【解説】李志清『三国志』(MFC)(MF文庫)|結論|あらすじ|ハイライト

まさに

中華大乱

紀元2世紀 漢王朝は衰退。 いつからか黄巾賊という武力集団が出現し、各地で略奪・暴虐の限りを尽くしていた。 国の将来を憂う青年〈劉備〉は〈関羽〉〈張飛〉2人の豪傑と出会い、指導者として決起する——!

 

よーいち
人生に役立つ要素が盛りだくさんの漫画『三国志』を7分でご紹介します。

 

■結論

この本が教えてくれるのは、人の生きざまです。

 

■あらすじ

黄巾の乱

紀元2世紀 中国はすでに悠久ゆうきゅうたる太古たいこよりつらなる二千年の歴史をゆうする大国たいこくであった。

しかし……約四百年もの長きにわたって中国に君臨くんりんした漢王朝かんおうちょう宦官かんがん専制せんせいによる政治腐敗ふはい極限きょくげんに達し、人々は重税じゅうぜいにあえぎ、連日れんじつ日照ひでりと凶作きょうさくかさなって、えと苦しみのどん底にあった……!

宦官(かんがん)とは、去勢を施された官吏である。古代から各文化圏に存在した。

Wikipediaより引用

せん-せい 【専制】

1 上に立つ人が独断で思うままに事を処理すること。

コトバンクより引用

中平ちゅうへい元年(184)

漢王朝打倒かんおうちょう だとう旗印はたじるしに各地の飢民きみん流民るみんを組織化して決起けっきした黄巾賊こうきんぞくの反乱はいつしか略奪強盗りゃくだつ ごうとう暴徒ぼうとと化し、人々を恐怖のどん底におとしいれていた……!

国は乱れ、いま、まさに断末魔だんまつまの時をむかえようとしていたのである!

 

涿県たくけん 楼桑村ろうそうそん

黄巾賊こうきんぞく容赦ようしゃの無い襲撃しゅうげきを受けて、家屋かおくは荒らされ、食料や女は奪われ、男は殺された。

「ま、待って下さい!」と、1人の男が駆け寄って行った。「食糧しょくりょう大方おおかた税に取られ、残っているのはわずか。それすら奪われては村の人たちはにしてしまいます! どうかお返しを!」

この勇敢な男の名は〈劉備りゅうび〉。草鞋わらじ売りの青年だった。

黄巾賊こうきんぞくの男は「よし、わかった!」と言って手土産てみやげ劉備りゅうびの首を要求した。命を惜しさにひるむであろう脅しではあったが、「どうぞ……わたしの首でよければ」と、劉備は歩み寄っていく。

——と、そこに〈張飛ちょうひ〉と名乗る骨太な男が現れ、黄巾賊の奴らをものすごい勢いでぎ倒していった。

こと無きを得た劉備りゅうびは張飛を家に招くと、劉備の母は「息子の命の恩人でございます」と言って大いに食事を振舞った。張飛ちょうひは食事のお礼にと薪割まきわりを済ますとさっさと帰って行った。

その晩、劉備は村を出ていく母子おやこを目にする。

彼らの父と兄は黄巾族に殺され、隣村となりむらの義兄のところで面倒を見てもらうしか他に生きていく方法がないと寂しげに去って行った。

劉備は自分の無力さを嘆いた。「私にあの張飛という男のような剛力ごうりきさえあったら!」

 

■立て札

ある日、村にある立て札が出された。

黄巾賊こうきんぞく討伐とうばつするために義兵ぎへいを募集する、という内容だった。

義兵(ぎへい)とは、正義のためにおこす兵のこと。

Wikipediaより引用

黄巾賊の大将〈張角ちょうかく〉という男は恐ろしい呪術じゅじゅつを使うと言う。

張角ちょうかくは故郷・鉅鹿きょろく郡では希代きだいの秀才といわれていたが、官吏かんり試験に失敗し、隠遁いんとん生活を送っていた。ある日。山で薬草を採取していたところ、仙人に出会い、太平要術たいへいようじゅつさずかった。そして数年後、風雨ふううを呼び起こす力を体得たいとく。国中に疫病えきびょうが流行した際、その力をもって人々を救った。その評判は全国に知られるところとなり、ありとあらゆる人々が集まるってくるようになっていた……。彼らは黄色い布で髪をしばって仲間のしるしとして組織化し、平和な世の中の実現を目指して武装蜂起ぶそうほうきしたのである。

