【解説】ゾンバルト『恋愛と贅沢と資本主義』(講談社まんが学術文庫)|結論|感想|読み方

ベルサイユ宮殿

まさに

奢侈と資本主義

資本主義は〈恋愛〉と〈贅沢〉から生まれた。そして、未来の発展にも〈恋愛〉と〈贅沢〉が大きく関わっている。

よーいち

資本主義に拍車をかける原理が分かりました。そして、それとどう向き合い、どう手を取り合っていくのか。それが見えてきました。

今回は【講談社まんが芸術文庫】の中から『恋愛と贅沢と資本主義』を簡単5分でご紹介します。

結論

この本が教えてくれるのは、資本主義社会の発展原理です。

 

感想

資本論をより深く

資本論は、資本家をお金持ちにする論理。

【まんがで読破】の『資本論』を読んで、資本主義の仕組みと醜悪さを理解しました。

しかし、これでは明確な展望は見えてきません。

僕にはもっと〈資本主義〉について知る必要がありました。

 

簡単あらすじ

〜18世紀 フランス〜

シャンシー4世は息子に、ご先祖様のシャンシー1世がいかに立派な大商人だったかを語っていた——。

——大航海時代を経て、交易路が発達し、コーヒー、紅茶、ココア、タバコなどの高価な商品が取引されることが増えた。

そのうちの貿易船の日雇い労働者だったシャンシー1世は、利益のほとんどを商人が得ていることが分かり、商人になる道を選び、才覚ひとつで大富豪に成り上がったのだった。

 

ゾンバルトは解説します。

中世中頃まで、すべての富は土地所有者……つまり王侯おうこう貴族が独占しており、土地を持たない市民が裕福になる道などなかった。

しかし、ヨーロッパ諸国が植民地から強制貿易・略奪・奴隷化によって吐き出させた資源・贅沢品を富裕層に売りつけたことにより、市民(商人)の富が出来上がった。

さらに大きな変化を遂げたものが「都市」。

都市の理論の先駆者であるカンティヨンによるとこうだ。

まず、王侯おうこう首領しゅりょうが快適な場所を見つけ、住み着く

そこに貴族らが住み、社交界が生まれる

彼らの暮らしのために、大工や酒屋、肉屋、服屋などの職人や商人が必要になる

さらに職人や商人らの住居として家が必要となり、労働者が集まってくる

王や貴族の消費により、都市は拡大し、人口が増加する。

大都市が登場する

フランス——パリ

イタリア——ナポリ

イギリス——ロンドン

こうした大都市はすべて消費都市であると言う。

そして、莫大な富を築いた〈新興成金しんこうなりきん〉の登場によって社会に変化が起きた。

1600〜1800年の間に、新興成金が貴族の身分を手に入れることができるようになったのだ。

これにより、社会に〈新貴族〉が誕生する。

 

シャンシー4世の後を継いだシャンシー5世は、父に言われた通りに事業を順調に運営していた。

美味い食事に舌は肥え、酒も覚え……そして、女遊びをたしなみ始めた——。

〈シャンシー〉は貴族の〈リシュモン〉と高級料理を食べながら、珍しいコレクションについて語り合う。

 

ゾンバルトは次に市民の暮らしを解説します。

工場労働者の〈ティザン〉と絹織り職人の兄〈アルティ〉とその妻〈ブーレッド〉は、夕食はパンだけの貧しい暮らしをしていた。

絹織り職人の兄〈アルティ〉は素晴らしい技術を持っていたが、昔気質かたぎなところがあり、その日のパンさえあれば贅沢は必要ないと考えていた。

〈ティザン〉と〈ブーレッド〉はそんな兄の仕事熱心さを敬い、同時に呆れてもいた。

当時のフランスは専制政治による身分制度が存在した。

身分制度

国王を頂点とし、その下に第一身分(聖職者 約12万人)、第二身分(貴族 約40万人)、第三身分(市民 約2650万人)という社会体制。

そのうち第一身分と第二身分は特権階級とされ、納税は免除。土地を所有し、農民を支配することができた。

農民はというと農奴とされ、重税に苦しんでいた。

2%の富裕層の贅沢は98%の市民層からの税金によって成り立っていた。

 

まとめ

●王族や貴族による消費の拡大

●大都市の誕生

新興成金しんこうなりきん・新貴族の登場

こうした社会の発展の中で都市と社会制度が形成され、必要以上の贅沢……つまり〈奢侈しゃし〉が生まれた。

この〈奢侈しゃし〉こそが資本主義の発展を読み解くキーワードだ。

 

恋愛と贅沢の発展

富裕層は贅沢がしたいと思う。

宮廷生活に憧れた貴族が贅沢をし始める。

貴族が欲しがりそうな贅沢品を新興成金が各地から仕入れたり、加工する。

それを貴族が買い付ける。

貴族は高級娼婦をそばに置き、彼女たちにねだられるままに装飾品や衣食住を買い与える。

1つあれば足りるものを3つ、4つと買い、普通の物を質の良い高級品に取り替えていく。

一度〈奢侈〉を覚えてしまうと他者を抜きん出たいという衝動が生まれる。

かつては宮廷だけのものだった贅沢が個人レベルで表現され始め、それは都市へと波及はきゅうしていく。

この享楽きょうらくに火をつけるのは誰か?

もうお分かりの方もいるだろう。

「贅沢の発展には女性が大きく関係している」とゾンバルトは言います。

貴族・貴婦人

もしも、恋愛がなかったら……

想像してみてください。

恋愛がなければ、デートをする必要がなくなります。

食事に行っても100%割り勘! その辺の定食屋か居酒屋でよくなります。

プレゼントも特別な日でなければ渡すこともない!

セックスもしないので、甘い言葉で口説く必要もないし、ホテルを利用することもない!

消費が減って、商業は縮小!

やがて少子化。挙げ句の果ては人類滅亡!

 

もしも、高級品がなかったら……

もう1度、想像してみてください。

高級品がないということは、物の価値はすべて同じということです。

そうなると、すべての人は同じような生活をすることになります。

同じ価値の食べ物を食べ、同じ価値の衣服を着て、同じ価値の家に住みます。

物を多く買うことは出来ますが、生きていく分さえあれば必要以上に欲しがることはなくなります。

なので、必要な以上に働く必要もなくなります。

みんなと同じ時間に起きて、同じ時間に働き、同じ収入を得るだけの生活で成り立ってしまいます。

意欲は減退し、経済は不活化!

やがて文明は衰退。挙げ句の果てに人類滅亡!

 

……恋愛も贅沢も良し悪しはあるものの、やはり人間には絶対に欠かせないもののようです。w

 

読み方

贅沢と消費の流れがとても分かりやすかったです。

欲望が欲望を生むかような資本主義社会ですが、無間地獄むげんじごくのようでもあり永遠の天国のようでもあります。

日本で生きる以上、資本主義社会との縁は切っても切れないものです。

働く人はぜひ読んでもらいたい1冊です。

 

最後に

まずは漫画で読むことをオススメしていますが、書籍で読むのもいいと思います。

書籍は、図書館や中古本など、たくさんあると思います。

ぜひ探してみてください。

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よーいち

高校中退→ニート→定時制高校卒業→フリーター→就職→うつ→休職→復職|うつになったのを機に読書にハマり、3000冊以上の本を読みまくる。40代が元気になる情報を発信しています。好きな漫画は『キングダム』です。^ ^

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