まさに
サタンの復讐
天使との戦いに敗れ、地獄に落とされた堕天使・悪魔軍団。神に力で及ばないことを知ったサタンはある計画を実行するため、地球へ向かう——。
僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。
今回はその中から『失楽園』を簡単3分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、原罪です。
感想
『失楽園』との出会い
『失楽園』は1997年に流行した同タイトルの不倫ものかと勘違いしていました。
アダムとイブが楽園を追い出される話をドラマチックに脚本した映画みたいなもののようです。
簡単あらすじ
天使たちが地獄に向かって落下します。
——そこは暗く岩ばかりの大地。
〈ベルゼバブ〉は〈サタン〉にこう言います。「首領よ。この様を見るにつれ、私はこれが天国で生まれた天使たちの滅びる極限だと思えるのです」
サタンは怒りをあらわにします。「それがなんだ! まだすべてが失われたわけではない!! 我々にはまだ不屈の意思! あくなき復讐への心! 降伏も帰順(=服従)も知らぬ勇気があるのだ!」さらに同胞たちにこう宣言します。「天国において奴隷たるより、地獄の支配者たるほうがどれだけましであることか!」
サタンは今回の天使との戦いで、自軍の武力が劣っていたことを認め、この次は陰謀算術の実行を宣言します。
「お待ちください、首領!」そう言って来たのは〈モーロック〉です。「かの者(=神)にはすべてを見通す力があるのです。そのような敵をどうして我々があざむけましょうか? だからこそ、すぐにでもかの者のもとへ攻め入るべきだと考えます!」と、鼻息を立てます。
「やれやれ。作戦ならもう少し冷静になって考えましょうよ」そう皮肉を言って来たのは〈ベリアル〉です。ベリアルは敗者が受ける罰を甘んじて受け入れてさえいれば、かの者(=神)もこれ以上は罰を与えはしないだろう。だから、おとなしくしていようと提案します。
「ベリアルの弁にも一理ある」そう切り出したのはマンモンです。マンモンは、神に許しを得る屈辱よりもこの地獄で苦難にみちた自由を選ぼうではないかと提案します。
ベルゼバブが同胞に向かって言います。「この地がかの者(=神)の武力の圏内であるかぎり安全な隠れ家となりえることはない」つまり、復讐以外に我々の平和の道はないと言い切ります。
さらにベルゼバブは提案します。「ある場所(=地球)で[人間]がつくられ、かの者の寵愛を受けている。この人間を踏みにじることこそ最上の復讐ではないか?」
「賛成!」「賛成!」と同胞たちの声があがります。
そして、誰が地球に偵察に行くかという話になりますが、不安なのか誰も名乗りをあげません。
なぜなら地球への道は、神の領域を横切らなければならないからです。
サタンは首領の威を示すためにも自分1人でこの任務を遂行することを決めます。
同胞が見送る中、サタンはこの地を後にしました。
地獄の門→混沌→地球
地獄の門——
サタンが現世との境目に来ると突然襲いかかる者がありました。
その者の名は〈死〉。
「我が父よおやめください」と止めに入ったのは女の名は〈罪〉。彼女は〈死〉がサタンの息子だと言います。
天国にいた時、サタンの頭から生まれたのが〈罪〉でした。そしてお互いにひかれ合い、愛し合ったのです。ですが、天の戦が起こってから、〈死〉と〈罪〉の親子は地獄に落とされ、神から地獄の門番を命じられたのです。
それを聞いたサタンは嘆きました。そして2人に言いました。「私はおまえたちと同胞らの自由を勝ち取りに来たのだ」
〈罪〉は喜んで地獄の門を開き、サタンを快く見送りました。
地獄の門を越えるとそこは混沌で、〈混沌王〉がいました。
サタンは地球までの道を混沌王に尋ねます。
混沌王はかの者に奪われた領土を取り戻す代わりに地球への道をサタンに教えました。
——かの者が創造した宇宙へ、そしてようやく地球へたどり着きます。
アダムとイブ
アダムとイブは神に与えられた楽園で何不自由なく楽しく暮らしていました。
サタンはライオンに姿を変えて2人を監視します。
アダムはイブに言います。「こうして喜びを共有できる仲間を与えてくださった神に感謝しよう。けど、私たちには破ってはいけない神との約束があるのだ」と、1本の樹を指差します。
「あれは知識の樹といって神との約束で触れても食べてもいけないんだ。もしそれを破ってしまうと死んでしまうんだ」
それを聞いたサタンはその掟を2人に破らせて反逆させてやろうと考えました。
しかし、その前にこの楽園を詳しく調べておくことにしました……。
読み方
初めて読んだ時は、アダムとイブが楽園を追放されるまでの話だと思って読んでいました。
でも、本を開くといきなり地獄のサタンからの始まり違和感を覚えました。
見方を変えると、これはアダムとイブが主人公ではなく、サタンが主人公なのかもしれない。そう考えれば、『失楽園』のストーリーを理解しやすくなりました。
サタンの印象がガラリと180°かわりました。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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