まさに
被・殺人劇
〈殺したい〉じゃなくて〈殺されたい〉 男は計画通り、女子高生に殺されることはできるのか——！？
僕が大好きな漫画 『女子高生に殺されたい』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、ありません。
（あるのかもしれませんが、見つかりませんでした）
感想
『女子高生に殺されたい』との出会い
いつだったか、本屋の青年漫画コーナーに並んでいるのは知っていました。
でも、それを手に取るにはちょっと抵抗があったので、なかなか買うことが出来ませんでした。
タイトルだけでも分かるように、歪んだエロスと自殺嗜好の話だからです。
簡単あらすじ
2013年 6月17日 とある満員電車の車内——。
1人の女子高生が声にもならない弱々しいか細い声で「や……やめ……」と声を漏らしています。
そして、その女子高生の背後にはスーツの青年が冷ややかな目線を送っています。
「やめ……下さい……」女子高生は声を絞り出します。
次の瞬間、グッとスーツの青年は事の元凶であるその手を掴み上げました。
「あ……いや……」と、禿げた中年の男が狼狽えています。
中年の男は駅員に連れて行かれ、女子高生はお礼を言っています。
スーツの青年は軽く手をあげてその場を後にします。
背を向けるほんの間際の、青年の目線の先——それは、女子高生の下半身でした。
梅雨の晴れ間……こんなにいい天気の日に 殺されたい……
別に僕は死にたいわけではない
やはり死ぬのは とても怖いことだ
だけど どうせ死ぬのなら 美しい女子高生に殺されたい
スーツの青年は高校教師でした。
普通の、どちらかと言えば人気のある教師——。
僕は東山春人 34歳
独身 高校教師
僕はいつからこんな考えを持つようになったんだろう
明るく暗くもない普通の性格……
小中でも問題は起こさず いい成績を取ってきたし 運動もそこそこできた
進路について考え出した高2の始めごろから 可愛い女の子を見るたび 僕は変な感情に襲われるようになった
あの細い腕がぶるぶると震え 僕の首を絞める
その力は男の僕でも抗うことが出来ず あまりの苦しさにもがき苦しむ
どんなに暴れようが この子の力は弱まらない
彼は電車の中で、目の前の女子高生に自分が絞殺されることを想像しながら……射精していました……。
なんだこれ……僕おかしいのかな……
その後も僕の妄想は止まることはなかった
授業中でも通学中でも僕は数十人の女の子に妄想の中で殺された
僕は変態だ……
そんな時、図書館である言葉を目にします。
【オートアサシノフィリア】
自分が殺されることに性的興奮を覚える性的嗜好……
自殺願望や自傷行為とは別物……
「これか……僕はこれなんだ……」
自分の欲望には名前がある……なんだか救われたような気がした
問題はなぜ僕がそんな欲望を持つようになったのか？
大きなショックを受けるようなトラウマもなければ 大きな事故を経験したこともない
そんな自分の心理に興味を持ち 大学は心理学研究科に進学
上京し 臨床心理士を目指すことにした
大学になってから僕のターゲットは明確になってきた
僕は女子高生に殺されたい
理想的な殺され方を考えるが現実的にできそうにない
大学一年の夏ごろ、初めての彼女もできたが、彼女に殺されたい願望はまったく湧かなかった
大学 そして大学院も卒業し 臨床心理士になるため 病院の精神科に実地研修に入った時 僕は高校教師になる道を選んだ
彼女とも別れた
それは女子高生に殺されるという 僕の夢を叶えるため
僕は……この佐々木真帆に……殺されたい
しっとりと生々しい
誰にも話せない性的嗜好。
しかも、他人に自分を殺させたいというクレイジーな願望。
なのに、妙な親近感を覚えるのはなぜだろうか。そこが異常なほどに現実味があり、生々しい。
もし自分を殺させることができれば、相手は殺人者になる。
心から人を殺したいと思う人間はいないと思うし、お金を積んで「殺してくれ」と言われてもそう簡単にできるものではない。
いわゆる無理ゲーだ。
主人公は”殺される快楽”のために人生をかけます。
「一体なんのために？」という声が聞こえてきそうだが、それが理解できないからこの本が魅力的に映るのだと思います。
非常にネガティブな思考が要因に思える——メンヘラな主人公はその歪んだ目的に到達することはできるのか？
そして、その到達点にあるのは何なのか……。
読み方
1人で読むことをオススメします。
全2巻。全部で480ページほどです。
絵がとても微細で綺麗です。
最後に
〈古谷兎丸〉先生の作品はたくさんあります。
ぜひ探してみてください。
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