まさに
死後の世界
黒き森に迷い込んだ詩人〈ダンテ〉は、古代ローマ人〈ウェルギリウス〉の導きによって死後の世界へと旅立つ——!
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『神曲』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、地獄・煉獄・天国です。
感想
『神曲』との出会い
ふと「死んだらどうなるんだろうなぁ」と思うことがありました。
興味本位でちょっと死後の世界を覗いてみたいような気持ちでした。
簡単あらすじ
1274年 イタリア フレンツェ
〈ダンテ〉が少年だった頃、1人の少女の美しさに思わず息を呑みました。
彼女の名は〈ベアトリーチェ〉。
しかし、ダンテが大人になった頃にはベアトリーチェはこの世を去ってしいました。
ダンテはずっとベアトリーチェを愛していました。叶わぬ恋であったことは知っていましたが、生きる道を失ってしまいました……。
——気がつくとダンテは、荒れ果てた暗い森の中にいました。
ダンテは夜空に輝く星を頼りに森の中を進んでいきます。
すると、運よく森を抜けることができました。
安堵するダンテですが、目の前に突如、ヒョウ・ライオン・オオカミが現れ、ガルルルルと低い唸り声を立ててこっちに向かってくるではありませんか。
「誰か、助けて!」うろたえるダンテの前に1人の男が現れました。
彼は「私は古代ローマの詩人・ウェルギリウス。君を助けにきた」と言います。
ウェルギリウスは、ダンテが獣たちから逃れようとしても無駄であると断言し、死後の世界を見ることで自らの歩むべき道を取り戻せると説きます。
ダンテは自分にそんな過酷な旅に耐えられるのだろうかと不安になりますが、ウェルギリウスはその理由を「ベアトリーチェに頼まれて君を助けに来た」と言います。
ベアトリーチェはずっとダンテを天国から見守っており、獣にうろたえる姿を見て心を痛め、ウェルギリウスにダンテを天国まで導くよう頼まれたのです。
ダンテは「ベアトリーチェが見守る旅なら!」と、死後の世界へ旅立つ決心をするのでした。
地獄
ダンテとウェルギリウスは地獄の渡し守〈カロン〉によって地獄の淵にたどり着きます。
ウェルギリウスによると、地獄はすり鉢状になっていて、下に行けば行くほどに罪が重い者が裁かれ、そして最下層には地獄の王が閉じ込められていると言います。
地獄に足を踏み入れた先には、地獄の裁判官〈ミノス〉が長く大きな蛇の尾で罪人の体を締め付けていました。
ウェルギリウスは「ああやって尻尾を巻きつけて、巻きついた数で罪人を地獄のどの層に落とすかを決めるのだ」と言います。
ウェルギリウスの口利きによってその場を通り過ぎたダンテは、空に吹く黒い風の中に飛ばされる無数の霊魂を目にします。
ウェルギリウスは「ここは愛欲ゆえに災いを招いた者たちの裁きの谷だ」と言います。「あれは権力を使い、淫乱の限りをつくしたアッシリアの皇后〈セミラミス〉。その後ろにいるのは淫婦〈クレオパトラ〉。そしてスパルタの王妃〈ヘレネ〉に……ヘレネを誘惑したトロイアの王子〈パリス〉」
ただ流されていくだけの虚しい魂を眺めていたダンテに2人の魂があった。
ダンテの声に2人は応じた。「私はパオロ」「私はフランチェスカ」
2人はお互いに愛し合うがゆえに悲劇を生んだと言います。
きっかけは〈フランチェスカ〉の婚約の話からでした。
親や国の都合ですすめられた見合いの席でのこと、醜い〈ジェンチオット〉は身代わりに弟の〈パオロ〉を立たせました。
ところが、その見合いで2人はお互いに恋に落ちてしまったのです。
しかし、フランチェスカの本当の結婚相手はジェンチオット。
2人の思いを立つことはできずに密かに愛し合うように……。
しかしそれを知ったジェンチオットは怒り狂い、2人を殺してしまったのです……。
その話を聞いたダンテはうずくまり涙をすすります。「フランチェスカの愛は罪なのでしょうか……。私もベアトリーチェのことを……」
ウェルギリウスはこう言います。「君のその愛への疑問もこの度をめぐることでわかってくるはずだ」
ダンテは地獄をさらに下へ下へと降りていきます……。
恐ろしい罰
地獄の各階層にはさまざまな罪を犯した人たちがそれ相応の重い罰を受けていました。
●暴食
●暴力
●殺人
●自殺
●賭博
●偽善
●嘘
●窃盗
●収賄
罪人たちは悪魔や怪物から罰を受けています。
体が傷ついたとしても再生し、また罰を受けては再生し、また罰を受ける……。その中には地獄に落ちてまで人間同士で争う者もいます。
悪魔・怪物
カロンやミノスの他にも、地獄にはたくさんの悪魔・怪物がいます。
●3つの頭を持つ猟犬〈ケルベロス〉
●人と馬の半獣人〈ケンタウロス〉
●怪鳥〈ハルピュイアイ〉
●蛇の怪物〈ゲリュオン〉
●巨人族〈ヒガンテス〉
●地獄の王〈ルチフェル〉
キリスト教とギリシア神話を見事に融合させた作品であることが分かります。
読み方
読み終えた時、ただ『神曲』に感動した自分がいました。
罰を受ける〈地獄〉、罪を浄める〈煉獄〉、神の国〈天国〉——現世では感知できないこの世界観が真実が偽物なのかは僕にとってどうでもよかったのです。
日本文化や伝統、宗教を越えたエンターテイメントとしての凄みがありました。
最後に
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回ご紹介した本のいいところはどこだと思いますか?
永井豪先生の『ダンテ神曲』も大変面白く読ませてもらいました。上下巻、全部で700ページ以上の大作で、まんがで読破の『神曲(192ページ)』よりも詳細に残酷で醜い人間の様子が描かれてていました。併せて読むとより深みを感じることができます。
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