【解説】中沢啓治『はだしのゲン』|結論|感想|読み方

原子爆弾投下

まさに

原爆投下、その後

1945年8月6日(月)午前8:15、広島県広島市に原子爆弾は投下され、約14万人の方が亡くなりました。

日本人として、原子爆弾について知ることができたことを誇りに思います。

よーいち
僕が大好きな漫画 『はだしのゲン』を簡単5分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、人間の生きる力です。

 

感想

『はだしのゲン』との出会い

僕が小学生3〜4年だった頃、学校の図書室に『はだしのゲン』という怖い本があると、クラスで話題になりました。

何が怖いかというと〈原子爆弾〉が広島に落ちた時の様子が描かれていると言うのです。

僕は〈原子爆弾〉という言葉だけは知っていました。

夏休みが近づく頃になると、先生は8月15日の終戦記念日のことや広島と長崎に落とされた原爆についての話をするからです。

その本を読んだ子たちは「めっちゃ怖い!」「怖すぎるわー」と言う子もいれば、「持ってこないで!」「そんなの見たくない!」と言う子もいました。

 

簡単あらすじ

〈中岡元(なかおかげん)〉は小学生2年生です。

父の〈中岡大吉〉、母の〈君江きみえ〉、1番上の兄〈浩二こうじ〉、2番目の兄〈あきら〉、姉の〈英子えいこ〉、弟の〈進次しんじ〉の7人家族です。

父〈大吉〉は下駄職人、〈浩二こうじ〉は工場で働き、〈あきら〉はもうすぐ疎開することが決まっていました。

昭和20年の広島——日本はアメリカとイギリスと戦争をしていました。

ウウウウウウウー!

空襲のサイレンがコダマすると、みんな急いで防空壕ぼうくうごうへ入ります。

戦闘機

父〈大吉〉は「日本はいずれ戦争に負ける」と戦争に反対していました。

軍服の男たちが神社で竹槍ヤリの訓練をしていますが、〈大吉〉は「こんな竹ヤリでアメリカ兵と戦えると思っているのか」と食ってかかり、それが反感を買ってしまい、”非国民”と罵られしまいます。


翌朝、〈英子〉と〈元〉と〈昭〉が荷台車を押していると、石ころが飛んできて頭に当たりました。

町内会長の息子〈竜吉〉と取り巻きたちです。

昨日の父の態度への報復に来たのです。

あろうことか、〈大吉〉が作った下駄を積んだ荷台を川へ落としてしまいます。

〈元〉たちは取っ組み合いの喧嘩した後、大泣きしました。

「ちくしょう。とうちゃんが戦争に反対するから非国民と言われてバカにされるんだ」

家に帰ると、〈元〉はこの悔しさを父に訴えましたが、〈大吉〉は〈元〉に何も言ってあげられません。

すると突然、警官がやって来て〈大吉〉を連行して行きました。

取調べと称して、〈大吉〉が戦争に反対する危険思想の持ち主だと言いがかりをつけたのです。

〈大吉〉は竹刀で何度も何度も叩かれ続けました。


「中岡家は非国民だ」という噂は町内会長親子によって広まっていました。

近所の人や生徒・教師までもが集団となって中岡家にひどい仕打ちをし始めます。

食べ物を分けてもらえず、罪人扱いをしてきたりします。

その日の夕方、みんなでイナゴを取りに行った後、〈大吉〉が帰ってきました。

〈大吉〉はイナゴを食べる家族を見て、申し訳なく思います。

そんな時、〈ぼくさん〉がお米を分けに来てくれました。

〈朴さん〉は在日朝鮮人でしたが、父〈大吉〉は差別することはなく親身にしていました。

そのおかげで〈元〉たちは何年ぶりかのご飯を食べることができました。


ある日、〈進次〉が血相を変えて走ってきました。「たいへんじゃ。浩二あんちゃんとかあちゃんがたいへんじゃ」

母〈君江〉は〈浩二〉に包丁を突きつけています。

話を聞くと、浩二は「父のように非国民呼ばわりされたくないから海軍へ志願する」と言うのです。

〈大吉〉は戦争に行っても負傷して人生を台無しにするか無駄死にするだけだと言い聞かせます。

しかし、〈浩二〉は町じゅうから非難される家族を守るために戦争に行くことを決意したのでした。

 

