まさに
親鸞の弟子
悪人正機(あくにんしょうき)……悪人こそが阿弥陀さまの本願による救済を受ける素質がある——! それが浄土真宗。
今回は【講談社まんが学術文庫】から『歎異抄』を簡単5分でご紹介します。
結論
この本が教えてくれるのは、浄土真宗の真実です。
感想
『歎異抄』との出会い
実家の宗旨は浄土真宗でした。
ですが、核家族だったこともあり、特に何をするということもなく、田舎で冠婚葬祭を行う際にちょっとした形式があるくらいでした。
簡単あらすじ
西暦126X年 日本は末法思想に包まれていた。
各地の戦乱、大地震や飢饉、疫病に苦しむ鎌倉時代……。
僧侶は皇族貴族と結びつき、堕落の一途。人々はその日食べる食べ物にさえ困り、悪事を働くのも日常茶飯事。すでに仏教の教えはすたれていた。
——親鸞さまが亡くなってから10年がすぎた……
親鸞の弟子〈唯円〉は浄土真宗の教えが間違ったふうに広まっていることに歎かわしく思い、全国を巡り布教につとめていた。
そして、立ち寄ったこの村でも異なる教えがはびこっていた。
「人はみな死ぬ。そして死んだら地獄に堕ちる」そう村人たちに演説するのは〈土竜房〉と名乗る僧侶。
土竜坊は漁師の男に「毎日、魚を殺しているね?」、隣の男には「きみはウサギを殺して撃ってるな」と指摘します。他の村人にもその魚や肉を食っているなら村人みな同罪だと言います。さらに、田植えの時にカエルやミミズを踏み潰すのも、蚊を叩くのも、嘘をついたり、酒を飲んだり、夜の営みさえも、これら全部が仏さまの戒律を破っていると責め立てます。
そこで出した一枚の紙
——この念仏を唱えればどんな悪人も極楽に行けると言います。
村人は「なんで”なむあみだぶつ”だけで極楽に行けんだ?」と問います。が、「ここから先は有料コンテンツだ」と言って金銭を要求し始めました。
もちろん、貧しい村人に払えるはずがありません。
しかし、この一部始終を聞いていた唯円はあり金を全部差し出し、続きを話すように言うのでした。
阿弥陀さまの誓願
「なぜお念仏を唱えるだけで救われるのか?」——それは「阿弥陀さまのご誓願の不思議なはたらき」によるものだ。
むかしむかし ある国の王様が気の遠くなるような長い修行の末 「48種類の願い」を起こし悟りを開いて「阿弥陀さま」になった
その願いの18番目で「苦しんでいる世界すべての人が救われるまで私は仏になりません! 私の救いを疑いなく信じる者を1人残らずお浄土に往生させよう」と誓ってくれたのだ
南無(帰依します)
阿弥陀仏(阿弥陀さまに)
念仏者が考える仏門には大きく分けて2種類——”聖道門”と”浄土門”である。
●聖道門……厳しい修行によって「自力」で成仏する宗旨
●浄土門……阿弥陀如来の救いによって「他力」で成仏する宗旨
普通の人に厳しい修行なんて無理。そこで2人の坊主が仏教界に革命を起こします。
〈法然〉が救われない民衆のために見つけた浄土門——浄土宗
〈親鸞〉がその法然の教えを発展させて他力本願の考えを広めた——浄土真宗
浄土真宗には”他力本願”という原理が根本にあります。
他力とは阿弥陀さまのこと。本願は苦しんでいる人をすべて救うと言う誓いのこと。
土竜房は最後にこう締めくくります。「つまり、お念仏は偉い坊さんのお墨つきだから間違いなしってことだ。さあ、村人たちよ。肉を食うたびに、お酒を飲むたびに、嘘をつくたびにお念仏を唱えよ」と。
真の浄土真宗
「ちょっと待て」と唯円は土竜房の説法をさえぎります。
念仏で救われるのであれば、寺を建てる必要はない。罪を消すのに念仏を唱えるのは自力で修行するのと同じ。すなわち、聖道門と同じだと反論します。そして、仏教にかこつけて寄付を無理強いするのはただの恐喝だと断言します。
唯円は土竜房たちに親鸞の残した言葉を伝えます。
善人なおもて 往生をとぐ いわんや悪人をや
意味は、悪人こそ往生できる。つまり、善人が往生できるのなら、悪人も往生できて当然だと言うのです。
浄土真宗は他力本願が根本にあります。
良いことをして極楽往生しようとする考えは”自力”となり、悪いことをして極楽往生しようという考えも”自力”となる。よって、阿弥陀さまのお慈悲は、あなたにおすがりしますとただお念仏する他力の心に向けられる——要するに、自分の悪に苦しみ悩む者を対象とした救済なのです。
往生……現世を去って仏の浄土に生まれること。
コトバンクより引用
時代背景
末法思想という考えがこの時代に広まっていました。
末法というのは仏教の歴史観というべきもので、3つに分けられています。
1つめが「正法」……お釈迦様が亡くなった後の1000年間は正しい仏教が伝えられて悟りが得られる時期。
2つめが「像法」……正法の後の500年間または1000年間は仏教の教えは残っているが修行をしても悟りを得られない時期。
3つめが「末法」……仏教の教えがすたれ、修行する人もいなくなり、世の中が乱れる時期。
日本では1052年が「末法入り」の年に当たるとされていました。
他にも、戦乱や飢餓によって人々は不安や危機感を抱き、この苦しみから救われたいと思うようになっていきます。
このような背景があり、鎌倉時代になると新しい仏教が生まれました。それが「浄土宗」「浄土真宗」「時宗」「臨済宗」「曹洞宗」「日蓮宗」です。
これらの新仏教は人々に悟りを開くという目的は同じですが、悟りへの手順の違いからそれぞれの宗派が独自の信仰に向かいました。
※参考文献 監修者:金岡秀友,執筆者:田代尚嗣 『面白いほどよくわかる 仏教のすべて』,株式会社 日本文芸社,平成13年1月25日発行,112~114ページ
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※参考文献 著者:山崎圭一 『公立高校教師You Tuberが書いた 一度読んだら絶対に忘れない 世界史の教科書【宗教編】』,SBクリエイティブ株式会社,2022年2月27日発行,210~214ページ
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読み方
人間は完璧ではない。
いつの時代も平凡な人の方が大勢いる。そんな人たちに目を向けてくれた親鸞。その親鸞を師とした唯円。
「親鸞さまの教えを自分勝手な解釈をするんじゃないよ」と歎く唯円もまた凡人の1人だったのです。
最後に
まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。
書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。
ぜひ探してみてください。
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