【解説】エレナ・ポーター『少女ポリアンナ』|結論|感想|読み方

少女ポリアンナ イメージ

まさに

うれしくなるゲーム

お父さんを亡くした〈ポリアンナ〉は叔母〈ポリー〉に引き取られるが、どんなことがあってもポジティブに振る舞う。それは、”うれしくなるゲーム”をしているからだった——。

よーいち
今の現代人に不足している幸福感が分かりました。

今回は【トキメキ夢文庫】から『少女ポリアンナ』を簡単5分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、幸せとは何かです。

 

感想

『少女ポリアンナ』との出会い

漫☆画太郎先生の、古典文学を漫画化した作品『漫故☆知新』を読んで興味が湧きました。

ポリアンナはどんな状況であっても”よかった”を見つけてしまう少女で、村の人々を幸せにしていくという物語なのです。

一見、ポジティブな少女の前向きな善行ですが、「いつもうまくいくはずがない。よかったと思えない時だってあるはずだ」と胸が苦しくなりました。

 

簡単あらすじ

蒸気機関車

アメリカ・バーモント州 ベルディングスヴィル駅

メイドの〈ナンシー〉は〈ポリアンナ〉が電車から降りてくるのを待っていました。

ポリアンナは幼い頃にお母さんを亡くしてお父さんと2人で暮らしていましたが、今度はお父さんが亡くなったので、叔母の〈ポリー〉に引き取られることになったのです。

ナンシーが赤いチェックの服の女の子に声をかけると、少女は勢いよくナンシーの胸に飛び込んできました。

「わたしがポリアンナよ!」

ポリアンナはとても明るく元気な女の子で、しかも、ものすごくポジティブな考えを持っていたので、ナンシーは驚きました。大好きなお父さんは亡くなってしまったけど、これからはポリーおばさんと暮らせるからうれしい、と言うのです。

ポリーの大きな屋敷が見えてくると、ポリアンナはいっそう喜びを大きくするのでした。

お屋敷

ナンシーはそんなポリアンナを気の毒に思いました。なぜなら、ポリーはポリアンナを義務感から引き取ったのを知っていたからです。

屋敷に着くと、ポリーは冷ややかな態度でポリアンナに挨拶をしました。ポリアンナは叔母に会えてうれしくなりますが、「お父さんの話はしないで」と口止めされてしまいます。

ポリーはすぐにポリアンナを屋根裏部屋へ案内し、夕食の6時に遅れないよう言い渡すと、すぐに部屋を出て行ってしまいました。

屋根裏部屋

ポリアンナが独り寂しく泣いていると、ナンシーが慰めに来ました。

ふと、部屋を見渡すと鏡がないことに気づきます。

「そうだわ! それって嬉しいことよ! そばかすを見なくてもすむんだもの」と笑います。さらに、窓を開けて綺麗な景色が見えると知ると「これなら絵なんていらないわね!」とまた笑います。

ナンシーは「あなたってまるで天使だわ」と言いました。

 

うれしくなるゲーム

6時過ぎ

6時……ポリアンナは食堂に現れません。

ポリーはナンシーに「(時間を守らなかった罰として)夕食はパンと牛乳だけをおやりなさい」と言いつけました。

ナンシーは屋根裏部屋に行きますがそこにもポリアンナはいません。慌てて外へ探しに行くと、ポリアンナは丘の上で夕日を眺めていました。

ナンシーがポリアンナに今日の夕食がパンと牛乳になったことを伝えると、ポリアンナは「うれしいわ! わたし、パンも牛乳も大好きなの」と喜びます。

パンと牛乳

ナンシーが「おじょうさまは何でもうれしくなれるんですねえ」と言うと、ポリアンナは「そうよ。だってわたし、”うれしくなるゲーム”をしてるんですもの」と笑うのでした。

それはポリアンナのお父さんが教えた考えでした。どんなことにでも喜びを見つけるというゲームです。「やってみるとすごく楽しい」と言います。

ナンシーは「だったら、わたしもやってみましょうかね」と笑いました。

 

生きること

ポリアンナに言い付けるポリー

翌朝、ポリーはポリアンナに9月になったら町の学校に行くように言いました。

そして、それまでの3ヶ月間は、毎朝9時から30分間、ポリーの前で本の朗読をし、水曜と土曜の9時半からはナンシーに料理を教わり、それ以外の日はポリーが裁縫を教え、午後は音楽のレッスンを受けるよう言いつけました。

すると、ポリアンナはこう言いました。

「それじゃあ、生きる時間がないわ!」

ポリアンナは、[外で遊んだり、おしゃべりをしたり、町を歩いていろんなことを見つけること]が生きることだと言うのです。

 

村の人たち

ポリアンナは”うれしくなるゲーム”によって、どんなに悲しいことであってもうれしいことに変えていきます。

例えば、不眠症で困っている女性に対して「わたしも不眠症になってみたい」と言います。その理由は、眠っている時間を生きる時間にしたいから——つまり、不眠症の人は生きる時間を普通の人より多く持っていて良い、と言うのです。

ちょっと強引な気もしますが、そのポジティブな考え方によってその女性は少しずつ前向きになっていきます。

他にも、困っている人や悲しむ人にも喜びがあることを教えたり、失望している人にも希望を与えたりして、ポリアンナのポジティブな思考は村の人たちに受け入れられていきます。

広がるポジティブ思考

 

もくじ

漫画と小説(イラスト付き)があって読みやすい構成となっています。

第一章 ポリアンナがやって来た! 《漫画》

第二章 うれしくなるゲーム (小説)

第三章 ベルディングスヴィルの人々 (小説)

第四章 ミス・ポリーの秘密 (小説)

第五章 なぞが解けた!? 《漫画》

第六章 複雑な過去 (小説)

第七章 おそろしい出来事 (小説)

第八章 ゲームをする人たち 《漫画》

第九章 1番うれしいこと (小説)

第十章 ポリアンナからの手紙 (小説)

まず本の見返し(中身と表紙の間)にイラストつきの相関図がのっていて、人間関係が分かるようになっています。

そして、3〜5ページに人物紹介(イラスト付き)があります。

1話・5話・8話はカラー漫画になっています。おかげで人物像や時代背景が頭に入って来やすかったです。

2話・3話・4話・6話・7話・9話・10話は小説になっています。サクッと読めました。その理由は、字がやや大きめで、ポイントとなる所は赤字・青字になっていて、要点がまとめられていたからです。

読書が苦手な筆者にとって、「読めた!」という達成感を持てたことも嬉しかったことの1つです。

 

読み方

どんなことも喜びに変えてしまうポリアンナ。うれしいに変えるのが難しければ難しいほど、そのよろこびは大きいと言います。

楽天的とも取れる、この”うれしくなるゲーム”の思考は、筆者に「いったい、どこまで通用するのだろう?」という気持ちを抱かせました。「もしも、どうしようもない不幸が訪れた時、ポリアンナはそれを喜びに変えることができるのだろうか?」と、そんなことさえ妄想していました。

でも、それでよかったのかもしれません

なぜなら、この後、とんでもない事件が起きてしまうからです……。

ポリアンナは深い絶望の中で”うれしい”を見つけられるのか? というのが、この物語の見どころです。最後には涙します。

 

最後に

”12歳までに読んでおきたい世界の名作”、という名目がついていますが、筆者は特に気にせずに楽しく読ませてもらいました。

1番大事なのは物語から学びとることであって、それが小学生向けであろうと幼児向けであろうと手段は何でもいいのです。

でも、「さすがに大人がレジに持っていくのは……」とお思いの方はぜひネットで探してみてください。

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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