【解説】『四谷階段』（まんがで読破）｜結論｜感想｜読み方

よーいち

今すぐやめましょう。　相手が何も出来ないだろうと思って軽い気持ちで侮辱ぶじょくすると後が怖いですよ。

僕は【まんがで読破】の大ファンで、全139冊読んでいます。

今回はその中から『四谷怪談』を簡単5分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、罪悪感の重みです。

感想

『四谷階段』との出会い

お岩さんといえば、怨霊の代名詞です。

でも、怨霊となった経緯いきさつは知りません。

実は、ホラーは苦手なんです。

簡単あらすじ

——ある夜のこと、〈直助なおすけ〉は〈佐藤与茂七よもしち〉を刺殺した。

佐藤与茂七よもしちの妻〈お袖そで〉を自分の妻にしたいが故ゆえの、自分勝手な殺人であった。直助は与茂七よもしちの顔の皮を剥はぎ取っていた。身元みもとがバレると足がつくからだ。

そうしていると1人の男が現れた。「久しぶりだな……直助」

男の名は〈民谷伊右衛門たみやいえもん〉。伊右衛門も同様に〈お岩〉を妻にしたいが故ゆえに、結婚に反対するお岩の父〈四谷左門よつやさもん〉を斬り殺してきたのだと言う。

主あるじが不祥事ふしょうじを起こしたために藩はんは潰れてしまい、浪人ろうにん（＝主君のいない武士）に落ちぶれてしまった。どうせ潰れるのなら、と、藩の御用金を盗んだのが〈四谷左門よつやさもん〉に知られ、〈お岩〉と別れさせようとしてきたのだった。

意気投合した2人はある謀はかりごとを企くわだてる。……佐藤与茂七さとうよもしちと四谷左門よつやさもん——この2人の死骸しがいを並べれば関係性があるように見えるだろうと。

「父上……！」「与茂七さま……！」

父の帰りが遅いと探しに来たお岩とお袖そでの姉妹は2人の変わり果てた姿を見つけて泣き崩れていた。

「どうした　何があったのだ？」そこに伊右衛門と直助が何食わぬ顔でやってきた。

伊右衛門は、自分は四谷左門よつやさもんと約束があって家を訪ねに来たが会えず、直助とは偶然会ったのだと説明した。そして、2人の死体を見て心痛を装よそおい、伊右衛門はお袖に、与茂七の仇あだを討うつためには直助と夫婦の体裁ていさいを取るのがいいだろうと言って誘導した。

俺の何が悪い

「うるさい！」伊右衛門はイラ立っていた。

お岩は出産後体調を崩くずし、家事すらできない体になっていた。そのせいで下男げなん（＝召使いの男）を雇やとうはめになり、家計は火の車。

……だが、浪人といえど武士が外で働くわけにはいかぬ。（武士の仕事は主あるじに忠義を尽くすことだとされていた。なので、労働や商売は卑いやしい者の仕事と考えられていた）

いつしか、伊右衛門はお岩に八つ当たりをするような人間に変わってしまっていた。

——ある日、下男げなん〈小平こへい〉のおやじ〈孫兵衛まごべえ〉がやって来た。

小平は武士・伊右衛門の家に奉公しに来た身でありながら、民谷家の妙薬を盗んで行方ゆくえをくらましていた。

本当ならお奉行所ぶぎょうしょ（＝行政・司法・警察を執務する役所）に引き渡すところだが、代わりに薬を取り戻すか金を持参すると約束を交わしてこの日は勘弁かんべんとなった。

後日、小平は見つかり、薬は戻ってきたが伊右衛門は許さない。手癖の悪い指を折り、髪を引き抜き、容赦無く罰した。

主人の仇あだに使える重臣〈伊藤喜兵衛きへえ〉の乳母うば〈お槇まき〉がやって来た。

出産の祝いと、体調の悪いお岩のために妙薬を持ってきたのだ。

すると、借金取りがやって来て奉行所に訴えると言ってきた。困る伊右衛門に、お槇まきは小判を差し出して事なきを得た。

惨劇

伊右衛門はお岩にあの妙薬を飲むように言って聞かせた。

お岩は自分の命は長くないだろうと死期を悟っていたが、喜んで薬を飲んだ。

一方、伊右衛門は伊藤喜兵衛の屋敷に招かれていた。

夕食とお酒を振る舞われていると、喜兵衛は「（娘の）〈梅〉の婿になっていただきたい」と言ってきた。

伊右衛門に妻子がいることは承知の上。しかし、梅は伊右衛門を諦めきれず、「一緒になれないなら死ぬ」というほどだと言うのだ。

しかし、さすがの伊右衛門も武士として妻を裏切れないと断る。

すると、喜兵衛はこう漏らす。「私は大変な過ちを犯してしまった……。岩どのに与えたあの薬は……飲めば面相が崩れる薬です」

伊右衛門の心は揺れる。どの道、お岩は長くは生きられない。いや、顔の崩れたお岩と一生連れ添っていくのか……。それにお梅と結婚すれば贅沢を手にして出世の道もひらかれる……と。

家に戻った伊右衛門は容赦無く、お岩に離縁を告げた。

お岩は自分の途方に暮れながら鏡で自分の顔を見て驚愕する。醜く腫れ上がった顔を。

「もう人じゃない……」

髪を梳くしけずるとブチブチと綺麗な黒髪が束になって抜け落ちる。「憎らしや……女の命の黒髪まで奪うとは……この恨み晴はらさでおくべきか……！」

お岩はふらりと柱に刺さった刀に歩み寄り、自らの首を押し当て……惨たらしく絶命したのでした。

復讐

お岩はその後、伊右衛門と直助によって戸板にくくりつけられて川に流された。

その直後から、伊右衛門の前に怒り狂ったお岩の怨霊が現れるようになります。

伊右衛門の心はいつ何時なんどきも休まらず、どんどん追い詰められていきます。

そして、直助とお袖の物語の結末も見所のひとつです。

読み方

「お岩さんって怖いな」というホラー性よりも、伊右衛門の罪がこの物語の主軸としてあります。

保身や出世のための裏切りは、後になって「いつか仕返しされるんじゃないか？」と心を締め付けます。

伊右衛門と似たような罪悪感を持った人たちにとって『四谷怪談』の恐怖体験は罪悪感を緩和かんわする、メンタルケア的な役割を果たしていたのかもしれないな、と考察しました。

罪よりも罰よりも恐ろしいのは他でもない、自分自身の良心ということですね。

最後に

まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。

書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。

ぜひ探してみてください。

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