まさに
王の夜伽
毎晩、処女を抱いては翌朝には殺す王の暴挙を止めるため、才色兼備な娘がある秘策に打って出る——!
恋愛・冒険・サスペンス・SF・ファンタジー……ちょっとエッチな話もあって、もっともっと読みたくなりました。
今回はその中から『千夜一夜物語』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、女性の魅力です。
感想
『千夜一夜物語』との出会い
100de名著で紹介されていました。
『シンドバット』や『アラジン』、『アリババ』などは『千夜一夜物語』の中の1つの物語なのだそうです。
そして、18〜19世紀にヨーロッパで大流行した『千夜一夜物語』はアメリカで英語に翻訳された時に〈アラブの夜=アラビアンナイト〉という名前になり、日本に入ってきたそうです。
簡単あらすじ
昔むかし、インドとシナの島々を支配するサーサーン王朝がありした。
その国は〈シャハリヤール〉という名の王が治めていました。
〈シャハリヤール王〉には弟の〈シャハザマーン〉がいて、弟はサマルカンド国を治めていました。
2人は20年間も別に暮らしていましたので、兄〈シャハリヤール王〉はある時、どうしても会いたくなり、弟〈シャハザマーン〉を自国へ呼び寄せます。
〈シャハザマーン〉は兄の心中を快く承諾し、兄の国へと出発しました。
その途中、兄に送る玉飾りがないことに気がつき、宮殿へ引き返します。
しかし、そこで彼が見たものは……最愛の妻と奴隷との不貞だったのです。
目の前が真っ暗になった〈シャハザマーン〉はすぐさま2人を切り殺します。
王都に着くと、弟〈シャハザマーン〉が元気のないことに〈シャハリヤール〉は心配になりました。
〈シャハリヤール〉は弟に元気になってもらおうと盛大にもてなしますが〈シャハザマーン〉は一向に楽しもうとしません。
ただ、「今、私は思い悩みを抱えているのです」と言うだけです。
それだったらと、〈シャハリヤール〉は狩りへ行くことを提案します。
しかし、〈シャハザマーン〉は「そっとしておいてほしい」と誘いを断り、兄を見送ります。
宮殿に残った〈シャハザマーン〉がフラフラと歩いていると、広間で〈王妃〉や数人の女性が奴隷たちと乱交の限りを尽くしているのを目撃します。
「まさか兄も私と同じ裏切りにあっていようとは……これに比べれば私の不幸は……」と、〈シャハザマーン〉は心が軽くなりました。
数日後、狩りから戻った〈シャハリヤール〉は、元気になった〈シャハザマーン〉にその理由を問います。
最初は話すことをためらっていた〈シャハザマーン〉でしたが、見たことすべてを兄に打ち明けました。
衝撃の事実を知った〈シャハリヤール〉は失意の中、弟と共にあてのない旅に出ることに……。
2人が何日も荒野をさまよっていると、〈魔人〉がやって来ました。
〈魔人〉は持っていた櫃を開けると、中から1人の〈乙女〉が姿を現しました。
〈魔人〉が〈乙女〉の膝枕で寝てしまうと、兄弟に気づいて「降りてきて、あたしといいことしない?」と誘ってきます。
拒絶する兄弟でしたが、拒否すれば〈魔人〉を起こして襲わせると脅すので、兄弟は仕方なく要求に応じました。
行為が終わると〈乙女〉は570個の印章を見せ、「これは今まで交わった男からもらったもの」だと言います。
あの強く恐ろしい〈魔人〉でさえ、こうも簡単に女に裏切られているのか……と、兄弟は宮殿に戻ることにしました。
それからというもの、〈シャハリヤール〉は王妃と奴隷たちを処刑し、毎晩、処女を求めては翌朝に殺してしまうようになりました。
才女の計略
3年が経った頃……、国中から乙女が消えてしまいました。
大臣は頭を抱えます。王の命令に従っていれば国は滅び、背けば自分が殺されてしまう。
すると、その事情を知った大臣の娘〈シェハラザード〉が「どうぞ私を王のもとに嫁がせてください!」と自ら名乗り出ます。
大臣は止めようとしましたが、その決意は固く、宮殿に入ることとなりました。
王の寝室で、〈シェハラザード〉は〈シャフリヤール王〉に、妹の〈ドニアザード〉もそばに置かせてほしいと願い出ます。
「まあ、よかろう」ということで、〈ドニアザード〉も宮殿に入りました。
その深夜、妹〈ドニアザード〉は姉〈シェハラザード〉にこう言います。「姉さま、夜はまだ長いわ。私、いつものようにお話が聞きたい」
〈シャフリヤール王〉も「ちょうど余も眠れぬところだ」と承知します。
〈ドニアザード〉は「姉さまにかかれば、どんなお話も楽しく心地よく優しく味わいがするのでございます!」と言います。
——こうして、〈シェハラザード〉が話す物語が始まります。
そして、夜が明ける頃になると、話の途中ですがこう言います。「もし明晩も私に命がありましたらこの続きをお話しできるのですが……」
〈シャフリヤール王〉は〈シェハラザード〉の策にハマったと分かりつつも、話の続きを聞くために処刑を延期します。
翌晩、同じように〈ドニアザード〉は〈シェハラザード〉に話の続きをせがみ、物語りが再開します。
その話が終わると〈シェハラザード〉はこう言います。「もし王様がお許しくださいましたら、他にもとっておきのお話をいたしますが……」
と、こんな調子で、〈シェハラザード〉は王に面白い話をして処刑を延期させ、〈ドニアザード〉がその場を盛り上げる。
そうしていくうちに、王の鬱々とした気持ちを晴らし、改心させようという策なのです。
いろんなジャンル
王様の心を癒すため、〈シェハラザード〉は毎夜、話し続けます。
目次は以下の通り↓
●シェハラザードと王のはじまりの物語
●せむし男の物語
●美しきジャリスとアル・ディンの物語
●アジズとアジザの物語
●空飛ぶ黒檀の木馬の物語
●床屋と紺屋の物語
●靴直しとマアルフと女房ファティマーの物語
●大団円
めちゃくちゃ愉快な話だったり、恋愛の話だったり、冒険だったり、人間の愚かさの話だったり、人生の教訓だったり。
いろんなジャンルの話が入っています。
どれから読んでも主軸となるストーリーが分からなくなるようなことはありません。
(※この【まんがで読破】の『千夜一夜物語』には、シンドバットやアラジン、アリババの話は収録されていません)
大人向けの話も
大人向けの話が多いなと思いました。
物語の始まりが王妃の不倫という時点でスゴい衝撃です。w
男女の裏切りや貞操観念が描かれているなんて、絶対に子供に聞かせられません。
『シンドバット』や『アラジン』、『アリババ』を児童文学として個別の作品にしたのも無理はありませんね。w
もともとは、中東地域での説話や逸話を集めて作られた物語集なのだそうです。
なので、いつ・どこで・だれが作った話なのかは分からないところが、この『千夜一夜物語』の魅力でもあります。
読み方
【まんがで読破】の『千夜一夜物語』では、8話しか収録されていなかったので、物足りないというのが正直な感想です。
小説版のを読もうと思ったら途方もない時間がかかるのでサクッと読みたい人は【まんがで読破】の『千夜一夜物語』がオススメです。
最後に
まずは【まんがで読破】を読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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