まさに
古槍と妖獣〜最強タッグ〜
泣いてる奴をほっとけない! 1人の少年が1本の槍を手に、1匹の大妖怪と無数の敵に立ち向かう。90年代、妖怪バトル漫画の決定版!
情熱だけで描いたのではと思わせる画力とストーリー。忘れていた純粋な心を思い出し、冷えた心を燃え上がらせます。
結論
この本が教えてくれるのは、勇気と行動力です。
感想
作者:藤田和日郎先生の作品はどれも感動的でドラマチックで、いつも目頭を熱くさせてくれます。
相手が誰であろうと守りたいものがあるんだ! というような勇ましい主人公に憧れ、自分も現実で戦いたい。そんな気持ちにさせてくれます。
『うしおととら』は藤田和日郎先生のデビュー作です。
冒頭のあらすじ
主人公・蒼月潮は中学生の少年です。(以下、うしお)
寺の住職をする父と二人で暮らしています。
父は毎日のように、500年の歴史を持つ寺の成り立ちと伝説の槍の話をするので、うしおは半ば信じてはいません。
ある朝、父は突然「日本海の方を1週間ほどブラブラっとな……」と言って、出て行ってしまいます。留守の間、うしおに蔵の古本の虫干しをするように言いつけて。
うしおはブツブツ文句を言いながら、散らかった蔵の中の本を整理し始めました。
すると、足が地面の何かに引っ掛かって転んでしまいます。靴は床に付いた〈取っ手〉のような鉄の輪に挟まっており、〈取っ手〉の周りを見ると、それは四角形の扉のような形をしていました。
「こんなの聞いてねぇぞ」と、うしおが力任せに引っ張ると扉は開いて、ドタドタっと下に落ちてしまいます。
そこは地下室になっていました。
「……痛ってぇ」その瞬間、うしおは背後にただならぬ気配を感じます。
それはなんと〈化け物〉でした。黄金の体、鋭い目つき、背は優に3~4mはあります。その左肩には〈槍〉が根元まで刺さっています。「人間か……」
うしおは狼狽し、バタバタと後ずさりします。
化け物は「まあ、いい。この槍を抜けるのは人間だけだ」そう言って「この槍を抜きな、小僧」と取り引きを持ちかけます。
うしおはもちろんそんな話には乗りません。
「人の命が食い物にしか見えない妖怪を野放しにするかよ」うしおは扉を閉じて、その場を後にしました。
しかし、それから異変が起きます。
魚や虫のようなウニョウニョした生き物が空中に無数ただよっているのを目にします。うしお以外の人には見えないようです。
うしおは(きっとあの化け物の仕業に違いない!)と、蔵に行き、化け物に問いただします。
すると化け物はゲラゲラと嘲笑います。「それはワシの妖気が呼んだ虫怪や魚妖どもよ!」化け物は続けて言います。「この地下には500年閉じめられていたワシの妖気や鬱憤が溜まっていた。それをお前が解放した」
化け物は再び取り引きを持ちかけます。妖怪を倒す代わりに槍を抜けと。
うしおはやむを得ず、槍を引き抜き……。
こうして、1人の少年と1匹の化け物の運命の戦いが始まります。
1巻の作者コメント
この『うしおととら』の1巻の表紙カバーの裏側にある作者コメントで、藤田和日郎先生はこう言っています。
「マッチ売りの少女」が気に入らなかった。
なんでかわいそうな女の子がかわいそうなコトになっちまうんだよ!!
だけど本のさし絵に正拳を叩き込んでもムナしいだけだ。
だから僕はそのパンチを代理のヤツにぶちかましてもらうことにした。
うしおととら、こいつらはつまりそういうヤツらなんだ。
僕はこの『うしおととら』を読んでいると、生きるエネルギーが湧いてきて、生きていることが嬉しくなります。
僕のようにこの作品に元気をもらった人は多いんだろうなと思います。
読み方
1巻から読むことをオススメします。
なぜなら、この感動の物語を一話も見逃してもらいたくないからです。
見所
後にこの化け物は〈とら〉とうしおに呼ばれるようになります。
見所は、〈とら〉が人間に触れていく中で変わっていく所です。
うしおは本当に太陽のような少年で、妖怪や悪に絶対にひるんだりせず、泣いている人をほっとけない心優しい少年です。
うしおにも試練は数多くあり、そこにはいろんな人たちの悲しみや苦しみが積み重なっていますが、必ず乗り越えてくれます。
うしおととらは友だちでも仲間でもない。かと言って敵でもないし、主従関係でもない。
本当に羨ましい関係です。
最後に
原作や復刻版の他にアニメ化もされています。
僕のオススメは漫画ですが、アニメも充分に楽しめる内容です。
獣の槍を使う、あの瞬間が僕は好きです。
ぜひ探してみてください。
価格:110円 |