まさに
お婆ちゃん先生
信仰心を持ったお婆ちゃん〈のんのんばあ〉。 しげる少年は〈のんのんばあ〉から不思議な世界があることを知る——。
僕が大好きな漫画 『のんのんばあとオレ』を簡単3分でご紹介します。
■結論
この本が教えてくれるのは、この世とあの世です。
■感想
『のんのんばあとオレ』との出会い
100de名著で紹介されていたのを見て、亡きお婆ちゃんのことを思い出しました。
僕のお婆ちゃんは学校の教師をしていたので”ばあちゃん先生”と呼んでいました。
簡単あらすじ
昭和6年頃
いまからざっと60年前の少年たちは毎日ケンカのあけくれだった……
そして夜になると 夢想の世界にいりびたっていた……
「美和」が売られていく夜 亡くなった美和のお母さんが美しい火の玉になって「美和」をおくり出した……
昔の境港市(鳥取県)は雪の日なぞはとても静かなものだった……。家もあまりなかった……。そして冬はひどく寒かった……。
〈のんのんばあ〉はお爺さんと暮らして、とても貧乏だった。
のんのんばあは〈しげる少年〉を”しげーさん”と呼んで可愛がってくれた。
あくる日、〈エサ〉という子供の家に行ったが、これがまた大変な貧乏。エサの親が離婚したのでおばあさんが育てているのだ。
どうしたわけか、のんのんばあは二十日ねずみを飼っていて、自由自在にすることができた。
〈しげる少年〉が「おもしれえ」とねずみを眺めていると、のんのんばあはそれをもらってくれた。
その頃、近所に〈松ちゃん〉という小さな女の子がいた。
彼女はしげる少年にとって親友だったので、二十日ねずみを見せてあげた。
すると松ちゃんは、小さな体で両手を大きく広げて「花町にこんな大きなのがいる」と言った。
「そら、ネズミの化け物だ」と一緒に見に行くと、それはなんとブイーと鳴く豚だった。
松ちゃんは「大きなネズミだ。シーッ」と言ってかがんでおしっこをし始める。しげる少年はその時初めて、女の子には「なんにもついてない」ということを知った。
妖怪・霊界・お化け
春になったが、のんのんばあは元気がない。
「どげーしただ(どうしたの)」と聞くと、「じいさんの具合が悪い」それに「松ちゃんもハシカになった」と言う。
のんのんばあは信仰が広かったから手当たり次第に拝む……。
その様子を見て、しげる少年はこう尋ねる。「家(お社)の中には誰もおらんぞ」
「そげなこといちょーと”おとろし”にやられるぞ」 都合のいい時だけおがんだりすると、鳥居から”おとろし”という妖怪のような霊的な何かが落ちてくると言う。だから、見えないからといっていないのは間違いだと教えてくれる。
その後、のんのんばあはしげる少年をお寺に連れて行った。
地獄極楽絵図を見せるためだった。
しげる少年は2時間以上それを見ていた。その時、死後の世界があることを知った。
その帰り道、おじいさんが亡くなった報せを聞いた。
さっそく葬式が行われ、夜に墓に4人、人が残ったのを見てのんのんばあに聞くと、「あの世からきたものに死者を渡す」のだと言う。
しげる少年はその様子を見てみたいと思ったが、結局、子供だというので帰された。
——それから1年
やがて小学校に入る。松ちゃんはどうしたのか聞くと、「ハシカで死んだ」と言う。2〜3日前だそうだ。かくして最初の恋人を失った。
少年から大人へ
作品中、しげる少年は理不尽な死と別れを経験します。
しかし、物語は愉快でおかしくもあり、悲しいのにあっけらかんとしています。
しげる少年はのんのんばあとの不思議な体験を通して、この世界以外にも人間の計りを超えた世界があることを知ります。
そして、世の中の理不尽に抗い、時に戦い、少しずつ成長していく姿がじわっと胸を打ちます。
■読み方
文体はほぼ鳥取弁です。
しげる少年の日常とのんのんばあとの不思議な体験が丁寧に描かれています。心安らぐ懐かしい気持ちになりました。
お婆ちゃんって、優しくて、あたたかくて、迷信深くて、威厳もあって頼りになる、特別な存在なのですね。
それと、しげる少年の〈お父さん〉は普段は能天気なのですが、要所でいい言葉をつぶやくところも大好きで、この作品の見所です。
■ハイライト
・少年 水木しげるの素行
・昭和時代
・鳥取弁
・のんのんばあの力
・死の概念
・異世界の存在
・現実世界の生き方
懐かしくてあったかいおばあちゃんに会ったような気がしました。
ありがとう。
↓鬼太郎の原点↓
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