【解説】あずみきし『死役所』|結論|感想|読み方

黒スーツ

まさに

人生の清算

あの世の入り口に存在する『死役所』。自分と向き合い、これまでの人生に結末をつける不思議な場所。

「死んだらどうなるんだろう?」が漫画に。しっとりと、ほっこりと、ひっそりと。

 

よーいち
僕が大好きな漫画 『死役所』を簡単3分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、自己覚知です。

 

感想

『死役所』との出会い

30代後半、僕は鬱になり、毎日死ぬことばかり考えていました。

そんな時、本屋で一際目立つ、真っ黒い本に目が止まりました。

タイトルは市役所ならぬ『死役所』

冗談にも受け取れるそのネーミングは、真剣なのかブラックなジョークなのか、表紙を見ても判断できません。

なので、その場でスマホで調べてみました。

すると、死んだ人の魂が成仏して次のステップ(転生)に行く前に手続きをする場所。それが死役所だということが分かりました。

 

『死役所』で何をするのか?

死者には生前の記憶があり、〈氏名〉〈年齢〉〈死んだ日時〉〈死んだ場所〉〈死んだ方法〉〈死んだ理由〉などを克明に記入用紙に書かなければなりません。

なぜなら、期限日までに書かないと成仏できず、冥土の道を彷徨うことになるからです。

物語の構成は短編です。1冊に3〜4人の死者のエピソードが収録されています。

今、死んだばかりの老若男女が『死役所』にやって来て、過去を振り返り、手続きを行うパターンのようです。

その姿は死んだままの姿です。

例えば事故死なら体は欠損したまま。出血は止まらず血はダラダラと出続けています。

『市役所』の中はなんとも不気味な空間です。

僕は『死役所』を読んでみることにしました。

 

主役兼ナビゲーター:シ村さん

『死役所』に行くと、最初に出迎えてくれる総合案内係がいます。

それが〈シ村さん〉です。

30代半ばくらいの男性です。見た目は、黒縁メガネに七三分けで黒いスーツ。ニコニコしながら「お客様は仏様です」と言って、死者に手続きをするように導きます。

〈シ村さん〉は普段、紳士のような振る舞いをしていますが、たまに〈芯をついた毒〉を吐く時があります。それも皮肉を込めて。

良い人なのか悪い人なのか分からない謎のキャラクターです。

『死役所』の役員にはある共通点があります。

皆、名前に〈し〉の文字があり、その文字はなぜか全てカタカナなのです。

例えば〈ニシ川〉〈イシ間〉〈ハヤシ〉〈ハシ本〉など。

何か意味がありそうです。

 

壮絶な人生

死者たちは人生を清算するために、これまでの出来事を回想し、気持ちを整理していきます。

どれも言葉にならないほどの壮絶な人生です。

〈自殺〉〈他殺〉〈病死〉〈事故死〉〈寿命〉など、ひとり一人に事情があり、さまざまな問題を抱えていたことが分かります。

しかも、死んだからといって問題が解決しないケースもあります。死者は死んだ後も悩み続けています。

過去を振り返ったからといって、何がどうなることはありません。

しかし、自分自身を見直し、自分がどういう性格で、何を思って何をしたのか、総じて〈自分とは何だったのか〉を知る良いきっかけになっているのだと思いました。

幾つもの死者たちを見て、胸が苦しいほど熱くなりました。

 

読み方

僕は毎回、言葉が詰まるページがあります。

それはエピソードの最後の1ページです。

その1ページの中には、死者の生前の写真が散りばめられています。幼い頃から死ぬまでの写真が何枚も何枚も。

……涙なしでは読めません。

僕にとって、自分を見つめ直す良いきっかけになりました。

それに、ひとり一人にスポットを当ててくれているのが嬉しく、とても励みになりました。

 

最後に

原作コミックの他、実写ドラマ化(松岡昌宏さん主演)、アニメ化されています。

ぜひ探してみてください。

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感想(1件)

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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