まさに
星空の旅
貧乏で気弱な少年〈ジョバンニ〉と唯一の親友〈カンパネルラ〉。 祭りの夜、いじめっ子たちに仲間外れにされたジョバンニはいつの間にか銀河鉄道に——。
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『銀河鉄道の夜』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、生きていく上で大事なことです。
感想
『銀河鉄道の夜』との出会い
『注文の多い料理店』は小学校の国語であったような記憶があります。
短いストーリーなのに分かりやすく、早くページをめくりたくなるようなドキドキ感は、「小説って面白い」と初めて思った作品です。
『銀河鉄道の夜』と聞いてすぐに頭に浮かんだのは『銀河鉄道999』の方ですが、どうやらこれをモチーフにした作品のようですね。(※内容はまったく違います)
簡単あらすじ
蠍の火
昔々、バルドラの野原。1匹の蠍がひっそりと暮らしていました。
ところがある日、イタチに襲われて井戸に落っこちてしまいました。
井戸水に浸かりながら蠍は言います。「ああ、私は今までいくつもの虫の命を奪っておいて、自分の番になると一生懸命に逃げてこんなことになってしまった……。黙ってイタチに喰われてしまえばよかった。そしたらイタチも1日生きのびただろうに——……」
井戸の底へ沈んでいくその瞬間、蠍の体は燃えて、その真っ赤な火は空へと浮かんで闇を照らす星になりました。
「それがあの星だよ」〈カムパネルラ〉は星空を指さしてそう〈ジョバンニ〉に言いました。「蠍が今でも燃えているから赤いんだよ。だけど、”ほんとうの幸せ”ってなんだろう」
「もう時間だ。いってきます、母さん」ジョバンニはそう言って新聞配達に出かけました。
静かな町を駆け巡って、家々のポストに新聞を入れていきます。カンパネルラの家の窓から飼い犬〈ザウエル〉が顔を出していたので、ジョバンニはザウエルの口に新聞をくわえせました。
「もうずっとカンパネルラと遊んでないなぁ」
授業中、ジョバンニは眠たくてうとうとしていました。
「ジョバンニさん、あなたはわかっているでしょう?」と、先生が指名しました。「大きな望遠鏡で銀河をよく調べてみると、銀河とはいったいなんでしょう?」
「なんだっけ……」ジョバンニが答えられずにモジモジしていると、〈ザネリ〉が「モジモジしてどうしたんだ。オシッコかい?」とからかってきました。
先生は次にカンパネルラを指名しました。しかし「わかりません」——と、カンパネルラは堂々と言ったので先生は「この大きな白い銀河は実はたくさんの小さな星の集まりなのです」と答えを言いました。
「ジョバンニをかばったんだよ」ザネリたち・いじめっ子がヒソヒソとジョバンニに聞こえるように言ってきます。「ジョバンニに同情してわざと答えなかったんだよ」「朝も午後も仕事ばっかりでお疲れだもんな」「教科書も買えないなんてかわいそう」
「みなさん、この図をごらんなさい」先生は授業を進めます。「たとえば、天の川を大きな乳の流れだとします。すると、小さな星々は乳の中に浮かぶ脂油の球です。つまり、私たちも天の川の中に棲んでいるのです……。」
祭りの日
学校が終わると、ジョバンニは活版印刷所に行きます。
活版印刷とは、印鑑と同じ仕組みの印刷技術で、それはひとつ1つの活字を組み合わせて文章を作る——その作業を”活字拾い”と呼びます。
「がんばれよ、虫めがねくん」
ジョバンニはここでも大人たちからからかわれ、いじめられていました。
祭りの日の夜、家に牛乳が届いていなかったので、ジョバンニは仕方なく牛乳を取りに行きます。お母さんは「カンパネルラと一緒なら心配ないからもっと遊んでおいで」と言って送り出します。
ジョバンニが牛小屋を訪ねるとお婆さんが出てきて「今は誰もいないので後で来てください」と言うので、ジョバンニはその足で祭りの広場まで走りました。途中、ショウウィンドウに見とれていると、知らない男性が”変な文字が書かれた紙(=切符)”をジョバンニに手渡しました。
広場では高らかに楽器が演奏され、大勢の人が陽気に歌い賑わいます。
でも、そこにザネリたちがやってきました。ジョバンニを見て「密漁したラッコの上着が来るぞ——ッ」と悪口を言います。
ジョバンニは悔しくて悲しくてそこから立ち去りました。そして、誰もいない原っぱでうつ伏せて泣いた後、夜空を見上げました。
するとキラッと流星が夜空に落ちて眩い光に包まれた瞬間、なんとジョバンニは銀河ステーションにいました。
白鳥駅
列車の中にカンパネルラが載っているのが見えます。ジョバンニは慌てて乗り込みました。
「みんなはね、ずいぶん走ったけど遅れちゃった。ザネリも帰ったよ」とカンパネルラが言うと、列車は宇宙に飛び出ます。
ジョバンニが驚きますがカンパネルラは平然と「動くように決まっているから動くんだ」と言います。
窓の外に大きな十字架が聳え立っています。修道女たちはそれを見て祈ります。
「もうすぐ白鳥駅だよ」とカンパネルラが言いました。
ジョバンニは窓を開けようとしますが、他の乗客に「外に出たいならこのボタンを押しなさい」と言われ押すと、宇宙服が出てきました。
2人は外に出て探検していると、遠くの方で声がしました。「いけない! もっと丁寧にしたまえ」
1人の大人の男性がたくさんの人に指示を出して、地面を掘り起こして動物の骨を採取しています。
ジョバンニが「この骨、標本にするんですか?」と聞くと、男性は「いや、存在を証明するためにいるんだ」と言いました。
登場人物
主な登場人物は3人です。
●ジョバンニ
お父さんは仕事で長い間、家に帰ってこない。
お母さんは病気で寝込みがちで、代わりに働いて家計を支えている。
カンパネルラは唯一頼れる存在。
いつもザネリや大人たちにいじめられている。
●カンパネルラ
大人びた優等生。
ジョバンニの唯一の友だち。
●ザネリ
いじめっ子。
何かにつけてジョバンニの悪口を言って仲間外れにする。
読み方
『銀河鉄道の夜』は、少年・ジョバンニが成長する物語です。
……生きていると嫌なことがたくさんある。偉い人に言われるままに仕事して生活していても命は唐突に終わる。またいつか生まれ変わるのかもしれないけど、何を信じて生きていけばいいのだろう? 一緒にいたい人とずっと一緒にいられないことはわかってる。だから——。
最後は希望に満ちた切なさを感じ、最初の”蠍の火”を思い出してまた感動しました。いい意味で良心を刺激します。
子どもに読み聞かせたい1冊です。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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