原爆投下

昭和20年8月6日(月) 7:18 快晴

原爆を積み込まれたアメリカのB29編隊は迫っていました。

空襲警報が発動されますが、B29は一端引き返して行ったため、空襲警報は解除され、安心してみんな出てきます。

〈元〉はいつものように学校に行きました。

学校の前に着くと年上の女の人に声をかけられました。

すると、〈元〉の目に、近くを飛行するB29の姿が映ります。

その直後、いきなりB29の機体から爆弾が落ちました。

写真のフラッシュが何万回も発したように白く光ったかと思うと、突風が起き、ありとあらゆる物を吹き飛ばしていきます。

その爆発で起きた煙は雲となり、ゴゴゴゴと轟音を響かせながら空高く舞い上がり、空一面を覆いました。

——広島の時が止まった。

〈元〉は瓦礫がれきの中からい出ますが、何が起こったのか状況が飲み込めません。

さっき話しかけてきた女の人は瓦礫の中で焼け死んでいます。

〈元〉は恐ろしくなって助けを呼びに走ります。

すると町には、崩れた建物、ガラスが全身に突き刺さった人、お化けのようにのそのそと歩く人、焼け死んだ人が溢れていました。

慣れ親しんだ町は死の世界に変わっていました。

死の世界

 

異常すぎる日本人の思考

この作品では、その当時の日本人の異常な思考と思える部分が多く見られます。

例えば

●戦争に反対すると”非国民”と呼ばれ、警察に連行される。

●”非国民”と呼ばれる者の家族は近所からさげすまれる。

●非国民と見なされると人権を失う。(集団で乱暴をされたり、人前で裸にさせられたり、畑をめちゃくちゃにされたり、食べ物を分け与えないなどの差別を受ける)

●戦争に行った人が負傷して帰ってくると”軍神”とめたたえる。

●天皇は神さまだと信じている

●出兵しない年寄りや女性や子供は、敵国に捕まりそうになると集団で自殺する。

体罰や暴力なんて当たり前な時代です。

「お国のために」「天皇陛下のために」と、みんなは口をそろえて言います。

食料が少なく、助け合って生きていかなければいけない時に、日本人は日本人をいじめ、嘲笑い、傷つけ合います。

これも日本のお偉方が植え付けた戦争教育のせいでしょうか。

無理矢理戦わされていることに何も疑問に感じて疑わない、「お国のために戦い死ぬのが喜びだ」という思考の人間を作り出してしまったのです。

大日本帝国軍

——しかし、そんな世界であっても〈元〉はたくましく生きます。

もしかして明日、被曝ひばく症状が現れて死ぬかもしれない……たくさんの仲間が死んでいっても尚、それでも〈元〉は力強く生きようとするのです。

 

読み方

僕が最初に読んだのは児童向けの絵本でした。

原爆によって全身の皮膚が焼け爛れた人たちがのそのそとゾンビのように歩いていました。

その衝撃は想像を絶し、小学生だったその当時は最後まで読めませんでした。

でも、今回読めてよかったと心から思っています。

なぜなら、人間の生きる力の素晴らしさを知ることができたからです。

こんなに酷く寂しい悲惨な世界は他にありません。

だからこそ、〈元〉の言葉に、〈元〉の優しさに心を打たれました。

 

最後に

アニメ化、テレビドラマ化、実写映画化もされています。

コミック、文庫本、絵本、関連書籍もたくさんあります。

ぜひ探してみてください。

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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