
・光源氏の心の奥底にある想い
・平安貴族の生活、身分制度
・スキャンダラスな恋模様
・嫉妬、悲しみ、怨み辛み
・恋愛で得るもの、失うもの
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