まさに
夢をあきめかけた男
〈フリッツ〉は牧師になる道を期待されていたが、父の贖罪と母の看病のため、夢をあきらめかけていた。そんな時、ふと入ったバーのステージで熱唱する歌姫〈モニカ〉……フリッツの中で何かが変わっていく——。
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
その中から 『人間的な、あまりに人間的な』を5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、人間の本当の姿です。
あらすじ
19世紀末——ドイツ。
〈フリッツ〉という青年が牧師学校に編入して来ました。
牧師だった父親が愛人の娘と心中をしたことが原因で地元から逃げてきたのです。姦淫と自殺——神の教えを説く牧師にあるまじき行為。だから、誰も〈フリッツ〉に寄り付こうとはしません。
「どうだい。学校にはもう慣れたかい?」
そんな中で唯一〈オートマール先生〉だけは普通に接してくれます。
それは〈フリッツ〉にとって、耐え難い苦痛に他なりませんでした。なぜなら、助けるフリをしてどうせ自分のために徳を積んでいるだけだと思っていたからです。
〈フリッツ〉が家に帰ると〈母〉が出迎えてくれました。〈リタ〉が夕飯の支度をしています。
〈リタ〉はオートマール先生の妹で、フリッツに好意を持っていました。だから、フリッツの家に時々やってきて家事の手伝いをしにやって来ていたのです。
しかし、〈フリッツ〉はそんなリタの好意に応える気にはなれず、逆にうとましく思っていました。
そんなフリッツにも唯一の安らぎがありました。それはオルガンです。学校にある音楽室で1人、オルガンを弾いている時だけは自分らしくいられました。
子供の頃、父にコンサートに連れて行ってもらってから、あの時の感動が胸に焼き付いていました。
「いやー、素晴らしい!」
そう言ってやって来たのは〈ディーター〉という名の投資家でした。彼はフリッツの演奏を聴いて、お前のように見込みのある奴に出資したいと申し出てきます。
しかし、フリッツは断ります。
〈ディーター〉は「やる。気が向いたら来てくれ」と言って、チケットを1枚フリッツに渡して帰って行きました。
夜になり、〈フリッツ〉はオペラハウスに行くと、〈ディーター〉は観覧席へ案内してくれました。
〈ディーター〉は〈エリック〉とオペラについて意見を交わし、新しい逸材を探していると言うと、あっさりと帰って行きました。
「何時だと思ってるのよ!」
家に帰るなり〈リタ〉が怒鳴って来ました。オートマール先生もいます。
〈母〉が高熱で倒れ、命が危ない状況だと言うのです。
「天罰だわ」
〈フリッツ〉は自分しか頼る者がいない病弱な母をずっと騙していたんだと、自責の念に心が蝕まれていきます。
夢か世間か
フリッツは、夢と世間(母・リタ・周りの人)との間で揺れます。
夢を取れば、病気の母を置いて行くことになるり、そうなれば、世間(母・リタ・周りの人)から大きなバッシングを受けます。自分はそれに耐えられるだろうか。母が望む牧師になって、リタと結婚してしまえば全てが丸く収まる……。
〈オートマール先生〉は、夢を追いかけることへのリスクを語ります。夢を掴むのはほんの一部の人間。しかも、自分1人のために家族やその周りの人たちを犠牲する覚悟が必要、そして、そうまでして成し遂げるほどの価値がその夢にあるのか?と。
そんな時、フリッツは小さなBARのステージで歌う〈モニカ〉と出会いました。その歌には、価値とか意味とか、そんな理屈を超えた感動があったのです。
自由な精神
夢を追う人の障害となっているのが世間の善悪だとニーチェは言います。
生きるために必要なそれは、時にしがらみになって人間の精神を蝕み、堕落させる。だから、ニーチェは断言します。
「誰もが持つ自由な精神を解放しろ!」と。
僕はこの本を読んで、人生が変わりました。
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ハイライト
・主人公:フリッツを苦しめているもの
・夢を奪おうとしてくる人は誰
・道徳、善悪、規範の正体
・本来の世界
・あまりに人間的な〇〇
・自由な精神の解放への手引き
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