まさに
死にたい人
自殺を決意した〈エリ〉は不発弾があるという噂の裏山へ……しかし自殺は失敗。そこで1人の老人〈春亜〉と出会い、生の正体について不思議な話を聞くことに——。

今回は【講談社まんが学術文庫】の中から『自殺について』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、生の本質です。
感想
『自殺について』との出会い
【講談社まんが学術文庫】を読むきっかけとなったのがこの『自殺について』でした。
毎日のように「死にたい」と思い悩んでいても、誰にも相談することができない時期がありました。正しい答えをくれる人をずっと探していました。
簡単あらすじ
20XX年 沖縄
「決めた。私の死場所」
〈新垣エリ(16歳)〉は漁港の裏山へ向かった。そこには”殺人博士”が住んでいて、不発弾や地雷を仕掛けて近寄る者を殺しているという。
エリは9歳の頃に父親を亡くして、母と2人で暮らしてきた。
母は毎晩のように違う男を家に連れ込むようになり、時に身の危険を感じたこともあった。
学校では、母の噂が広まって自分まで売女というレッテルを貼られ、友だちはみんな離れていった。
それでも夢を見て勉強を続けていたエリだったが、ある日、母から「高校を卒業したら就職して」と、進学を断念させられてしまった。
もう生きていても意味がないと思った……。
エリは震える手で不発弾に火をつけた……が、爆発しない。爆発はしないが火はどんどん大きくなっていく。
「誰だぁーっ!? き・さ・ま・かあ!!」老人は血走った目でエリを睨みつけた。
しかし、老人はエリの身なりを見て事情を察し、必要以上に咎めず、エリの悩み事を聞いてくれた。
老人の名は〈大城春亜〉といって、この土地に住む経営コンサルタントで、あの不発弾は春亜が作った彫刻とのことだった。
エリが思いの丈を語ると、春亜は「1人でずいぶん辛い思いをしてきたんだな。よく耐えた」と言い、その後、車で家まで送ってくれた。
「オジイちゃんはどうして山奥に1人で住んでるの?」車内でエリは尋ねた。
春亜は「オジイちゃんではなくて先生と呼びなさい。そして敬語で喋りなさい」と断りを入れてから「私があそこで1人で住んでいる理由は……私が”人間嫌い”だからだ」と答えた。あの場所では自由になれる。明日の朝、またここへ来るようにエリに言った。
表象
翌朝
エリが春亜の家に行くと、春亜はサーフィンボードを持ってに入って行き、波乗りを始めた。
自在に波を乗りこなす春亜の身のこなしにエリは開いた口が塞がらなかった。
「どうだい。キミもやってみるか?」
「やります!!」
エリは春亜に教わりながらサーフィンを思いっきり楽しんだ。
「キミはセンスも良くて賢そうだかだ。もっと人生を楽しむべきだよ」と春亜はエリに言った。「キミに、人が悟るべき生について教えよう」
楽しい時間も苦悩も全て、己の脳が映し出した幻想——世界は全て表象にすぎない
【表象】
1.象徴。シンボル。また、象徴的に表すこと。
2.哲学・心理学で、直観的に心に思い浮かべられる外敵対象像をいう。知覚的・具象的であり、抽象的な事象を表す概念や理念とは異なる。心像。
weblio国語辞典より引用
マシーン
春亜はエリが自殺しないため、生を超越するため、[意志]について説明する。
意志はこの世の全てに宿っている。地球、植物、動物、人間。原理や欲求を実現させようとする意志を持っている。ゆえに[意志]は絶えず闘争と努力——苦痛を続ける。そして、努力による意欲が満たされなければその苦痛は計り知れないものになる。
人間の個体はまず[肉体][脳][意志]で成り立つと考える。SFの世界でたとえると、[肉体]はマシーン、[脳]はシステム、[意志]が操縦者。
問題なのは、世界とそのマシーンを[意志]に与えたのは悪魔だったということだ。しかも悪魔はあらゆる享楽から苦痛まで絶え間ない幻想を見せて、表象の世界を体験させて支配しようとする。
そこで、悪魔の影響を振り払い、生の本質に気づく必要がある。「いきなり3択クイズ!」
どの道を選ぶ?
1. 悪魔に踊らされるままの人生を送るのか?
2. 自らマシーンを破壊。マシーンを捨てて自由を求めるのか?
3. 悪魔の影響をできる限り避けながらマシーンを操縦して生の本質を探究し続けるか?
真面目な人ほど自殺する
春亜は「自殺はやめなさい」と言います。「生きようとする[意志]が強すぎる人ほど、なぜか自殺する……。強く生きたいのに関わらずだ」
人は社会の一員から外されることが怖くて己の思考を殺して他人の思考に流される。それでもって、つまらぬことを気にかけて一人ぼっちで苦悶したり、他人と激しく衝突したりする。挙句には、くだらんプライドの為に命を賭した労働をしたり、危険を犯して身を滅ぼす者がいる。
学業や労働を一生懸命、真面目に取り組む者ほど、十分な満足が得られない状態が続くと絶望し、やがて絶望が死の恐怖を凌駕してしまい、自殺を選択する。
どうすればいいのか?——春亜は、今の環境(学校・仕事)から離れて別の環境に身を置くことをアドバイスします。
人生を見つめ直すチャンス
筆者も過去に自殺を考えた1人の経験者として、僭越ながらアドバイスを1つ贈らせていただきます。
死にたいと思う気持ちは、今にしてみれば死を身近なものとして考える機会だったと思います。
「いつか人は死ぬ」
どれだけ頑張ろうと怠けようと、成功しようが失敗しようが、お金持ちでも貧乏でも、明日突然死ぬかもしれない。だったら——

自分の為に生きるか、他人の為に生きるか、どちらを選ぶにしろ、死を受け入れて生を探求する——これこそが生の本質だと『自殺について』を読んで確信しました。
読み方
死にたいと思っていた男女が春亜の言葉によって生を充実させていくストーリーです。
もしも今、あなたが死にたいと心の底から思っているなら、この『自殺について』を読んでほしい。
死んでハッピーになる人はいないと思うし、心の中では誰よりも”生きたい”と思っているはずだから。
筆者の心の中にあった絶望は消えました。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。


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