【解説】太宰治『斜陽』(まんがで読破)|結論|感想|読み方

斜陽 かず子イメージ

まさに

没落貴族のお嬢さん

華族として生まれ育った〈かず子〉は敗戦を機に身分と財産を失い、先行きの見えない生活に不安を募らせていた——。

よーいち
価値観は時代によって簡単に変わってしまうようです。今の自分が成すべきことを見つめ直すきっかけになりました。

僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。

今回はその中から『斜陽』を簡単3分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、生きていく勇気です。

 

感想

『斜陽』との出会い

『人間失格』を読んで、太宰治の世界観にハマりました。

で、お次は『斜陽』

かげっていく女性の情念を描いた作品だそうです。

 

簡単あらすじ

1945年8月 日本はポツダム宣言を受諾。無条件降伏を表明

敗戦とともに私たちの戦闘が始まった。戦闘開始——

かず子は母とスープを飲んでいました。

かず子と母とスープ

母は上品なスプーン使いで口に運び、上品な笑みを浮かべ「おいしいわ」と言い、おむすびを両手に取って頬張った。

(※華族……明治憲法において制定された日本の貴族階級の1つ。)

私(かず子)も幼い頃から知育・徳育・体育を学び、貴族社会のマナー・淑女としてのたしなみを教わった。

お母さまのお食事の頂き方はすこぶる礼法からはずれているが実に楽しそうで、私の目にはお母さまの方が本物の貴族のように見える。

かず子は母を尊敬し、愛していた。


突然、叔父さま(母の弟)がやってきて、青い顔をしてこう言った。「この家を手放すしかない……っ。進駐軍から立ち退くようにと通知が届いた」

進駐軍——終戦後、ダグラス・マッカーサーを最高司令官とした連合国最高司令部(GHQ)が日本を占領し統治を行い、第一生命ビルを取り上げ、総司令部本部をおいた。その後も、兵站へいたん活動(軍備の補給・整備)として工場や病院や娯楽施設も取り上げた。そして、全国各地に進駐する連合軍やその家族のために個人住宅を差し押さえ、立ち退きを命じた。

叔父さまは「ちょうどいい田舎の別荘が出ている」と、そこへ移るように勧め、母はそれに承諾し、私たちの新生活が始まった。

世の中と離れてしまったような生活だったが、村の人たちも親切してくれた。

田舎の別荘


ある日、家の前で村の子供たちがマムシの卵をつついて遊んでいました。

かず子は気味が悪く思い、卵を火で焼いてしまいます。でも、近所の人がやってきて「これ、ただの蛇の卵ですよ」と言うのでした。

かず子は自責の念から蛇の塚を作っていると、母がそれを見て「かわいそうなことをする人ね」とだけ言い残して行きました。

またある日、1匹の蛇が家の前にいました。

蛇

母は「きっと卵を探しているのですよ」と言いました。その顔は小刻こきざみに震え、目には涙が浮かび、悲しみをグッと堪えているようでした。

かず子はそんな母に気高けだかさと気品を感じ、誇らしく思うのでした。

 

決断の時

かず子は慣れない田舎生活を前向きに生きようとしていました。

ある日、かず子の元に一通の徴用ちょうよう(強制的労働命令)が届きます。もちろん、本人でなければなりません。

かず子は懸命に働きました。おかげで体は丈夫になりました。

初夏を迎える頃、母は相談と言ってこうかず子に言いました。「実はね、直治は生きているのです」

直治はかず子の弟で、戦争で死んだと思っていました。

叔父さまの知り合いが直治と同じ部隊だったらしく、その人の話では直治はひどい阿片アヘン中毒になっていると言います。

それと、叔父さまの話はもうひとつ——財産が尽きてしまったのです。

——戦後、財政の破綻を回避し、急激なインフレを抑えるために1946年2月、政府は金融緊急措置法を施行。古いお金は使えなくなると宣言。慌てた国民は現金を新円と交換。そしてその額に対して財産税を最大で90%課税したのです。

何十人という使用人に囲まれ、料理が次々と運ばれてくる生活から、今日の米の心配をせねばならない生活へと一変したのでした。

なので、叔父さまはこれからのことを考え、かず子を嫁入りに出すかご奉公に出すか考えるよう母に勧めてきたのです。

かず子は猛反対します。、母はその気持ちを分かってくれたようです。

そんな折、直治が帰ってきました……。

 

困難な時代に己の道を見つける

没落していく貴族の姿は、人は元来何も持っていない丸裸な存在だと気づかせてくれます。

敗戦後は誰もが貧乏で食糧不足にあえぎ、生きていくには困難な時代。身分や財産、コネも失った元貴族の女性からしてみれば、相当な絶望感があったに違いありません。

そんな状況に置かれたかず子は己の道を見つけ、力強く生きようとするのです。

 

読み方

戦争でいろんなものを失ってしまったのは〈かず子〉だけではありません。

ここに出てくる登場人物たちは皆何かと闘っています。

先行きの見えない生活・労働・病気・恋愛など、混迷な時代とどんな形であれ闘っているのです。

「もうやってられない」「生きていけない」と絶望する登場人物がいる中で、没落しても尚、強く生きようとするかず子の姿に人間の持つ〈生きる勇気〉を僕は感じ取ることができました。

この〈生きる勇気〉さえあれば、人はどんな状況であっても生きていけるのかもしれません。

 

最後に

まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。

書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。

ぜひ探してみてください。

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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