しかし、その集団はいつしか略奪殺戮りゃくだつ さつりくを繰り返す鬼賊きぞくと化していったのである! その数、40万以上。

劉備りゅうびは「わたしに力さえあれば……」と尻込みしていたが、そこに張飛ちょうひがやって来た。

張飛が「てめえ、黄巾賊にあれだけやられてくやしくねーのか!」と劉備にかつを入れていると、「カッハッハッハ!」と高らかに笑う〈関羽かんう〉という顎鬚あごひげの男がやって来た。関羽は張飛の兄貴分で、弟分の無礼ぶれいびると去って行った。

 

■漢王朝の血

関羽が張飛と酒を飲み交わしていると、さきほどの男が劉備という人徳者である事を知る。

劉備りゅうびこそ、オレが探し求めていた男に間違いない!」

関羽かんうはすぐさま張飛に劉備の家を案内させた。そして、劉備の家に着くと、劉備の持っている、人を魅きつける力こそが指導者たる者の資質だと力説した。

玄徳げんとく!(劉備のあざな) どうやら、おまえが立つときがきたようですね」

話を聞いていた劉備の母は1本の剣を持って来て言った。「この剣は先祖代々せんぞだいだいわが家に伝わる皇帝こうてい末裔まつえいとしてのあかし秘宝ひほう。おまえは漢の中山靖王ちゅうざん せいおう劉勝りゅうしょう〉の後胤こういん(=子孫)、景帝の血を引く身の上! よもや忘れたわけではありますまい」

「な、なんだと!」関羽かんうは驚き、劉備の前にひれ伏して言った。「この国の危機を救うため、われらが主君となってお立ち下され!」

「わたしには力がない……しかし……関羽! 張飛! あなたたちが助けてくれるというのなら、この劉備、国のために立たん!」

 

■桃園の誓い

「我ら三人、義兄弟の契りを結んで天に誓う! 生まれた日は違えども、死す時は同じ日同じ時を!」

こころざしを一つにした劉備りゅうび関羽かんう張飛ちょうひ桃園とうえん義兄弟ぎきょうだいちぎりを結び、酒をわした。

すると、村の男たちが「われらも劉備どのの義軍に入れて下さい!」と大勢集まってきた。こうして、多くの男たちが参集さんしゅうした。その夜は遅くまで村人と酒を飲み明かした。

——明朝みょうちょう、〈張世平ちょうせいへい〉という男がたくさんの馬を引き連れて来た。彼の故郷こきょう黄巾賊こうきんぞくに襲われ、財産と妻子の命を奪われた被害者だったのだ。馬を売りに行った際に劉備のうわさを耳にして、軍馬として使ってもらいたい思いで来たと言うのだ。さらに武器などの資金としてのお金も工面くめんしてくれた。

こうして劉備は軍馬と武器と防具をそろえ、いざ黄巾賊を討伐とうばつするべく進軍したのだった。

この時、劉備23歳。義軍総勢500余名よめい。長く苦しい遠征えんせいの始まりであった……。

 

■そして大乱へ

黄巾賊との戦いを勝利でおさめた劉備だったが、この戦いは皮肉にも、董卓とうたく曹操そうそう公孫瓚こうそんさん袁紹えんしょう袁術えんじゅつ孫堅そんけん呂布りょふなどの群雄ぐんゆうを生みます。

この後、力を持った武将たちが権力を我がものとせんとして、血を血で洗う討滅戦とうめつせんへと移り変わっていきます。そして、戦略が中心となった戦いが始まると、軍師の活躍が目立つようになり、ストーリーは盛り上がりを見せていきます。

国の情勢や地形や天候などを丹念に調べて戦略を練っている軍師のシーンは、とても為になりました。

いろんなキャラクターが良くも悪くも活き活きとしていて、読んでいてスカッと爽快な気分になれました。今の時代、我慢することが多いからかも知れません。

男の本能だと思いますが、それを思い出すことができました。

■ハイライト

・ストーリーが分かりやすい

・数十万規模の戦争

・リアルなキャラクターの描写

・かっこいい武具

・臨場感あふれる戦闘シーン

・男たちの生き様

・諸葛亮孔明の知略

 

■【余談】好きな武将の小話

僕が一番好きな武将は曹操そうそうです。

彼は、孫子の兵法に精通していて、いろんな戦略を駆使して戦う頭脳派で、尚且つパワフルな側面を持つ豪傑です。にもかかわらず、情報不足で軍を動かしたり、感情的な決断も多く、何かしらで孔明の策略に嵌められることもしばしばあります。

そこがなんとも言えず、愛おしさを感じてしまいます。

それに、曹操は身分や出身で人を区別せずに、能力のある者は率先して登用したといいます。曹操の器の大きさと柔軟な思考にも好感が持てます。

『三国志』のストーリーは、劉備と曹操が中心となって展開することが多いので、ぜひ注目してもらいたいと思います。

 

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

-漫画
-,

© 2024 Powered by AFFINGER5