まさに
死のエピソード
寡黙なスナイパー〈デューク東郷〉。腕前は超プロフェッショナル級。彼を前にして誰も逃げることはできない。
ただの人殺し漫画だと思っていました。しかし読んでみて、それが大間違いだったと分かりました。
結論
この本が教えてくれるのは、プロフェッショナルの流儀です。
感想
大人漫画に挑戦
20代後半、少年漫画に少々の飽きを感じ、読み応えのある漫画を探していた時、『ゴルゴ13』が目に止まりました。
テレビ番組である芸人が何かの例えで「背中見せへんって、それ、ゴルゴ13やがな!」「そんな生活してるのゴルゴ13以来やぞ!」などと突っ込んでいるのを見たことがありました。
ゴルゴ13こと〈デューク東郷〉が凄腕のスナイパーであることは、テレビか何かしらで知っていましたが、内容は全く知りませんでした。
〈大人向け漫画〉という先入観がありました。
その時、手に取った本は160巻。タイトルは〈亜細亜の遺産〉。
表紙の美しさに妙に惹かれ、お試しのつもりで1冊買ってみました。
読んでみて案の定。……でも
『ゴルゴ13』のコミックは少年漫画のコミックよりも紙が硬く厚みがあり、ずっしりとした重みがありました。
本を開くと、物語の導入部分があり、その数ページ後に見開きで太文字のタイトルが並びます。
案の定、歴史的な出来事(戦争)について語られるシーンがあり、聞き慣れない単語や学校の授業でしか聞きたことがない言葉が出てきます。
「やっぱり難しい」と思いながらも、面白さの方が上回ってくれたので、3〜4時間ほどかけてなんとか最後まで読み切ることができました。
とうとう『ゴルゴ13』を読めるようになったのかと思い、少し大人になったような気がしました。
1巻がない!
他の巻も読んでみたい気持ちが出てきたので本屋に行きました。
しかし、「あり得ない!」と思えることが起きます。
なんと、1巻から順に置いていないのです。
どこの本屋も新刊かその前の巻の2巻しか置いていないのです。
「どうしようか」と少し考えた後、僕は古本屋に行くことにしました。
しかし、そこでも1巻から空きがなく全巻揃って売ってはいませんでした。
所々に抜けがあり、全巻の1/3程度しか置いていませんでした。
売る人が少ないのでしょうか。何度も読み返したい本ということでしょうか。
とにかく僕は、知ってる古本屋を全部巡って『ゴルゴ13』を買い集めていきました。
主役兼ナビゲーター
読んでみて分かったことは、ゴルゴ13こと〈デューク東郷〉は物語の主役ではないことが多いということです。
物語の要はあくまでその事案に関わる人々。たまに物語の中心になることもありますが、最後にさっと狙撃して終わるパターンがほとんどでした。
どうやら、〈デューク東郷〉は物語にそっと彩りを添えるナビゲーターか傍観者のようです。
デューク東郷の魅力
狙った獲物は逃さない。狙撃成功率100%誇るプロフェッショナル。
重要なこと以外はほとんど口を開かず、寡黙でいつも1人。「仕事以外に興味がないのか?」と思えるほど。
それが〈デューク東郷〉の最大の魅力ですね。
そしてもう1つの魅力。
それは、たまにカットインするお色気シーンです。
エッチの時、〈デューク東郷〉は顔色をピクリとも変えずに行為に及んでいます。
相手の金髪女性が「私のテクニックに跪かせてやるわ!」的な感じで攻めても〈デューク東郷〉は天井を見上げたまま無言を貫いています。
もしもここで果ててしまって刺客が襲ってきた場合、太刀打ちできません。その後、熟睡しては任務を遂行できません。
それとも、ただ単に女性に興味があんまりないのか。そういう体質なのか。
快楽ですら捨ててしまうデューク東郷の〈流儀〉に憧れを抱きます。
読み方
1冊の中に2~3つの短編が収録されています。
古い巻は絵のタッチが違うため、読みづらさを感じるかもしれません。でも、読み慣れてくると違和感は和らいできます。
僕が好きな巻は160巻の〈亜細亜の遺産〉の他に、119巻〈白龍昇り立つ〉、143巻〈百人の毛沢東〉、156巻〈極寒の大地〉です。
ゴルゴ13(119) (SPコミックス) [ さいとう・たかを ] 価格:576円 |
ゴルゴ13(143) (SPコミックス) [ さいとう・たかを ] 価格:576円 |
ゴルゴ13(156) (SPコミックス) [ さいとう・たかを ] 価格:576円 |
他の巻に比べると簡単でわかりやすく、ちょっとエッチなシーンもあって読みやすいと思います。
最後に
原作コミック、コンパクト版(文庫本サイズ)、実写映画、アニメもあります。
ぜひ探してみてください。
ゴルゴ13(202巻) アデン湾の餓鬼 (SPコミックス) [ さいとう・たかを ] 価格:693円 |