まさに
格闘列伝
2000年も昔から、一子相伝により受け継がれてきた暗殺拳があった。その名を北斗神拳。
こんなに暴力的な漫画は見たことがありません。毎回毎回たくさんの人が殺されます。これをどうやって楽しめばいいのか、僕には分かりませんでした。
結論
この本が教えてくれるのは、かっこいい男の生き様です。
感想
小学2年の登校時に
ある日、通学路を歩いていると、後ろの方から「イワッシャー! イワッシャー!」と言う声が聞こえてきました。
僕は(何言ってるんだ?)と思い、振り返りました。
その子は同級生の男の子・I君でした。
楽しそうに笑って、何度も「イワッシャー! イワッシャー!」と叫んでいます。
実は、これは知る人ぞ知る、北斗の拳のオープニングテーマ〈愛をとりもどせ!!〉の冒頭の歌詞、youはshock!のことだったんです。
それをメロディーに乗せて歌うと「イワッシャー」に聞こえるんですね。w
当時、僕は『北斗の拳』を知りませんでした。
だから、I君のことを変な子だなぁと思っていました。
北斗神拳の衝撃
それは、残酷すぎる倒し方です。
主人公・ケンシロウは〈北斗神拳〉という中国拳法の使い手で、その技の効果に強さの秘密があります。
〈北斗神拳〉はただ殴ったり蹴ったりする拳法ではありません。
指先で経絡秘孔(ツボ)を突くことで人体にショックを与え、肉体を内部から破壊するという特徴がありました。
なので、経絡秘孔を突かれた敵は、頭やお腹が膨れ上がって破裂して死にます。当然、辺りに多量の血飛沫が飛び散ります。
その残酷さたるや否や、僕は怖くてすぐにチャンネルを変えてしまいました。
あの子はこんなアニメを観ていたのか。よくこんな残酷な映像を平気で見れたものだと思いました。
たまたま、また……
それから1〜2年後の夏休み、両親の実家で『北斗の拳』が放送されていました。
僕が住む地域と両親の実家とでは、テレビ番組は違っていました。当時はよくあったことだと思います。
「うわっ、北斗の拳だ……」
僕はすぐにチャンネルを変えました。
しかし、他のチャンネルに変えても面白い番組は何一つやっていません。
少しだけ『北斗の拳』を観てみることにしました。
すると、何やら雰囲気が違うことに気づきます。
ケンシロウは出てこないし、知らない長髪のキャラクターが戦っています。
そのキャラクターは戦いの中で技を出してこう言います。「北斗琉拳喝把玩!」
すると、敵は頭をひしゃげて地面に押し付けられるようにして死んでいきます。
「あれ? 北斗神拳じゃなかったっけ?」
次回予告で番組タイトルが〈北斗の拳2〉だと知りました。
10年後……
19歳の時、本屋で『北斗の拳 文庫版』が並んでいるのを見かけました。
北斗の拳は少年漫画の王道で、知らない男子の方が珍しくありました。
僕も友だちと北斗の拳の話をすることが何度かありました。大抵は「どのキャラクターが好き?」という話です。
僕はずっと「あんまり詳しくないから分からない」と言ってスルーしていました。
でも、会話に入れないもどかしさも感じていました。
「ちょっと読んでみるか……」
子供の頃はまともに見れなかったけど今なら大丈夫だろうと思う気持ちもありました。
……読んでみると、面白い、面白い。とんでもなく面白い。
男が拳と拳で語り合う、男の美学そのものです。
〈北斗神拳〉と〈南斗聖拳〉
●〈北斗神拳〉は一子相伝です。1人しか継ぐことができません。
そのため、たった1人の伝承者の権利を兄弟弟子の間で争います。
伝承者候補の〈北斗四兄弟〉の四男がケンシロウです。長男が〈ラオウ〉です。
●〈南斗聖拳〉は北斗神拳のライバル的存在です。
南斗聖拳の特徴は、手刀をナイフのようにする拳法で、敵を刺したり切ったりして倒します。
南斗聖拳は一子相伝ではありません。(南斗鳳凰拳は一子相伝)
南斗聖拳には108の流派があり、その頂点に立つのが南斗六聖拳と呼ばれています。
〈南斗水鳥拳〉〈南斗紅鶴拳〉〈南斗白鷺拳〉〈南斗鳳凰拳〉などがあります。
魅力的なキャラクターが自分の信念のために戦います。
そして男たちは男らしく見事に散っていきます。
〈シン〉……南斗聖拳(南斗孤鷲拳)
〈レイ〉……南斗水鳥拳
〈アミバ〉……北斗神拳
〈ジャギ〉……北斗神拳
〈トキ〉……北斗神拳
〈ラオウ〉……北斗神拳
〈ユダ〉……南斗紅鶴拳
〈シュウ〉……南斗白鷺拳
〈サウザー〉……南斗鳳凰拳
敵キャラも好きになる!
僕が1番好きなキャラクターは〈サウザー〉です。
サウザーは敵キャラなのですが、その生き方は痛いほど共感してしまいます。
サウザーは孤児で生まれ、南斗鳳凰拳の伝承者・オウガイに育てられます。
少年となったサウザーは南斗鳳凰拳を学び始めます。
サウザーは技を覚えるたびに包まれる、オウガイのぬくもりに喜びを感じていました。
そして最終試験の時、「目隠しをしたままで襲ってきた敵を倒せ」と言われ、敵を倒したサウザーは目隠しを取って愕然とします。
なんとその敵とは、オウガイ自身だったのです。
サウザーは「こんなに悲しいのなら愛などいらぬ!」と泣き叫びます。
その日からサウザーは孤高の帝王となり、核戦争後には軍を率いて覇権争うことになります。
しかし、最後は、ケンシロウとの闘いに敗れ、師・オウガイへの愛を思い出して死んでいきます。
サウザーのセリフは今でも忘れられません。
「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」
●退かぬ……逃げない
●媚びぬ……取り入らない
●省みぬ……過去を振り返らない
敵を前にして逃げずに戦い、誰かの機嫌取りをせずにプライドを持ち、自分の行いを振り返らずに前に進む。
そんなカッコいい〈サウザー〉が1番好きです。
読み方
やっぱり1巻から読むのがいいと思います。
人間関係や各キャラクターの生き方が醍醐味なので、じっくり読んでもらいたいと個人的には思います。
最後に
原作コミック、愛蔵版、文庫版、完全版、究極版。
外伝多数。〈蒼黒の餓狼 レイ外伝〉〈極悪ノ華 ジャギ外伝〉〈天の覇王 ラオウ外伝〉〈銀の聖者 トキ外伝〉〈彷徨の雲 ジュウザ外伝〉
TVアニメ、アニメ映画、実写映画、TVゲームなど、たくさんあります。
パチンコ、パチスロも高い人気がありました。
ぜひ探してみてください。
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