【解説】池田理代子『竹取物語』(マンガ古典文学)|結論|あらすじ|ハイライト

竹取物語 イメージ

まさに

異界の女

竹から生まれた赤ん坊はお爺さんとお婆さんに育てられ、あっという間に成長。その美しさは光り輝くほど。 やがて、その噂を聞きつけた5人の貴族たちが求婚してきて——。

 

よーいち
勇気が湧いてきます。特に女性は勇気をもらえる本だと思います。

【マンガ古典文学】から『竹取物語』を簡単5分でご紹介します。

 

■結論

この本が教えてくれるのは、常識と戦えです。

『かぐや姫』でお馴染みの物語ですが、子供だけはなく大人でも「かぐや姫、大好き!」と言う人を見かけます。

 

■あらすじ

宇宙に光が疾走する イメージ

発光体が宇宙を一直線に飛んでいきます。

その光は地球の、ある竹林ちくりんに落下——すると、1本の竹の節が光輝き出しました。

——翌日、竹取りを生業としている〈讃岐造さぬきのみやつこ〉というお爺さんがその竹林に入ると、竹が光輝いていた。

お爺さんは不思議に思いながらも持っていた斧で光る竹を切ってみると、切り口から大きな光があふれ、中に小さく可愛らしい赤ん坊が眠っていた。

竹から女の赤ちゃん

「あわ……わ……」

お爺さんは驚いたが、この3寸(約10センチ)にも満たない赤ん坊を家に持ち帰ることにした。

家に帰ると、さっそくお婆さんに赤ん坊を見せて事情を説明した。

お爺さんも話しながら信じられない出来事に恐ろしいやら嬉しいやら——というのも、2人は子供に恵まれなかった。だから、「もしや、これは天からの授かりものなのかもしれん」ということになり、2人はこの赤ん坊を育てることにした。

——翌日、2人は仰天した。

赤ん坊はひと回り大きくなっていたのだ。しかも、髪も肩まで伸びている。2人は言葉にならず、ただならなぬものを感じた。

いつも通りにお爺さんは竹林へ出かけた。すると、また1本の竹が光っている。

「まさか2人目?」と思った。だったら尚更切ってやらなければ、と、竹を切ると、中から砂金さきんが出てきた。

竹から砂金

お爺さんは慌ててそれを家に持ち帰った。すると、赤ん坊はもう少女の姿になっていて再び驚いた。

2人は光り輝くような少女を見て、この砂金はこの子を育てるために贈られたものに違いない、と思って、少女のために家を新しくして着物や本や琴を買うことに使った。

 

■御しるし

おしるし

少女は瞬く間に美しく成長し、〈なよ竹〉と名付けられた。

相変あいかわらず竹林ちくりんの竹からは砂金が出たのでお爺さんとお婆さんの暮らしはますます豊かになっていった。2人はなよ竹に教育係や世話係をやとい、気品のある女性に育てようとした。

ある日、なよ竹がことを練習していると急に手を止め、顔を真っ青にして腹痛ふくつううったえた。

とうとう、女のしるしが訪れたのだ。すぐにでも裳着もぎ(=成人の祝い)をり行わなければならない。家で祝宴しゅくえんを開いて、適齢期てきれいきになったことを将来の結婚相手にお披露目ひろめをするのだ。

お爺さんとお婆さんは、こんなに早く成人してしまった〈なよ竹〉を嬉しくも寂しくも思った。

さっそく祝宴の準備が始まった。が、なよ竹改め〈かぐや姫〉はムスッとしていた。

「祝宴なんて、まっぴらでございますわ! どこの誰とも知れぬ男が入れかわり立ちかわりうたげにやってくるなんて」

お婆さんは「これがこの世のしきたりというもの」と言い、お爺さんは「その中から最もよき結婚相手にもらっていただくのじゃ」と言った。

「もらっていただく……!?」

かぐや姫は自分が飾り物にされるような気がして、嫌悪感をますます強くした。

お爺さんとお婆さんはどうしたものかと、出生の秘密を話すことにした。

 

■裳着の儀

ショック

「ええ……!?」出生の秘密を知ったかぐや姫は泣き崩れた。

実の親だと思っていた2人に、甘えてばかりでわがままばかりを言って申し訳ないと頭を下げた。

お爺さんとお婆さんは、い先短い自分たちがいなくなった後のかぐや姫のことを思うといい人と結婚してもらいたかったのだよ、と心情しんじょうを打ち明けた。

 

——裳着もぎの儀の日

家の前にはたくさんの男たちがごった返していた。

京のみやこからも5人の貴族たちが、光り輝く美しさを持つかぐや姫の噂を聞きつけてやって来た。5人は誰も名に恥じぬ家柄いえがらと財力を持ち合わせていた。

しかし、かぐや姫は当然のように毅然として結婚の意思がない態度を続けた。

お爺さんとお婆さんは、せっかく高貴な身分の方が来てくれたのだからこの5人の中から選んでみてはと説得すると、かぐや姫は2人の親心に免じて、「自分を本当に愛してくれる人だったら結婚してもいい」と言って結婚の条件を出した……。

 

■結婚の条件

5人の貴族たち

かぐや姫は、5人の貴族たちの愛情を確かめるために、それぞれに難しい要求を出題します。

●〈石作いしづくり皇子みこ〉には[みほとけ御石みいしの鉢]

●〈倉持くらもち皇子みこ〉には[蓬莱山ほうらいざんにあるしろがねこがね白玉はくぎょくでできている木のひと枝]

●〈阿部あべ右大臣うだいじん〉には[もろこしにある火ねずみの皮衣かわぎぬ]

●〈大伴おおとも大納言だいなごん〉には[たつの首に光るたま]

●〈石上いしのかみ中納言ちゅうなごん〉には[つばめの持っている子安貝こやすがい]

「この品を1番早く持ってきた人と結婚します」とかぐや姫は言いますが、どれも現世にはあるかどうかも分からない幻の品ばかり。

見所みどころは、5人の貴族たちがこの難題をクリアするためにどんな手を使ってくるか、です。

 

■かぐや姫の心

ここまでのあらすじを読んた人は「かぐや姫ってS女なんだな……」と思ったのではないでしょうか。

女性が男性にもらわれるという結婚システムを嫌悪し、自分が地球人でないことを知ると貴族相手に上目線な態度をとります。

最初「かぐや姫はなぜ結婚したくないのだろう?」と思っていましたが、読んでいるとそうではなくて、世の中の常識——その代表ともいえる結婚システムの非常識さをかぐや姫は非難していたのだと分かってきました。

今まではそうだったから——、みんなしているから——、と言われても、かぐや姫は「だから何なのよ! 私は自由に生きたいのよ!」と反発しているように見えます。それはフェミニズム的な女性の自立を訴えているようにも見えました。

 

■『竹取物語』に込められたメッセージ

自立した女性 かぐや姫

この『竹取物語』はフェミニズム的な要素を持ち合わせていますが、それよりももっと大きな命題”人生観”を読み取ることができます。

お爺さんとお婆さんは、世間を比喩していると解釈できます。彼らは世間の常識や風潮に従い、それを当たり前のことだと信じています。

5人の貴族たちはその世間の常識です。財力・武力・知力・思考力・策略など、それぞれ力を持つものがこの世を支配している確固たるしきたり(=ルール)と読み解くことができます。

かぐや姫は、そんな支配者が作ったしきたりと戦う、精神的に自立した女性なのです。あからさまに言えば、しきたりはかぐや姫にとって敵。自分の生き方を邪魔する敵に他ならないのです。

自分らしく生きるために常識と戦う!——これが『かぐや姫』に込められたメッセージだったのではないでしょうか。

 

■ハイライト

・漫画でサクッと読めてわかりやすい

・絵は少女漫画風。

・かぐや姫が堂々と結婚を拒絶するシーン

・かぐや姫はなぜ頑ななほどの強い意志があったのか

・かぐや姫の優しさ

・かぐや姫が地球に来た理由

 

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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